第二十七話:対邪教司教戦、開始
「瘴気だとッ!?」
シュリ―フィアさんの声で、その場にいた全員が事態を察する。
………『探査:瘴』を使っている俺の眼には、最早紅の壁が出来たように見えているのだが、隣にいるレイリも、いや、全員が窓を見ているという事は、肉眼でとらえる事が可能なほどの濃度の瘴気が外に漂っているということになるのではないだろうか。
そう思ったが…しかし、それは思い違いだったのだと、クリフトさんとギルド長が放った言葉に寄り知らされる事となった。
「飛んでいる…!?こちらに向かっています!目的は不明ですが、邪教の者と見て間違いは無い筈ですよ!」
「クヴィロを取り押さえて、奴を叩き落とせ!魔術でも飛び道具でも構わん!この部屋に入れさせるな!」
どう考えても、俺の見ている物と何かが違った。
だから、『探査:小』を成立させていた魔力の流れを断ち切って、己の肉眼で窓の先を見ようとしたのだ。
その直前、クヴィロさんは壁―――窓枠ギリギリの部分―――へと背をつけ、そして近衛隊長が懐から湾曲した剣を窓の外へと投げた。だが、聞こえてきた声は悔しそうな『当たらない!?』という声であり、
「あらたな同胞を、助けに来させていただきました」
俺が見たのは、その身体から瘴気を沸々と湧きあがらせる一人の男。柔和な表情で、いわゆる聖人という者にも近いのではないかとも感じさせるようなその男は、しかし、それ以上に狂人であるのだと、何にも知らない俺は感じた。
………何も知らなくても、体中からひしひしと伝わってくるこの圧力がその感覚を証明しているようにも思ったが。
見れば、クヴィロは窓枠へと足をかけたその男に対して、膝をつき、深く礼をしていた。こちらに理解できるような物ではないだろうが、この男はどうやら、邪教信者たちの中ではかなり上層部のような存在であるらしい。
「………貴殿、邪教の者か」
シュリ―フィアさんの、恐らくは意図的に重く抑えられた声音の問いかけが、その男に対して向けられる。
視界の隅、エリクスさんが一歩前に出て剣を強く握りしめているのが見えた。
レイリもまた、こちらへとゆっくり、一歩近づいた。
誰もが少しずつ動きを整えていく中、俺もまた、『風刃』を何時でも発動できるように集中していた。
そして、問われた男は、
「………邪教、だなんて呼ばないでください。我らが主は、邪などと貶められるお方などではありません」
単純に、ただ間違いを訂正するようにそういってのけた。
―――その言葉自体が、どうしようもなくその男を邪教信者と呼ぶにふさわしい狂気をまとって放たれていたが。
何処の宗教だろうと、基本的に信心深いというのならば、自らの信ずるそれを貶められて眉一つ動かさない、ということはあり得ない。
つまり彼は、聖人のような雰囲気を持つ彼だからこそ、その存在が俺たちの理解から離れた所に有るという事を証明したのだ。
そして、
シュリ―フィアさんは小さく『そうか』と言い。
「攻性光:分割」
その一言で、直径二センチほどの光の線が、宙に迸る。
その数、視認出来ただけでも十本。
しかし、
「さあ、行きますよ?新たな同志」
「ああ………はい。司教殿」
当たらない。始点を一つとし、そして分割された光は、様々な角度で男を追うも、何故だか…言うなれば、不自然なほど自然に、男とクヴィロの身体を避け、窓の外へと飛び出ていく。
クヴィロは、彼が司教と読んだその男に手をひかれ、窓枠に片足をかける。
「それではみなさんごきげんよう。…広い心を持つ事が、救いにつながる道ですよ?」
「何をッ!」
シュリ―フィアさんの声が放たれる直前、司教は窓の後ろへ身を投げる。
その一瞬だけ、肉眼でも捉えられるほどの瘴気を身にまといながら。
「くそっ!奴を追うぞ!」
近衛隊長がそう叫び、そして言葉通りに廊下へと走る。
クリフトさんと、ヅェルさん、近衛兵の一人がそれに従い。
更にレイリもそれに続き―――その時には、俺の体も動いていた―――廊下へと出ようとする。
そして、俺の視界の端、
シュリ―フィアさん、エリクスさん、そしてギルド長が、窓から飛び出すのが見えた。
「そっちの方が確実なのかもしれないけどさぁッ!」
「いいから走るぞタクミ!」
ミディリアさんは、先ず他の構成員に対して事情説明を開始していた。
それを見ながらも、しかし全員足を止めず走る。
ようやく一階、いつもの広間が見えた。
◇◇◇
シュリ―フィア・アイゼンガルドは、窓から飛び降りながらも、司教と呼ばれた邪教信者を目で追い続けていた。
追われる男は、彼女と同じように下方へと落下していく。当然だ。足場が無く、また翼をもたないのならば、万物はただ落ちるだけなのだから。
しかし―――、
「何!?」
男と地面との距離、それが大凡一メートルを切った、その時だ。
男と、そして男に抱えられたクヴィロが、その進行を一気に地面と水平な方向へと変えたのは。
「くっ…!『攻性光』!」
その、先程彼女が放った魔術を避けられた時と比べればあからさまに不自然な動きに、彼女は驚き、しかし、再び男を狙って魔術の光を迸らせる。
だがそれも、やはり当たらない。
彼女も何となく感づいていた。恐らくこの男には、自分の魔術、或いは魔術そのものに対しての優位性が有るのだと。
長きに渡り争い続けてきたこの邪教と呼ばれる集団。それも、彼女と同じ守人と争い続けてきた相手なのだから、その効果に驚きはしても、そんな能力を持っていたということに対しての驚きは、彼女が思っているよりも小さなものだった。
その時、頭上から男性の声が。
「シュリ―フィアさん!俺を奴らに!」
「…!了解した!エリクス殿!」
彼女にとってその男は、この町で出来た知り合い…というだけの者でも無かった。
エリクス・ライゼンという名の男は、彼女にとって…いや、守人全体にとって非常に珍しいとも言えるであろう、友人―――この町においては、恐らく、長期滞在という以外の理由も含めて、今までになく親しい間柄となった人間が多かったが―――それも、自分と年齢がそう変わらない、非常に稀有な存在でもあった。
必然、この町で活動する際は彼と行動する事が多かった彼女は、荒事に関しても、時には共に挑んでいた。
だからだろうか、彼女には、彼の言いたい事がはっきりと伝わった。
その言葉から直接分かるものも、それ以外も。
「努々、気をつけてくれよ…ッ!」
「分かってます!」
だから彼女は、彼を自らの杖で、一メートルほどの高さを飛び去ってゆく男たちの方向へと弾き飛ばすことを厭わなかったし、
「お、お、オオオオーッ!」
彼もまた、彼女のその見た目からは想像できない腕力により振るわれた杖に、見事、自分の足の裏を合わせ、更には膝などの関節も活用、最大の加速力を以って男たちへと飛びこむことに成功した。
そして、
ガッッ!!
そんな音を立てて、彼の振るった剣は、邪教信者の、司教と呼ばれた男の腕に食い込み、止まる。
「何…?クッ!」
「流石に、痛いですね…!」
司教は、剣の食い込んだ右腕を一度強く降り、その剣と、それを掴むエリクスを自らの体から離させる。
………エリクスは、驚きで硬直した自身を恥じた。だが、仕方のない事だろう。誰だって、すさまじいスピードで加速された斬撃を、細腕一本。それも、斬り落とすことすらできず半ば程でその刃が止まってしまうなどとは考えない。
だが、現実に起こったことであり、彼は無理に斬りかかったことによる手首を主とする痛みに、僅かな停滞を余儀なくされる。
…司教は、そんな彼の姿と、距離を開くことに成功したシュリ―フィアの姿を見て、少し安心した。非常にゆがんだ存在でありながらも、一見、一般人のような感性を持つ彼は、全ての追手を巻いた訳では無かったと知りながらも、この場において、一瞬の安全を確保できたことに安心を感じ、そして、、町に潜ませている同志たちと共に、どうにかしてこの町を脱出しようと考えた。
警戒は薄く、だからこそ、先程一度視線を向けたシュリ―フィアの足元近くに、何やら芝生が捲れた、大きな跡が有る事に気がつかなかった。
そしてそれは、彼にとっては嫌悪を向ける対象でもある太陽の光が、宙から自分に降ってきたのだろう誰かの陰によって遮られるまで、一人の男にとってただ有利に働いた。
「―――なッ!?」
「司教様!上です!」
抱えられたままのクヴィロの声は、しかし的確で、
「ヌ、オオオオオオーーーッ!!」
彼にとっては僥倖、そして、それ以外のほとんどの人間にとっては、恐らく不幸なことに、その男の拳は、抱えられたクヴィロの足に当たるに留まり、また、地面と接していないが故に彼に与えたダメージも少ないものであった。
「ッ!…いけませんね。大丈夫ですか?」
「…大丈夫です。司教様。…行きましょう」
クヴィロは一度、自らへと拳を当てた男―――ロルナンの冒険者ギルド長であるガーベルト・エリアスへと視線を向け、そして、再び司教を見つめた。
ガーベルトは、その背中を追おうとして、しかし、止めた。
素手で出来る事には限りがある。…まずは、可及的速やかに自分の得物を持たなければいけなかった。
外に落ちた司教を追いかけ、ようやくギルドの外へと到着。
扉を開けた俺たちの眼に映ったのはギルド長が七、八メートルほどの大ジャンプから、司教へと拳を振り下ろす姿だった。
しかし、ギルド長の拳はわずかに外れ、司教はそのまま飛び去っていく。
「ッて、飛んでる!?」
「いいから追うぞタクミ!」
「私は他の衛兵と連絡を取りに行きます。恐らくこの町にいる邪教の首魁はあの司教と呼ばれた男でしょうからね」
つまりは、他の場所の警備などをしていた衛兵も連れてくる、という事なのだろう。近衛隊長もまた同じ判断のようで、二人はそれぞれの目的地へと走って行った。
また、騒ぎに気がついた冒険者たちはギルドから出てきているのが、ギルドの敷地から出て道を曲がるときに目に入った。追ってきてくれる人も増えるだろう。
今俺の近くで走っているのは、レイリと、ヅェルさんを含めて衛兵、近衛兵二人づつ。
シュリ―フィアさんとエリクスさんの事を一瞬不安にも思ったが、しかし、あの二人がたやすくどうこうされるとも思えなかった。
「タクミ、この方角って、南…だよな?」
「うん。太陽がこの時間に出ている方角だから、間違いない筈だよ」
「じゃあ、奴らが向かってんのは港か!」
「船で逃げるってことか…」
司教たちの目的地に見当はついた。勿論、これがただこちらをかく乱させるためだけに行われているということも考えられないではないのだが…。
「どちらにせよ、主要な交通網は抑えられていく筈です。…今更北上、門から町の外へ出るなど、不可能に等しいでしょう」
俺たちのすぐ近くを走るヅェルさんが、俺にそう告げる。
「なら、アタシ達は走りゃあいいってだけだな!分かりやすくていい!」
「どちらにしろ急がないと。すぐにでも脱出できる準備が有るって場合は、港の封鎖なんて多分間に合わない!」
「王国領から出ない場所までならば、追跡の許可も出る事になる…だろう」
「…確定は、していないんですね」
そりゃあまあ、領地なんかのごたごたが有るのかもしれないが。
ともかく、走る速度を上げる。路地は少し入り組んでいて、やはり出せる速度に限界も有るのだが、それは相手にとっても同じ事なのだろう。もしくは、今の速度が最大出力なのか。
なんにせよ、見失ってしまうほどに差が開くことはなさそうだ。
「後ろから他の冒険者も来てるな…これなら、どうにか抑え込めるんじゃねえのか?」
「あの人たちが追いついてくれれば…でも、思っているより人数が少ない。先回りしていてくれるのならばいいけれど」
ギルド長の姿も見えない。本人が来るかどうかまでは分からないが、何らかの形で指示を出すことくらいはしてくれる筈だ。
と、視線の先、僅かに景色が開け、日光がより多く降り注ぐ場所へと自分たち、そして司教が進んでいるという事に気がついた。
大凡二十メートルほど、それを二秒程で一気に駆け抜け―――距離など考えながら走ると、やはり脚力が増しているよな、と感じる―――飛び出したのは、今までの路地とは違い、屋台なども出ている通りだった。
そこを、うっすらと紅い瘴気を目に見える形で…肉眼で見える形で放出しながら飛びゆく司教と、それに担がれたクヴィロ。
町の市民には、邪教そのものについては、少なくとも大々的には知らされていない。紅い服を着た奴らが、昨日の騒動で捕まった、というくらいの事ならば、あの場にいた野次馬から伝わっているかも知れないが…それでも、邪教、という単語が広がる事は無かっただろう。組織的な物だと知っている物も少なさそうだ。
だが、しかし。
「―――ヒッ!?」
「な、何だこいつらぁッ!?」
空を飛ぶ人間を見たら、先ず驚きと、恐らくは、やはり恐怖も感じるというものだろう。
尚且つ、彼等は瘴気の色が彼等の服のように紅いという事も知っている。
となれば、恐慌をきたすのは当然だった。
最初の二人ほどの声を皮切に、それは波のように伝播していく。当然、港の方向…つまりは南へ向けて。奴らの進行方向に。
結果的に、という話ではあるが、奴らが道の中心近くを通った事により人々がそこを避け、俺たちが追う事に関しても少しやりやすくなった。
そして、再び奴らを追って走る。皆、瘴気は恐ろしく感じているだろうけれど、今この瞬間に命を脅かされた訳ではない、という事も分かったらしく、徐々に恐慌が収まって行くのも感じた。
「もう港まで…二分は無いな」
「どうにか足止めできればいいけど…こんな町中で魔術を撃つ訳にはいかないし、…歯がゆいなぁもう!」
「…いえ、あれを見て下さい」
俺たちのほんのすこし後ろを走っていたヅェルさんの声を聞いて、そちらをみる。すると、今まで付いて来ていた筈のもう一人の衛兵と近衛兵が随分と後ろにいるのが見えた。いつの間にか、距離が離れていたらしい。
だが、ヅェルさんが言いたいのはそこでは無いのだろう。視線は前へと向いている。
「…!見ろタクミ!」
レイリの声を聞いて、再び視線を前に。すると、
「衛兵隊…!」
「足止めに来てくれたみたいだぜ!…これでどうにかなるか?」
「…なら、一度急ぎましょうか」
そんなヅェルさんの言葉に従い、今の強化された体でも苦しいと感じるほどに足を速める。
やはり司教の、瘴気による飛行法は一メートルほどの高さから上下に移動できない様で、衛兵たちが道に引いた杭付きのバリケードを乗り越える為に一度減速、地に足をつけた。
その背中に追いつこうと走る。いや、もう後数秒でたどり着ける筈だ。
衛兵が剣を抜き、そして斬りかかる。ちょうどそのころ、道の横合いから包囲するように他の冒険者が少しずつ近寄っているのが見えた。
更に、バリケードの奥には今の時点から既に港の方に走っていく冒険者たちの姿。奴らの逃走先が予想通りに港ならば、かなり追いつめられたと思っていいのではないだろうか。
レイリが一歩前に出て、剣の柄に手をかける。ヅェルさんは斜め右の方向へ移動し、そこで何故か立ち止まる。武器を持っていないから、彼も魔術士なのかもしれない。
俺も『風刃』…は、辺りに人が多いので危険と判断して、そこら中の埃から雑に『砂弾』を作り、司教の背中を狙う。
その時、司教の呟きが耳に入った。
「さすがにこれは、まずいですね。………仕方が有りません」
まずい、という言葉は理解できる。だが、『仕方が有りません』という言葉からは…強い不安を感じざるを得なかった。
そして、
ズン、と。体を酷く重くなったような感覚が襲う。
「うッ!?」
吐き気の方が、適切な表現だったかもしれない。
「何…だ、これ…!」
「レイリもか………違う?全員…!」
あまりの気持ち悪さに膝をつき、碌に集中できない頭で辺りを見回して、気がついた。
レイリは、膝をついた俺とは違って、頭を振って、酩酊感はあるように見えるが立ったままだ。この症状には差が有るのだろう。
そして、この症状が現れたのは俺たちだけではない。少なくともこの通りにいる人物には効果が届いているのだろう。
見る限り、冒険者や衛兵など、身体の強い人間に関しては、俺のように膝をついたり、レイリのように頭を振って、酩酊感に堪えているような様子。それ以外の一般人は…倒れている。恐らく意識は無い。………死んではいない、と思うが。
効果そのものも、距離によって変わってくるらしい。先程港の方に走って行った冒険者たちは、特に目立った変化も無く走り続け、そしてその周りの一般人たちが少しくらくらとしている事からもそれがうかがえる。
…先程の呟きから考えて、この現象を起こしたのは間違いなく司教だ。魔術を使ったのか、それとも奴ら特有の、瘴気を使って何やら行ったのかは分からないけれど、…いや、どちらにしろ、俺の知識で何をされたかなんて判断がつけられない。今はどうにかして…!
「立ち、上がらないと…!」
「タクミ、手掴め…!」
レイリが差し出した手を、有難く掴んで、そして、立ち上がる。
未だに、酒を飲んで倒れたとき以上に吐き気がするが、しかし何もしないという訳にはいかない。事が起こってから今まで、おおよそ十秒間の間は司教も少しだけつらそうではあったが、しかし今はもう、少し嵩連れていたクヴィロさんを抱え直して、恐らくは再び飛ぼうとしている。
その視線は、港の方面だけへ向いている。という事は、こちらへと注意は向いていない筈………ならば、一度だけチャンスはある。
「………」
集中。集中する。今は一回の魔術の使用すら難しいほどに頭が揺さぶられているが、それでも集中する。
今は砂埃を集める手間の必要な『砂弾』より、素材が溢れていて、尚且つ目には見えない『風刃』を使うと決めた。
「………『風刃』」
起句は出来る限り小さく。そして狙いは、司教の背中。
しかし、
「ぐッ!」
風を切る音で感づかれたか、しかし確かに見えてはいない筈の風の刃を、右腕の、妙な切れ込みの入った部分でそれを受け止めた。
いっそ病的、とでも表現できるような白い肌から、確かに血が溢れる。
「………この速さで回復しますか。…となると、………いえ、今は逃げなければいけないでしょうね」
「くそっ!」
「待て!」
しかし、司教は一度高く跳躍すると、バリケードを越えて、その落ちる動きのままに再び飛んだ。
「………行くぞ、もっかい追う」
「…うん。治ってきたから」
酩酊感も大分おさまった。今度こそ、あの男を仕留める。
それを考えた時、少し、思った。相手は人間だぞと。
今までの俺ならば無理だった。今の俺ならできるか?いや、そういう事ではないだろう。
………流されているだけ、ということかもしれない。
………だが、だがしかし。
「おい、何やってんだよタクミ!走るぞ!」
「…ああ。行こう!」
仕留める、という考えは行きすぎだっただろう。少なくとも、前提にしようとは思わない。思わない、が…それでも。みすみす逃がしてしまえばどうなってしまうことか。
だったら、と。
………そうやって、心に少し逃げ道を用意するのは、悪い事だろうか?
この戦いが終わったところで第二章終了です。後何話でしょうか…?
………私の文章って、大丈夫でしょうか?日本語が間違っていたりすると、あとですごく辛かったりするので、もし何かあれば報告いただけると嬉しいです。
感想・評価お願いします!




