第二十九話:再度攻勢へ
「う、おうッ…!」
一度は慣れたとも思ったが、あれはどうやら思い違いだったらしい。
船の上を見れば、俺よりは軽度なように見えたがやはり皆体調が悪そうだと分かる。しかし、それは邪教信者に対して何の効果も齎てはいなかった。なぜなら、彼らの動きはそれまでと何ら変わりなかったからである。
これをやっているのは、ほとんど間違いなくあの司教なのだから、当然自分の身内に効果が及んでいるような事はしないだろう。
そうなってくると、奴が居るであろう船室へと踏み込んでいったシュリ―フィアさんの事が俄然心配になるのだが、どうやらそれは俺がするべき事ではないらしい。
交戦していた信者を斬り捨て、船室へと走って行くのはレイリの近くで戦っていたエリクスさん。愛の力、なんて安っぽい表現かもしれないが、その走る速さには、最早先程の吐き気から来る影響など感じられないものだ。
そのエリクスさんから、一瞬こちらに目配せをしてきた。
―――これで意図を読み違えていたら笑いごとにならない事態になるかもしれないとは思ったが、エリクスさん側から始めた話でもありのだ、間違いなくそう言う事なのだろう。
『レイリとコンビを組んだのだから、共に戦うのもコンビである俺』…そう言う事だ、
だが、ここでは援護なんて距離が離れすぎて出来ない。魔術は届くが、完全な状況把握には程遠いのだ。
「だからさっさとそっちの船に―――!」
そう言って船の舳先の方へ足を進めた時、いつの間にか近づいていたらしい冒険者たちの乗った船に、俺たちが乗ってきた船が斜め後ろから激突される。
当然、衝撃。海の上、というだけでも足場が不安定だというのに、予期せぬ揺れまで加えられてしまい、倒れ込む。
これは舳先が突き刺さっている相手の船も同じことのようだ。接触した状態は変わっていないので、そちらまで揺れは伝わる。完全に伝わったのではなく、波に少し揺れを奪われたのかもしれないが、それでも大きな揺れだった。今度は敵味方問わず足を止める。
何とか立ち上がり、背後の船を一度確認。………船を漕いでいる最中にあの酔いを受けて、船の後ろで舵取り―――棒のような物を使って流れを制御―――している冒険者が倒れてしまっていたらしい。
それでは仕方がないだろうとも思うが、しかし迷惑な術だ。吐き気を問答無用でもたらす術、ということにしておこうと思うが、面倒で、迷惑で、実に厭らしいものだ。
「いやいや、今はレイリの方に行かないと。あっちに二人も信者が行ってるし、あれは流石に危ないだろ」
今度こそあちらの船に足をかけて、そして乗り込む。
レイリは舳先側にいる。あの船が突っ込んだのも舳先側なので相当近い。
結果として、信者が一人こちらへと走ってきた。
「タクミか!?…そっちは任せるぞ!」
「分かってる!レイリも気をつけて!」
その男が握っているのは、刀身がかなり湾曲した剣。正式名称ももちろん、正しい使い方も分からないが、遠くには届きそうにない。
なので更に舳先の方向へと横へ移動しながら『風刃』を撃つことにした。…とはいえ、最近やたらとよけられたり防がれたりすることも多い。少しでも確実に当てられるようにするためには、相手に『何かをしている』と悟られないようにしなければいけないのだ。
だから、一見普通に足を下げたようにしか見えないタイミングで『風刃』を撃った。起句を唱える事は必要だが、意図的に声を小さくすれば、この騒がしい戦場で聞きとれるような物ではない。
すると、それは思った通りの軌道を描き、そして描いたとおりに邪教信者の体を引き裂いた。血が噴き出すが、今はそれについてどうこう感じている場合でも無いだろう。振り返るのは後でいいのだ。
だが、先程港でシュリ―フィアさんの放った魔術も邪教信者は避けていたが、一体どんな技術だったのだろう?あんな乱戦を眺めていて、不意打ちに近い一撃を読み切るとは…。守人だから、警戒していたという事なのかもしれないが、どちらにしろ警戒を怠ってはいけないだろう。
レイリの方は、少し膠着状態に近い状態だ。レイリも少しこの吐き気に慣れてきてはいるようだが、それでもなかなかの実力を持つ邪教信者に対しては、優勢になりきれないのだろう。
ならば、それをカバーするのがコンビの俺の仕事だろう。
横に回り、邪教信者の視界から逃れ、しかしレイリからは見える位置へ。
こうすれば奴にプレッシャーを与えられ、その上でレイリと連携をとることもできる。一石二鳥と言っていいだろう。
と、レイリが力を込めて邪教信者を押し、数歩後退させる。その瞬間、反動を利用して自身も距離をとった。
|俺に対して目配せをしながら《・・・・・・・・・・・・・》。
「兄妹で…『風刃』!」
兄弟で同じようなコミュニケーションの取り方だ、と思ったのだ。
今回に関しては、邪教信者の傷は軽かった。………声を出したのが原因だ。抑えるべきだと、きちんと考えているのにこの体たらく。
だが、既にこの男―――羽織っていた外套がずれ、確認できた―――に動きは無い。俺の『風刃』で受けた傷に気を取られた一瞬で、レイリがその手に握った剣で肩口から胸まで、深々と斬ったからだ。このまま放っておけば、間違いなく死んでしまうのだろうが…。
「レイリ、ボルゾフさんの方を助けに行こう…助けに行く必要はないかもしれないけれど、確認はしないと」
「そうだな…。逆側だから、まず一人は倒さなけりゃあいけねえみたいだがな!」
「………大声あげるから、振り向いちゃったじゃんか…」
今、この状況で敵に配慮などしていられない。殺さないのは、自分の気分が悪くなるから以外に理由は無いし、気分が悪くならないために、自分がけがを負ったり、ましてや死ぬ事等正直冗談でも考えたくない。
もしかしたら自分勝手かもしれないが、それでももう二度と死んでやるものか。
いや、今はそんな事を考えている時間では無かったな。ボルゾフさんのいる船尾へ向かおうと思うと、その間には一人、シュリ―フィアさんに頭を殴られて気絶していた信者を倒さなければいけないのだ。どんな力で殴ったんだ、という話でもあるが、手加減していた気もする。とにもかくにも、この男からしても俺達を見逃す理由などないだろう。
「行くぞタクミ!さっさと倒して兄貴たちの所に!」
「だね、司教がどうなったのかをきちんと見なけりゃあ、不安は取り除けないし!」
走りだしながら、周りの様子を窺う。
何時の間にやら不快感も吐き気もかなり弱まっていた。しかし、周りを見れば近くにまで寄ってきた船に乗る冒険者や衛兵たちは吐き気をこらえるように蹲っている。
これは、俺たち二人が耐性を持った、と考えるのではなく、船を中心としてその周りに効果を密集させていると見るべきだろう。大勢が船に乗り込んでこられれば、流石にどうしようもなくなるだろうから。
司教がこの船に乗り込んだという事は、海の上では飛べない…または、そもそも長時間使用できるような術ではないという事なのだろう。ならば、この時点でかなり追いつめる事が出来ているという事だ。
「これなら間違いなく勝てると思うよ!この状況は、既にあっちにとって罪の筈だ!」
「変に気ぃ抜くなよタクミ!忘れたか!?こいつらはずっとずっと守人とも敵対した上で生き残ってきた組織だ!司教ってんなら幹部の筈!組織からそう簡単に自由行動できるとも思えねえし、簡単にやられる実力とも思えねえ!」
確かにそうだ。司教、と言えば………詳しい事は忘れてしまったが、少なくとも組織に大勢いるなんて事は無かった筈。役職としての形なんてわからないが、それこそ一番上の役職から数えた方が間違いなく早いだろう事は断言できる。
………気を引き締めよう。この戦いの価値が決まっていたとしたって、そもそも俺が生き残れると決まった訳ではないのだ。あり得ない話だが、もし俺を殺そうとする事が目的になったりした場合、確実にやられる自信がある。
わざと見えやすくした『風刃』で邪教信者を攪乱した所を、レイリが再び斬りつける光景を見ながら、そんなふうに考えた。
ボルゾフさんの所へ、短い距離だが走る。当然、数秒たつか経たないか、というくらいの時間で船尾へと到着する。
「ボルゾフさん!………う」
「どうした、タクミ…こりゃあ」
そこで見たのは、完全に死んでいると分かるほどに体の形が無残なものになってしまった邪教信者の姿。
………流石にこれは、違う理由で吐き気を催す物だ。
「…ッ!お前ら………回れ右だ」
「あ…」
言われるがままに、回れ右、というよりも、元来た方へと視線を変える。
………あれを何時までも眺めていようとは思えない。
だが、ああしてしまうほどにボルゾフさんの怒りは強かったのだろうと、そんなふうにも思った。
―――ボルゾフさんの腕も、血に染まっていた。そしてそれは、邪教信者の血だけでは無いのだろう。
倒れ伏していた邪教信者の数は、俺が見ただけでも五人。舳先では、エリクスさん、レイリ、俺、と時間をかけた上で、更に三人がかりで合計四人だった。それを一人で五人。
………これもまた、愛の力というものだろうか?ボルゾフさんの怒りは伝わってきていたが、ここまでするとは思っていなかった。いや、きっと当事者でなければ分からない激情という物がそこにはあるのだ。
ふとレイリの方を見ると、………流石の彼女も今の状況は精神に応える所も有ったらしい。顔面蒼白…という程でも無いのは、初めて見た光景ではないという事なのかもしれないが、それでもみたい光景ではないということに間違いは無い筈。
「…レイリ、大丈夫?」
「………タクミの方がヤベエってのは伝わってくるけどな…いや、死人って、もっと綺麗なのか人かどうかも分からない様なのばっかで、………一番きついな、ああいうの」
そう、関節が逆方向に―――
「………ああいや、何でもない。やっぱり話すの止めたよ」
「細かい描写とか絶対すんじゃねえ。はっきり覚えちまったら夢に出ちまう」
と、何故か背後で軽い水音。そして、その更に数秒後、ボルゾフさんがこちらへ話しかけてきた。
「………まずいもん見せちまったな、…すまん」
「い、いえ………えと」
「まあ、ボルゾフさんが怒り心頭なのは知ってたしな…」
一見そこまででもなさそうに思えたのだが、レイリの視点ではボルゾフさんの怒り具合が伝わってきたということか。………ここまでとは、流石に思っていなかったのだが、そう言うものか。
とりあえず立ち上がり、少し目線を上げ気味にボルゾフさんの方を見る。レイリもほとんど同じタイミングで立ちあがった。
「………もう邪教信者はいないみたいですね」
「ああ。後は船の中だな。…と言っても、シュリ―フィアにエリクスまで行ったんだ。もう粗方、方ぁついてんじゃねえかとも思うがな」
「…確かにそうかも。シュリ―フィアさんも兄貴もやられるとは思えねえし」
「でも、少なくともまだ帰っては来てないですし、俺たちも下りた方がいいんじゃ」
「…そうだな。まあ、後は噂の司教さんとやらだけだろ」
シュリ―フィアさんとエリクスさんが未だに帰って来ないのは―――そこまで時間がたったわけでもないけれど―――やはり、あの司教に苦戦しているという事なのだろうか?
…しかし、違和感を感じる。シュリ―フィアさんはこの状況で全力を出す事は出来ないのだ、何故かと言えば、それは当然、威力の高すぎる魔術を使ってしまえば、船が沈むから。勿論いざとなればそれを厭わないだろうが、冬の海に沈みたくは無い筈。
だがそれでも、ある程度の威力の魔術なら使う筈、小さい穴があいても、脱出する時間が有れば問題は無いのだ。
それに、エリクスさんも下に下りている。剣で戦っているのだ、今の司教が防具や武器の類を身につけているのかどうかは分からないが、それでももっと…。
「音が、してないですよね…」
走り回る、剣で打ち合う…どちらにしろ、少しは何らかの音が聞こえてくるものではないだろうか?
「…何かあった、ってか」
「そうじゃないなら、あっさり決着がついてこっちを待ってるってこともありえますけど」
「………やれやれ、気が滅入るな」
「………行きましょうか」
扉を開けて中にはいるよりもあっさりと通る事のできる大穴が有るので、そこから階下へと続く階段のある元部屋―――現廊下へと入る。
階段の周りも少し木の板が割れていたり、もう船としての寿命が尽きそうなくらいにボロボロだ。
「…まあ、俺から降りるさ。とりあえず、ちょっと間を開けて入ってきてくれ」
「は、はい」
「気をつけて下さい」
ボルゾフさんが船の中へ…若干、階段の狭さに入りづらそうにしながらも、入っていく。
…しまった、ちょっと間を開けて入ってきてくれって、どのくらいだかさっぱりじゃないか。いや、戦闘中なら悠長に声なんてかけてられないのか。
「じゃあ、次はアタシが」
「いや、俺が行くよ。何かあったら意地でも伝える。レイリなら多分、何とか対応できるんじゃないかって信じてるし」
「どういう信頼の仕方だよ…まあ、でも。分かった」
「うん。まあ、何事も無いのが一番なんだけど…」
そう言いながら下りていく。イマイチ中の方まで視界を確保できない…というか、今さらではあるのだがこの入口の狭さ、この奥のスペースもそれほど広くは無いという事を表しているのではないだろうか?
いやまあ、それならあの邪教信者たちが一体何処に隠れていたのか、って話になってくる訳だし、っスがに有りえないとは思うけれど。
ただ、中の様子がうかがえないっていうのは、流石に怖い。
一歩、一歩と降りて行く。…中からは、僅かなもの音。一体何が起こっているのか。………もしも、という話でしかないが、最悪の状況を想定した場合、俺がこうやってゆっくり下りている所は敵に見られているということになるのではないだろうか?
………良い的かよ。
「それはいやだな」
このまま下に下りる先には誰もいないと信じ、転げ落ちるように下りる。未だに音も無く、ボルゾフさんからの何の合図も無いというのは不気味なことこの上ないが、それでもましな選択だったのだろうとしておく。
視線を上げる。暗い。光源はまるで木漏れ日のように差し込む、頭上の板の切れ目のみ。
だが―――。
「狭い」
階段から転がり落ちた俺の勢いを止めたのは壁だ。階段の逆側に部屋が広がっているのか、とも一瞬思いはしたが、差し込む日の明かりは、その延長線をすぐ先で止めている。
つまりは、反対側もすぐ壁ということだ。こうなってくると、最早想像よりも狭い…というか、この部屋の存在意義すら怪しく感じるものだ。もしかしたら廊下のような役割なのかもしれないが、それを漁船程度の船の中に作ると考える方がおかしいという話だろう。
「扉は無いのか…?いや、どこかにはあるんだよな」
壁に手を当て、感触で扉との継ぎ目を探す。………集中したことで、ようやく波の音に混じって剣と剣の打ち合うような音が耳に入った。
やはり、壁の向こうにいるのだ。分厚い板と波の音にかき消されて、上までは届かなかったという事だ。
ボルゾフさんもそれならそれで、一度伝えてから奥に行ってくれればよかったのに、とも思うが。
ともかく、ぐるぐると回りながら扉を探す。
「………何やってんだ?タクミ」
その声に振り向けば、レイリが頭を突っ込んでこちらを見ていた。
「あ、レイリ…いや、扉がどっかにある筈なんだけど、見つからなくてさ」
「その奥にいるってことか?…確かに暗いな」
そう言ってレイリは、一度頭を引っ込めて、…剣で天井を貫いてきた。彼女側の視点からすれば、床に突き刺しているということになる。そのまま、大雑把に小さな四角を作るように斬り込みを入れ、
「よッ!」
一気に踏み抜く。すると、斬り込みを入れられていた部分の板が落ちて日光がしっかりと入ってきた。
「どうだ?扉は見つかったか?」
「いや、今照らされた所には無かったみたいだ。…レイリ、ちょっとここの上から離れてみて。『風刃』で板を落としてみる」
「ああ、分かった」
良いぞ、との声が聞こえたので、とりあえず『風刃』を乱射。斜めには上げず、基本的に発射位置から直上にあげる形だが、それでもかなりの効果が…というか、吹き抜けのような状態になった。
…『風刃』の軌道コントロールに集中していて、顔面に板が当たった事は黙っておく。
「………盛大にやったな。扉は?」
「有った」
「よし、じゃあさっさと入るぞ」
そう言ってレイリは飛び降りてきた。足元には木板が転がっているが、その程度で体勢を崩したりする筈も無かったようだ。
軽く板をどけて、扉を開く。何故見つからなかったのかも分かった。取っ手が外側に出ているのではなく、へこんでいるのだ。
「ウオオオオオオオオオッ!」
「いい加減に、して下さい!我らが何をしたぁッ!」
「うちの妻がぶっ倒れたのはお前のせいだろうがぁッ!」
斬りかかるエリクスさんの剣を右腕で受け止めた司教の背後からボルゾフさんが叫びながら拳を振るう。
その拳は背中に直撃し、…しかし、肉と肉がぶつかり合う音はすれども、司教の体は僅かに体勢を崩すばかり。
余りにも不自然だった。
近くの壁際でそれを見ているシュリ―フィアさんに、状況を問いかける。
「シュリ―フィアさん、これは一体…?」
だがシュリ―フィアさんは、こちらへと左腕を伸ばし、その掌を立てるように見せて来た。………待て、という事だろう。
…魔術を使うために集中しているということだろうか?
今の俺では、あの戦いの中に入っていく事が出来ない。俺ももう少し観察させてもらおう。
レイリの方を見れば、既に俺より早く観察を始めているようだった。戦況は膠着していて、下手に手を出す訳にはいかないのだ。
………そう言えば、クヴィロはどこへ消えたのだろうか?
◇◇◇
邪教信者の潜む船の周りにおいて猛威をふるう激しい酩酊感と吐き気。その範囲内において、クリフトとレッゾは、この後の行動について話し合っていた。
ただし、その周りの船とは違い彼等は特に体調の不良を抱えてはいなかった。
「先に入ってった連中が居ただろ?もうほとんど決着はついてるんだと思うんだよ。一応後詰として乗り込むべきだとは思うけどな」
「そうですね。………しかしレッゾ。何故自分の部下の技術を把握していなかったのですか?」
「あれはヅェルが悪いって隊長。『一応機密でして』なんて言われれば、聞くに聞けねえ」
「…こうなると、ヅェルには特別給与を出さねばいけませんね。この症状の原因まで発見し、その上それを抑える事までできたというのですから」
「俺たちの体内の瘴気を使って、精神を揺さぶってる………でしたか?俺も魔術士ですが、いやはや、どういう事だか全く分かりません」
「まあ、分野が違いますから仕方が有りません」
そこに、噂のヅェルが現れる。
「隊長方。そろそろ船を固定できそうです。これで、どうあろうと邪教の者共を逃がす事はない筈です」
「そうですか…。では、行きましょうか」
三人は立ち上がり、そして船へと向かって歩く。
それに、この船に乗っていた僅かな部下はついて行こうともするが、あまりに大勢の部下は不要と言われ、それに従った。
(さて…この船に乗り込んだのは、見間違いでなければタクミ君や守人の乗った船でしたよね?実力はかなり高い一団だ。最早私たちが行っても、意味などないのかもしれませんが…)
ともあれ、彼らにも町を守る義務というものが存在しているのだ。
残り二話、といった言葉はウソになってしまいました。申し訳ありません。意外と文量が多くなってしまいまして…。
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