第3回 ネブカドネザル2世とダレイオス1世(2)
ネブカドネザル…。どう考えても日本人には馴染みの薄い名前だ。
ただ、古代バビロニアとか、バビロニア神話が由来のティアマットも、ファンタジーRPGにはよく登場してくる。
失われた超古代文明の名称として扱われることもある。
現実世界でも失われた超古代文明であるということが、古代史好きのその手のオタクの空想をかき立てる。
そのネブカドネザルには愛する妻がいた。その名はアミュティス王妃という。
アミュティス王妃のために建てさせたのが、天空庭園というところで、これも今でいう高層ビルほどの高さの建物の屋上に、庭園を造った。
この空中庭園は階段状の庭園で、国内外から珍しい樹木や植物などを集めている。
「アミュティス、見ろ、これが私がお前のために造った空中庭園だ。」
「これが空中庭園なのですね。」
「なに、私の力を持ってすれば、このくらいのことは簡単だよ。
お前のためなら何でもする、私に不可能なことは無いのだからね。」
「でも私、幸せ過ぎて怖い…。」
「何を言っている、私の力を持ってすれば、やがては永遠の命と若さだって手に入るぞ。
そうなれば私の権力も、2人の愛も、時を越えて永遠に続いていくんだよ。」
古代、バビロニアの王は、いわば神のような存在。エジプトのファラオも神のように扱われていたが、バビロニアでもそうだった。
ネブカドネザルの性格からして、バビロニアの王である自分は神のような存在だと、自称していた。
先王ナボポナッサルが、カルケミシュの戦いで勝利をおさめ、バビロニアは最盛期を迎えることになる。
そのカルケミシュの戦いで大戦果をあげたのが、ネブカドネザル。
しかしその直後にナボポナッサルが急死したため、ネブカドネザル2世として即位した。
ここからネブカドネザルの国造りが始まった。
王の住む立派な宮殿、その城門となるイシュタル門、そこから延びる大通りでは、たびたび出陣の儀や祝賀パレードなどが行われた。
また、バビロニアの神々を奉る神殿を建てさせた。このように、ネブカドネザル2世は戦いだけでなく、都の建設においても、才覚を発揮した。
一方で、そのバビロンにも負けない、立派な都となったのが、ダレイオス1世の築いた都、ペルセポリスだ。
「ふはは、こうなれば、どっちの都がより立派な都となるか、競争だな。」
ネブカドネザル2世の時代はまだバビロンが世界の都だった。
一方でダレイオス1世がペルセポリスの建設に着手したのは、だいぶ後の時代だったが、ペルセポリスの建築様式は、後のギリシャやローマにも影響を与えた。
「我は、この地に都を造る。都の名はペルセポリスだ。
我はこのペルセポリスをバビロンにも負けない、いや、バビロンを越える都にすることを、ここに決意する。」