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幼なじみの黒魔術のせいで異世界にやってきたが今後のことが不安で仕方が無い。

 前回までのあらすじ。

 幼なじみの黒魔術に付き合ったら女にさせられた挙げ句、異世界に飛ばされてしまった。

 というわけで尋問が終わったので俺は自室に戻ることが出来た……。

 などという都合の良いことはなく、俺の自室は立ち入り禁止区域に指定され俺の私物は全て押収されていた。

 酷い、こんな展開最悪だ。

 俺のエロマンガは全て検閲されることになったわけである。

 ……とても恥ずかしい。

 自分の性癖が他人にバレるのだと考えると死にたくなる。

 返してもらう時は「うわぁ……こいつこんなの好きなのか、引くわー」と思われてるんじゃないか?

 アダルト商品を買う時に店員に自分の性癖をバレるのが嫌だから買う時は店頭じゃなくて通販にするのってこういうことがあるのが嫌だからだよね。

 ……うん、プライバシーって守られないとダメだ。


 一番はスマホとPCだ。あれの内部メモリーやハードディスクにはそりゃエロ動画が大量に……この世界って電気あるのか?ないならPCは大丈夫、スマホは……ぶ、ブックマークは大丈夫だろうが画像とかは……ガクガクブルブル。


 コレクションの心配はもはやするだけ無意味なので違うことを考えよう。

 俺達の生活だ。

 自室を奪われた俺とそもそも無い忍のために女王は使われていない屋敷をくれた。現在俺達はその屋敷に向かっている。馬で。



「ミコトー?この道で合ってるのー?もしかして迷ってないー?あと、ボクは乗馬の経験無いからお尻が痛いんだけど?」

「尻が痛いくらいで泣き言を言うな。こっちは骨格から違うから違和感バリバリなんだ」

 もしかしたら女性ホルモンの過剰分泌のせいで女性っぽい顔になったのかと淡い期待を抱いたのだけどオッパイはCカップくらいあるし竿も玉も無い。

 そんなに世の中上手く行かないようだ。……いや違うな、これが上手く行き過ぎておかしくなっているんだ。上手く行くな!!なんで異世界なんかに来れちゃうんだよ!


「あ、体の変化ってどんな感じ?やっぱり興奮する?」

「黙れ、しばくぞ」

「良いじゃん、教えてよ。ねぇねぇ、今どんな気分?」

「……そうだな、限りなくホームシックだ」

「……ホントごめん」

 ようやく五月の蝿みたいに煩わしい奴が大人しくなった。



 ~5分後~

「ミコトー?まだ~?」

「まだじゃね?」


 ~10分後~

「ミコトー?やっぱり迷ってない?」

「あー、そうだな、いや気のせいだろ?」


 ~15分後~

「ミコトー?これ絶対迷ってるでしょ」

「何回も同じようなこと訊くんじゃねぇよ!!一本道なのにどうやって迷うんだよ!!」

「その気持ちも分かるけど、これで本当に道に迷ってたらしゃれにならないと思うけど?」

「じゃあお前が先導しろ!なんで人任せなのに文句言うんだよ」

「だってボク方向音痴だし……。ほら?小学生の頃の遠足で遭難したの覚えてる?」

「……あれか?お前が勝手に進みだして私有地に入ったり鍾乳洞の中に進んだりしたあれか?」

「そうそう!」

 懐かしいなぁ……。

 『うわ~ん、まよったぁぁああーー!!トイレ行きたいー!!ママァー!!』ってお前泣いてたからなぁ……。

 何がどうしてこんなアホになってしまったんだ……。


 そして馬で移動して約2時間半、ようやく目的の屋敷に辿り着いた。。

 な、なんて不便な場所にあるんだ……。避暑地としては良いかもしれないが、ここに住むとなると話が変わる。

 別の場所に引っ越したい。できれば隣にコンビニがあるような世界に。


 屋敷の外観は何か変な植物の蔓が纏わり付いている。

 内部は埃が大量に積もっている。

 放置していた倉庫みたいだ。これじゃあ寝ることすら厳しい。


「うわぁー、こりゃ酷い。おばけでも出てきそう」

「嫌なことを言うなよ。もう俺は何ってもおかしくないと思ってるから色々怖いんだ」

「ま、まぁまぁ……もっとこの世界を楽しもうよ。住めば都って言うじゃん?」

「都ねぇ……少なくとも性別はどうにもならないんだけど?」

「ぼ、ボクだって君の性転換までは予想の範囲外なんだよ……」

 はぁ……やっぱお前と居るとろくなことになんねぇわ……。


 2時間半も馬に乗ったので疲れた。

 慣れれば楽らしいが初めてだからとても疲れた。

 文章が稚拙なのは疲れているからであって、俺がバカだからではない。断じてない。


 というわけで木陰で休憩。

 本当ならこの阿呆のおふざけに付き合って気が済んだところで帰ってもらった後は平和な休日のはずだったのだ。

 ゆえに休憩して何が悪い。

 むしろここで昼寝することは至極当然なのだ。


 俺は無造作に放置され気味悪い感じになっている庭の樹にもたれかかる。


「つうわけでお休みー」

「ちょ!ちょっと!なんでナチュラルに昼寝しようとしてるの?」

「別に良いだろ?朝から叩き起こされたと思ったら桶やらシャンプーボトルやらを投げられ、怖い女王に尋問されて2時間以上も馬に乗ってたんだぞ?これで心身ともに疲れない奴って異常だろ?」

「け、けどさ。この家の掃除とかどうするの?」

「お前がやれ。そんくらい頑張れよ」

「この家の大掃除をボク一人で!?」

「黙れ、苦情反論質問講義その他諸々は俺が起きた後で良いなら聞くだけなら聞いてやろう」

「聞くだけ!?その上起きた後!?それってボクに拒否権ないってことじゃないか!?」


 おバカさんが何やら文句を言っているようだが知らない。

 文句を言いたいのは俺のほうだ。


 考えてもみてくれ。

 日曜という一週間で一番の曜日に強制的に性転換せられて異世界に飛ばされれば誰だって文句を言いたくなる。

 が、俺は既に彼女に八つ当たりしているのでこれ以上は言わない。

 まだ怒ってるがな。

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