超常現象診断士の日常4 生霊相談に来る。
超常現象診断士の日常4 生霊相談に来る。
山陰の片田舎にある。
テナントビルの一階にある。
幅2軒しかない小さな事務所の両開きのドアをわざわざ勢い良く開けて
「誰や、真知子いじめるんわ
どんな奴でも許さへんで」
事務所に入ってくるなり。
喧嘩腰なのは
八坂和希、僕の助手、真知子ちゃんの姉である、身長185㎝以上でありながら出る所は出て
ウェストはキュっと絞まっていて一見モデルに見えてもおかしくないのだが、今現在故あって、陰陽師である。
真知子ちゃんから連絡を受け、共通の知り合いの件で困っていると知って慌ててきたようだ。
ちなみに、前回の呪い屋の呪いを返したのは彼女である。
その僕に、かかった呪いを返したのあと、2,3日はゆっくりして京都戻ろうかなぁと言って
すでに1周間経っている。
京都で陰陽師の修行をして、向こうでそのまま陰陽師として活動をしている。
「いきなり、夜子さんが現場に来て、よりりん、が困っとるさかい
帰ってあげなさいと言われて。渋渋かえったらあれや、よりりん、死にかけ取るし
笑わしてもろうたは」
出身は山陰なので、関西弁が少し怪しいが、彼女流になっているが、それとなく合っている。
「ちなみに、よりりんとは、僕の事かな」
「当たり前やん、拝はん、他に誰がおるちゅうねん」
40を超えたおっさんとしては、ちょっと恥ずかしい。
そして、夜子さんは彼女の陰陽師の師匠であり、彼女を陰陽師の道に誘った人物である
通称、祟り姫、四法印夜子、京都では知らぬ者はない古参の陰陽師の一族の長
関西、西日本一帯の陰陽師を束ねる顔役的存在。
彼女とは和希ちゃんの件をはじめ他の案件にも大きく関わってくる
そのお話は、別の機会に語ることになる。
「お姉ちゃん、この人、天九朗君みたいなの」
姉が入ってくるなり、立ち上がり、テーブルを挟んで反対側に座っている人物を小さく指を差した。
お客さんのソファに座っている男は、丸々太った坊主頭で物凄く眠たそう、あごの無精ひげを掻きながら
こっちの様子を伺っている。
「はぁ、真知子、いい加減に目を覚まし、どごが天九朗やねん
天九朗は確かに、坊主頭やけど、目がクリッとして結構あれでイケメンやったし、細マッチョで性格も明るい良いやつやった
だけどな、あれはあかん、トドがひげ生やして服着取るだけやん
あれが天九朗なわけがない、きっちり確かめたんかい?」
「でも、昔の事や、住所やご両親の名前もばっちりなの」
「それに、ここに来た理由が」
「理由がどないしたんねん」
顔を赤らめながら
「天九朗君、初恋の人を探して欲しいって、写真を持ってきたの
これなんだけど」
手に取ってみると。
中学の時の、セーラー服を着た、真知子ちゃんが笑顔でピースサインを決める姿があった。
「なんや、これ、お前に惚れとったんかいな、ってことは一件落着やないか、問題あるん?」
「実は、これは私ですって、言っても信じてくれないんです」
「どういうこっちゃ、これは」
「仕方がないな、うちが話してみようか?」
そう言って、髭の生えたトドの正面に回りこみ、中腰で相手の顔の位置に自分も合わせながら
「ひさしぶりやなぁ天九朗、覚えてるよな、和希姉ちゃんや」
「全然、知らん」
「はぁ、ほんまに覚えてないんか?
よう可愛がったの忘れた言うんかい」
「あなたは、誰ですか?」
「うちに、向かって、よう言うた、昔と同じように可愛がってみようか」
そう言って、立ち上がり、右手を上にめいいっぱい上げ、今にも掴むぞと言わんばかりに握ったり、開いたり
ありえんほどの凶暴な笑みを浮かべ。
「久しぶり、かましたろうか」
「お姉ちゃん、ダメー」
真知子ちゃんが叫び止めに入ろうとしたが
こともあろうか、天九朗君の頭をがっしり上から掴むと
メキメキと音を立てて、身長180センチ体重は100キロ有りそうな天九朗君の体が上に上がっていく
そして立ち上がる、これだけでも十分凄いが、さらに持ちあがる
なんと足先が地面から離れて、ぶらぶらし始めたではないか。
「どないや、これで思い出したか」
「小学校の時、やったようにこれで水平に回したら嫌でも思い出すよな?」
僕と、真知子ちゃんで止めに入って、何とか降ろした。
「しかし、痛くなかったんかい」
「お姉ちゃん、やりすぎ」
天九朗君の頭には、彼女の指が食い込んだ跡があり、幾つかの場所から血が滲んでいる、それを拭きながら真知子ちゃんが半泣きである。
和希ちゃんは、特異体質の持ち主で10人力ともいわれる、怪力の持ち主だ、噂では真知子ちゃんが、小学校の時の同級生の男の子の頭を先ほどと同じように片手で掴んで
水平でも垂直でもぐるぐる回していたらしい、やられた相手は、トラウマになるはずだ。
所が天九朗君は、何も無かったかのようだ。
「しかし、おどれ、痛くなかったんかい?」じーっと顔を伺うが変化が無い
「……」
「こいつ可笑しいな」
「確かに、様子が可笑しい、あれだけのことをされたのにも拘らず、眠たそうな感じが変わらない」
「おっと、肝心な事を忘れとったわ、こいつの相棒、りっしんべん君の事や、あいつほどの変わり者おらんかったし、唯一の相棒や、天九朗は
その相棒の事を知らんとは言わんと思う」
りっしんべん君とは、苗字、名前、漢字4文字すべてにりっしんべんがある男
槇梯悦愽、まきだいえつひろ、真知子ちゃんや、天九郎くんの地元で年上だったのにもかかわらず、天九郎くんとつるんでいた、超有名人であらゆる騒ぎの元と言われていた、トラブルメーカーだったことを、後から、教えて貰う。
「そうだね、りっしんべん君なら私よりも天九朗君、ずっと一緒にいたもんね、でも私、連絡先知らないよ」
「安心せい真知子、私の情報網はあいつの実家は勿論、ケータイ番号もばっちりや」
「なんで知ってるの」
「あいつの使い道は、ようけあると思ってチェックしとったんよ」
そう言って電話をかけはじめた。
彼女もガラゲーのようだ。
「そう、うちや、和希姉さんや、あぁ、ちょっと用事あるさかい、あわれへん?」
「あぁ、警察官になってパトロール中やから無理、うちに向かって無理って言うか、いつからそんなに偉くなったんか
実はな、天九朗とあっとるけど様子がおかしいんよ」
「えっ、そうなん、入院中、けど目の前におるで」
「意識不明で回復しないまま3年間、入院したままで退院したとは聞いてないやって
りっしんべん、病院寄って確かめてくれるか」
「ほな、すぐおいでや」
「これはもしかすると、よりりん」
「もしかするって、どういう事ですか、拝先生?」
「うーん、今の状況からすると、ここに居る、天九朗君は
偽物の可能性が高い」
「でも、本人の情報は間違ってないですよ」
「情報、何てもんは、どうにでもなる、一部の情報についてはごっそり忘れとるところが
ますます怪しい」
胸倉を掴み。
「おどれ、何の目的で天九朗になりすましとんねん」
「ちょっとお姉ちゃん、天九朗君じゃなくても乱暴はやめてよ!」
「僕は会いたかった、真知子ちゃんに」
「目の前におるやろう」
「私が真知子だよ、天九朗君」
「もしかして、私は3年で解らなくなるぐらい老けたってこと?」
「そんなことはないよ、真知子ちゃん」
「そうや、真知子が老けとる言うんなら、うちはどないなっとるねん?」
そう、こう、言い合っているときに
玄関が開いた。
「ごきげんよう、和希姉さん、真知子ちゃん」
そういって紺色のスーツが良く似合う、切れ長の目が、印象的な2枚目が入ってきた。
駆けつけた、りっしんべん君が言う
「あぁ、それともうひとつ、気になる事があって、天九朗と同じ病室の隣で寝ていた患者が今日の朝から居なくなって騒いでいたよ。
居なくなったのは、そこの坊主頭の彼の事じゃないか、天九郎ならまだ、ベットに寝とったよ。」
そう言って、全員が、天九郎君らしき人物に、顔をむける。
「天九郎くんじゃないの?、本人の記憶があるのに」
真千子ちゃんが言う
「要するに、僕が思うには、彼は天九朗君の生き霊にとり憑かれて、ここまで来た、生霊に取り憑かれた場合は出歩く例もある
しかし、本当に来て相談まで出来るとは」
「そんなもん、初恋の人に、会いたい一心で来たんとちゃうか」
「だが、真知子ちゃんを見ても、本人と認めないのは納得出来ない。」
「病院に、どんな容姿の人物が消えたかを、確認取って見るよ」
そう言ってりっしんべん君は電話をかけながら、一旦外へ出た。
1分ほどで戻ってきた彼の情報では。
「間違いなく、彼が天九朗君の横で入院していた、患者さんだ、背格好や、着ている服が一致している」
「連絡したからには、1時間もしないうちに迎えがくるはずたけど」
「じゃあ、ほんとに天九朗君の生き霊がとり憑いてここに来たんですか?」
真知子ちゃんは不安げに聞いてきた。
「生き霊がとり憑いているから、本人の記憶を持っていてもおかしくない、そうなると、彼が3年間目覚めない理由が解るかも知れない、早速聞いて見ようと思う」
「確かにそうやな、ただの事故って聞いてるが、ほんまは何かあって目が覚めんかった、次、覚めたらもうここやった、そんな感じやけど」
りっしんべん君が窓の外を見ながら考えて居たが急に振り返りつつこう言った。
「もしかすると、チャンスかもね
天九郎くんが、何故目を覚まさないのかを聞くことが出来る
そうすれば、彼は目を覚ますかもしれない」
「そやな、そういうこっちゃで、真知子」
「拝先生」
「よりりんの出番やで、うちが力ずくで聞き出してもいいけど」
それを聞いた、真知子ちゃんが首を横に降ってダメだのアピールを横目に
僕は早速準備を始めた。
催眠が掛かると天九郎くんはスラスラ答え始めた。
高校に入ってすぐ、テスト前で部活が無い日の放課後
前々から思っていた事があった、会いたいと。
高校が違うために会えなくなっていた。
中学の時の同級生に、とても気になる女の子に
彼女の笑顔を思い出したら、会いたくて
自然と彼女の家にむかって自転車を漕いでいた。
そして、大きな交差点に差し掛かった所で
その問題が起きた。
天九郎くんは、交差点の信号が青に変わってから渡り始めた
その時、右側の方で女性の声がはっきりと聞こえて
横断歩道の真ん中辺りで止まってしまったらしい。
そして右側を確認するため振り返ると
目の前には黒い普通車が迫っていて。
そこで、記憶が無いという。
「天九郎くん、その声は、何て言ってた。」
「海堂、お前を殺すと」
聞こえたそうだ。
ここからは、りっしんべん君の情報だが
見通しの良い交差点で、左折する車からも視界を遮るものがないのにもかかわらず
運転手は、天九郎くんが見えたはずなのに引いてしまった。
脇見か、居眠りか、その車は天九郎くんを引いた後で、近くの電柱に当たって、そこで止まり
車は、それなりに破損していたが、運転手が意識不明になる程のスピードは出ていなかったらしい
被害者、加害者とも、運が、悪く打ちどころが悪かったと。
「今、海堂って言ったな、天九郎の隣に寝ていた男は確かそんな名前だった。」
「まぁ、救急で運ばれた病院が同じで症状が同じ、意識不明ってことは
同室になる可能性が無いわけで無いと思うが」
「本人は、分からんからな」
「ということは、こいつが、海堂って言うやつか」
和希ちゃんが、涎を出して、間抜けた顔になっている海堂らしい男をニヤついて見ながら
こう言った。
「こいつが、天九郎くんを引いた加害者なら、さっきの可愛がりでは足りへんなぁ」
「やりたくて引いたわけではないはずだ、先ほどの女性の声の件をはっきりする必要があるんじゃないかな」
僕は、坊主頭で、海堂と言う名前であいつの事を思い出した。
廃寺の黒いカラスの事を
とある廃寺の本堂で
あまり聞き慣れないお経らしい声が終わり
本堂から、母屋へ移動する黒い男の姿があった。
まだ日中、俺は
いつもの、儀礼魔術の日課に追われていた。
儀礼魔術とは、まぁ、願掛けみたいな物で
毎日行う事で効果のあるものや
期日を決めて効果を願うものもある。
例えて言うなら歓喜天秘法、大黒天法など詳しくは言えないが
何日か続ける必要なものから、何年も掛かるものなどいろいろあるが
俺は常に、必要に応じて普段から行っている。
この心がけが、2流3流の連中には無い、この差が命取りになる
しかしだ、最近こうやって手をかけて
蓄えている力を無駄に垂れ流していると思うと
むかつく限りだ、あの糞野郎、いつか呪い殺すとぼやいていると。
携帯が鳴った。
「まさかな」
「もしもし、呪い屋の加持さんでしょうか」
噂をすれば何とやら、これは悪い知らせに違いない。
「この電話は、お客様の都合により・・・・・」
鼻声でごまかそうとすると
何やらあいつの後ろで声がする。
「変わってや、よりりん、挨拶したいがな」
「あんたが、呪い屋の加持で間違いないな」
聞いたことの無い女の声だ。
「わるいが、相手を間違えているもう一度電話番号を確かめることだ」
「ちょっと待てや、この間、呪いを返しをやった八坂言う、陰陽師や、うちの呪い返し受けてよう無事でおるな、たいしたもんやなぁ」
何、こいつ、どういう神経をしているのか
呪いを返した者ですがだと、自分から名乗るなど、常識が無い。
無事で大したもんだと、何様だ。
あいつの周りには頭のおかしい糞ばかりか。
「お前が、返したのか、そこそこやるが、俺には及ばなかったようだな
女の陰陽師など恐るに足らん、で変われ糞野郎に」
「なかなか、元気やないか、ほな、よりりんとかわるで」
よりりんだと、あいつそう呼ばれているのか
いい年してこれは笑える。
「もしもし、よりりん何のようだ、この糞野郎」
からかい半分で口に出したが、それすら恥ずかしいではないか。
「やぁ、かじりん、実はね、聞きたいことがあって電話したんだ」
そう来たか、こいつの依頼は、すべてこの俺を笑いものにしようとする向きがある。
「悪いが、現在とてもお前と話している場合でないほど忙しんだ、また別の日にしてくれ
そう言って有無も言わさず切ってやった」
ピンポーン
玄関のチャイムが鳴った。
あの馬鹿野郎。
また玄関前から電話して来たのか
それも、さっきの女の陰陽師も連れて
ますます、呆れた野郎だ。
何回か連続でチャイムが鳴るが
そんなに直ぐに玄関に辿り着くほどこの家は狭くはない。
バッ、キィィ
嫌な音がした。
「悪いなぁ、ちょっと力を入れたら壊れてしまった、ホンマに申し訳ない」
と、すでに中に、入って靴を脱いで上がっている
ごめんとばかりに両手を合わせて頭を下げている馬鹿でかい女が居て
後ろには壊れた玄関を元に戻そうとしている糞野郎の姿が見えた。
「お前ら、喧嘩を売りに来たのか」
数分後
疫病神が二人に増え
がっくりと肩を落とす俺の心配はせずに
茶受けのせんべいをバリバリと食べながら
デカイ女のほうが、先に口を開いた。
「あんた、素人に毛が生えたような小物の呪い屋でなく、確か、東北に、昔から加持ちゅう名前で裏稼業しとる男がおってな
まぁ、向こうでは結構知れとるらしいが、あんた、もしかして関係あるんかいな」
「まぁ、仮にそうだったとしたらどうなるんだ?」
「うちの師匠は四法印夜子言うんやけど」
「知らんな」
知ってても関係ない、おそらくこいつは俺の師匠の事を言っているのだろう
親戚筋でこの家業をやっている、今は加持を名乗っているのは俺だけだ。
こいつの言う加持とはだいぶ先代の事を意味している。
四法印は確か、関西圏京都を本拠地として西日本一帯に陰陽師や、呪い師などを管理束ねている一族だ
日本政府と対等にやりあえるほどの力と組織力がある。
それが、今更どうしたのか
「で、何が言いたい」
「うちが、付いて来たんは、四法印家の下というか、グループに入らへんかと言う誘いや、いざという時は
いろんな面で助けがある、悪い話では無いと思う」
「入る意味が分からん、俺が、お前たちの参加に入る義理も道理も無い
俺には、俺のやり方がある、それでいちいち他人から指図されるのは迷惑だし、お前たちがそうしたいだけであって俺には関係ない、これからも、好きなようにやらせて貰う」
「断るでいいんやね、うちとしたらどっちでもいいんやけど、夜子姉さんが伝えといてや、言うさかい
伝えただけや、まぁ、それでも、よりりんのピンチを救ったという事実が有ることは、うちも夜子姉さんも
あんたに対しては、貸しが有ると思うとる、何かの時に返したるは」
「では、今すぐその誠意を金で返してくれるか?」
「面白いこというんやね、お金の件は一応伝えておく。」
何、本気で伝える気か、それにしても。
拝、お前はあちこちお節介を焼いて回ったようだな
無駄に顔が広いらしい。
「でそろそろ、本題に入ったらどうだ」
「海堂って名前に覚えが無いか」
「海堂、覚えが無いが、もしかしたら依頼人の中に居たかも知れんが
興味が無くて覚えてないな」
「ここの、前の寺の持ち主の名前は覚えていないのか」
「海堂、そうだ、よく知っているな、今言われるまで忘れていたよ」
本当は、心当たりがあったが
あまりにも、ほいほい、答えるのはこいつに対してはあり得ない。
「実は、こう言う事があって、何か君なら心当たりがあると踏んでここに来たんだ」
今回の事情をかいつまんで聞いたが。
「つまりは、その天九郎というガキを車で引いたのがこの寺の元住職の海堂で、事故を起こした奴と事故にあった奴が
ともに3年間意識不明で、今日になって突然、被害者のガキが生霊となって、加害者の坊主に、取り憑いてお前のところに来た、そういうわけか」
やはり、奇妙な連中が、集まるところには
似たような奴が集まるわけだが
少しばかり、金の匂いがする。
上手く立ち回れば、がっつり稼ぐ事ができそうだ。
「そのことなら、知っているが、残念ながら、ただで話すワケがない」
「よりりんの言った通りの展開で笑えるなぁ」
手で口を隠してクククッと笑っている姿が、不愉快だ。
「悪いがそんな事で俺の手を煩わせるなよ、陰陽師と超常現象診断士の二人が雁首そろえて
私達無能ですと言っているだけだ」
「僕の読みでは、君が何かの呪いを海堂さんにかけて
上手い具合に、この寺を、手にしたものだと考えている」
「おいおい、俺は1流の呪い屋の自負が有る、だがな、住む場所一つで呪いを使っていたら
効率が悪いんだよ、手間と時間と、タダで呪いが出来ると思うよな、ましてや呪い返しだとか
相手は坊さんで法力なんかを持ち合わせていたらどうするつもりだ、それだったら普通に不動産屋で
借りる方が、簡単で都合が良い」
「貴様は、そんな風に、俺を見ていたのか」
まぁ、それでも構わんのだが本当の自分なんてものは本人でも解らない
ましてや、他人が何が解る、好きなだけ言っていろ
俺に必要なのは、上辺だけの噂より金だ。
「もし知っていたら、幾らだす。」
「15万かな」
やけに具体的な金額だな、そうか
そう言って俺は考えた。
情報のみなら、悪くない
だがこいつの事だ、何があるか分からん、裏があるに違いない。
例えば、最後に尻を拭いて後始末をやっているのは、俺だとか
又は、笑いものになっているとか
考え過ぎた、情報だけで縁を切ってやれば良い。
解った良いだろう、教えて野郎と言いながら、掌を上にむけ金を出せとアピールした。
意外とあっさり手のひらには封筒が置かれた、これは一万円札であれば間違いなく15枚ある、重さで解る。
俺のスキルのひとつだ。
一応中身を確認する。
これは重要な事だ、お金対して執着があるないで敵、見方、に別れるぐらい深刻な問題に発展する。
俺は、お金に興味を抱かない奴を信用しない、お金が嫌いな奴はいないが、興味を持たない奴がこの世にはいるという事だ、そういう奴は大抵自己中心的で周りに迷惑をかけている事すら気がつかない、間抜けだ。
「まだ、悩んでいるのか?」
おっと、金の事になるとつい力が入って考えこんでしまった。
「海堂はな、僧職で在りながら、お金に目のない男で、大阪で土地を手に入れるため、土地転がしみたいな事を地元の不動産屋とやりはじめた、最初に大きく儲けたのが間違いで、何でも手に入ると勘違いして、ある土地成金の建物事買い上げようとして、抵抗されたのが気に入らなかったのか、暴力団を使って脅しをかけた、すると土地成金の方が、何者かに泣きついた」
「有名な裏稼業のブローカーにな
そこである、専門家に白羽の矢がたった
所がこれが、はったりで来た呪い屋だったんだろう、殺すつもりが
殺せず、今お前達から聞いた海堂の状態は意識不明で終わってしまった、半端な腕、半端な呪で、
でも力は、半端もののわりには力が強かったため、近くにいた、天九朗だったかそいつも巻き添えにしてしまった」
「俺から言わせれば、呪いの方も出会い頭の事故だな、運が悪い。
つまりは、出来損ないの呪いだ
呪い返しが出来るかどうか、微妙な所だ、察する所、海堂の魂はこの世にあるかどうかさえ怪しいな」
「例え、そうであったとしても天九朗君の魂はまだこっちにある、まだ諦めるのは早い」
「確かにそうやな、よりりん、目星が着いたなら、
はよ戻って手を打とうか?」
「どうやって取り戻す積もりだ?」
「催眠を生き霊にかけて、先ほどうまくかかったのなら、思ったより難しくない可能性がある」
「一部の記憶がない件は、どうするのか?」
それは、やりながら探って行くつもりだ」
「また来るよ」
とか良いがった、おまけあのデカ女の方は、やけに親しげに
「また合うときは、仲良うしてや」
と長い間、笑顔で手を振っていた。
はっ、玄関の事を意識させまいと
あんなことを
振り替えって見事に壊れた玄関を見て
15万では足りなかったなと
後悔した。
舞台は、天九朗君が入院している病院の一室
病院側を説得して人払いしてようやく
天九朗君の寝ている横のベッドへ。
天九朗君の生き霊が、とり憑いた、海堂さんを横に寝かせて、早速催眠に取りかかる。
一応、海堂さんに、とり憑いた天九郎君の生き霊に、寝ている自分の姿を見せたが、無反応だった。
この症状は僕が考えるところの、生き霊とかの、強い思いが思念体となって現れたとき、彼らは一方通行見たいなもので、言葉はしゃべっても自分の思いを一方的に喋るだけで、こちら側の事など
聞く積もりはないし、本来こちら側の言葉を理解出来る程高度な物ではなく
録音した、テープが再生しているようなものだ。
良く会話するとか言う例を聞くがあれもこちら側が、都合よく感じ取っているだけに過ぎない
それ故に自分の本体を眺めても
本来の目的出はないので
一切興味を抱かないのだ。
そして後で、記憶の混乱が何故起きたかは。
中途半端の呪いが一部の記憶も飛ばしてしまった、呪いによって持って行かれた可能性もあるし、先ほどの挙げたように
生き霊達は、思ったほと沢山の情報を処理出来ず、あの手に持っていた写真の姿の真知子ちゃんを探していた可能性が高い。
今でも、写真に写っていた時のセーラー服を着れば、真知子ちゃんが認識できない問題は、解決したかもしれない。
もしかすると、天九朗君が目を覚ませば記憶の混乱の問題は、3年間の意識が無い時があったとはいえ、真知子ちゃん本人を目の前にすれば時間の流れだとか、意識不明だったこともどっかに置いて、二人は仲良く話じめるのではないかと思いながら。
催眠で自分の体に戻るよう支持し、だんだん意識がはっきりとして
「僕が手を叩くと、天九郎くんは目を醒ます、はい」、パチンと手を叩いた
すると天九郎君は
案の定、というかあっさり
天九朗君は目を覚ました。
「あれ、僕、真知子ちゃんに会いに行ったはすなのに」
「会いに来てくれたよ、天九朗君は」
真知子ちゃんが顔を側まで、近づけて、そう言うと
「会いたかったんだ、でもずっと会えなくて、ずっと探してたんだ」
涙を流しながら天九朗君は言う
「大好きだ、もう離れたくない。そう言って抱きついた」
「ちょっと待って天九朗君、私だって嫌いじゃないけど」
「返事はすぐでなくてもいいよ。」
「じゃあ、後で返事するからそれで良い。」
「だってまた君に会えて、今こうして話せてるのが凄くうれしいんだ。」
「あかん、あかん、よりりん、若いもんに任せて、年寄りは席、外そうか」
「しかし、よりりん、海堂はもどらんかったなぁ?」
魂、霊の存在が無くても
死なないって事があるのか、それとも僕らでは解らない方法で繋がっていてかろうじて肉体を維持しているのか。
そもそも、霊魂自体が無い可能性があるが
意識障害というものが起こると言うことは、意識と一緒に霊魂も深い深層意識の奥に閉じ込められてしまうのかも知れない。
それならば、海堂の件も解明はできていないが
納得出来る部分もある
今回の件は、時間をかけて調査する必要性があると言うことかな。
今回の件で、得る教訓は
もっとも恐ろしいのは曖昧とか中途半端とかであり、これらが引き起こす原因は予想外であるが、それは本当に予測不可能であるかと言う問に対して今現在明確な答えはない。
つまりは、その不確定要素に対しては、後手に回るしかないが、必ずしも答えが無いわけでもない。
本人がただ、どうしたいかである
例え意識不明であっても、諦めるのは簡単ですが、私は、あらゆる手段を持って挑み続ける用意があります。完全予約制になっております、どうか、お手柔らかに。