その11
ファストフード店を出てからもずっと手を握られたまま、2人で歩いている。
目的地はあるのかな? さすがにこのままピンクなお城へ直行って事は、ないよね~。さすがにそこまでの覚悟はまだないです。ってか私制服姿のままだし、絶対お国からのストップが掛かっちゃう。
「あの……」
あ、声が上擦ってる。手を握られてるだけなのに、自分がひどく緊張している事をその声で知る。顔もぽっぽとして熱い。赤くなってるかも。声を掛けたのに、柊人さんは答えてくれない。問答無用でどこへ連れて行くおつもりっ!?
「柊人さん、その……」
あぁ、モジモジするな私! いつもの冷静沈着な大人女子はどこに行った。ただ手を繋いで歩いているだけ、ただ手を繋いで歩いているだけ……。あっ、幸せぇぇぇ!! 叫んでも、いいっ!?
「どうしたの?」
「私、男の人と手を繋ぐの、初めてで……」
うん、ここは素直に言っておかないと。大事な事なので。
「わっ!!」
あ、意識してなかったんだ。でもだからって手を離そうとするのはひどくないです? 離しませんことよ! 何だったら恋人繋ぎに変えてしまいましょう。ギュッ!! と握ってみたけど、ギュッ!! と返してくれる事はなかった。でも、それはそれで逆に安心する。
「このままでお願いします!!」
コクコクコクッ! と頷いて見せてくれる柊人さん。年上だけどとっても可愛いと思ってしまう私はどこから目線なんだろう……。私も男の子と付き合った事なんて全くないのにね。
こうして2人手を取り合って歩いているだけでもとっても幸せで、本当に嬉しい。でも歩いてるだけじゃなく、ゆっくり座って語り合いたいなっていうのも素直な気持ち。確か近くに広い公園があったと思う。道路標識を確認しながら、その公園の方向へと向かって歩いて行く。2人で。うふふふふっ♪
公園に入ってすぐにベンチがあったので、そこに座る。緑が綺麗で静か。近くに遊具などは設置されていないようで、時々ウォーキングやランニングをしている人達が通りかかるくらい。
「飲み物を買って来るよ、何がいい?」
素敵、気遣い出来る彼氏って感じ。例えそれが意識したものであったとしても、私の為にしてくれていると思うととっても嬉しい。
「そうですね、それじゃあミルクティーをお願いします」
お金お金っと。小銭あったかな? っと、課金済みのプリペイドカードが見えないように開かないと……。さすがにこのカードを見ただけでデレレテやってるとはバレないと思うけど、念の為。
「いいよいいよ、ジュースくらい買えるお金は持ってるからさ。無理やり店を連れ出してからずっと早足で歩かせちゃったから、そのお詫びだよ」
え、これってよく聞く女の子に支払いなんてさせないぜ! 的なシーン? さらっと奢ってもらう罪悪感を消してくれるあたり、優しさと言うか気遣いと言うか、ちょっとカッコイイな。
「ふふっ、そうですか? ではお言葉に甘えて」
私の返事に、一瞬固まった様子の柊人さんだったけど、すぐに首をちょこんと下げてベンチを離れて行った。何だろう、ちょっと体育会系のノリみたいな感じだろうか。ウッス、みたいな? 柊人さんって、部活とかやってたんだろうか。色々お話聞きたいなぁ。
そうそう、きっと彼は歩きながらスマホでSNSアプリを開くはず。私も影ながら彼らの会話に参加しよう。
橘は俺の嫁@デレレテP:自分が嫌になるよね
何で!? いつのタイミングで!!? 全然気付かなかったんだけど……。
Mt.フォーチュン改@デレレテP:そんな事より筋トレだ!
そ、そうだそうだ筋トレだ! ストレスをマッスルでスルーするのだ!!
な2の3ち@小説家になりたいな:そんな事より告白の返事したの?
はい、ふぁぼ入りまーす。欲しいの来た! そうそう、そんな感じでおkです!!
橘は俺の嫁@デレレテP:まだ出来てないです。どうしよう……
どうしようもこうしようもないよ! 断られる以外ならオールオッケーでっす! 考える時間なら十分にあげますし、即オッケーでも何の問題もないんです。ないんだよぉぉぉ~~~!!!
橘は俺の嫁@デレレテP:ミルクティーがない!!
Mt.フォーチュン改@デレレテP:何だよ突然www ミルクティーと告白関係あるの?
橘は俺の嫁@デレレテP:今女の子と公園に来てて、ミルクティーが欲しいって言われたのにミルクティーがない!!
な2の3ち@小説家になりたいな:デート中ですね、分かります
はい、なのちさんにまたふぁぼ入りまーす!
Mt.フォーチュン改@デレレテP:テンパり過ぎだろw ミルクティーがないならカフェオレを買えばいいじゃない
改さん本日初ふぁぼでーす!
橘は俺の嫁@デレレテP:でもコーヒーダメかも知れないし
はい柊人さんにもふぁぼ入りまーす! 何なら3回いいねボタン押しました!! そうなんだよね、缶コーヒーは苦手。
な2の3ち@小説家になりたいな:カフェオレとお茶を買って、ミルクティーがなかったから好きな方選んでって出せばいいよ
Mt.フォーチュン改@デレレテP:それだ!!!
へぇ~、そんな選び方もあるんだなぁ。何か大人の世界を教えてもらっている気がする。なのちさんにも改さんにもふぁぼ追加入りました!
カフェオレもそんなに好んでは飲まないから、お茶を頂く事にしよう。
メーカーによっても違うと思うんだけど、甘みの後のあの酸っぱ苦いのが遅れて来るのがダメ。家で飲むレギュラーコーヒーは好きなんだけどなぁ。でもそこまで詳しく人に伝えるほどこだわりを持ってる訳じゃないから、コーヒー自体ダメみたいな言い方をよくする。付き合いが深くなって来ると、実はって詳しく話す事もあるんだけど。
柊人さんにはいつ言う機会が来るかなぁ。あ、あれだ、モーニングコーヒーだ。にひひ……。
何て思ってたら、なのちさんと改さんが、私が入れたいいねについて話してる。すごいね、すぐに気付くもんなのね。私は柊人さんの投稿を見る為だけに作った鍵ありのアカウントからいいねを押しているので、いいねはカウントされるけども押された方からは誰がいいねしたか確認が出来ない。
な2の3ち@小説家になりたいな:何か今日あの子が活発な気がするんだけど
Mt.フォーチュン改@デレレテP:そだね、何か法則でもあんのかな? 特定のキーワードに反応するバグ的な……?
ごめんなさい、私今日活発なんです! あ~、毎日投稿を見てるからこの2人にも親近感が沸くなぁ~。いつか柊人さんと私との4人で、何気ないやり取りが出来たらいいな~。
なんて都合のいい事を考えていると、柊人さんがすごい形相で走って戻って来た。
え、何かあったの!?
次話は明日7時に投稿予約済みです。
合わせて、よろしくお願い致します。




