幼なじみの黒魔術のおかげで異世界にやって来たが、古代人の黒魔術のおかげで俺はグッドエンドを迎えられそうだ。前編
前回のあらすじ、
古代人がなぜこの異世界にやってきたかが分かった。
それ以外はただの世界論の考察でしかない。
この部屋を出てホテルに戻ることを決めたが、このダナーはどうしようか?
ここで待機させて金塊を作ってもらうと言うのもアリだし、これから俺達と一緒に屋敷に戻り駄メイドと共に使えさせると言うのもアリだ。
どちらを選ぶか迷うな。
「遺跡の外までお見送りいたしましょうか?」
「そうしてもらえると助かるよ。この遺跡には化物が闊歩してるからね」
ダナーの提案に忍がお礼を言う。
そうだった、俺はこの洞窟に隠れていたこの隠し部屋に逃げ込んできたんだ。
「化物ですか、ご安心ください。外の生物がどのような進化をしたとしていてもこの人造人間の敵ではございません」
そんな物騒なことを呟き、これまた物騒な銃火器を両腕に装備した。
わずか一瞬で銃を装備したのも古代人の技術なのだろうか?
この遺跡の内部がなぜこんなことになっているかは調べなかったな、これは後日でいいか。
「ミコト、この人は強いの?」
「あぁ、最初に俺とであったときは俺を殺そうとしていたからな」
「え!?」
そりゃ、出会い頭にゴム弾で気絶させようとして衣服を脱がせて身体検査してきた奴が俺の従者になりたがるなんて予想できないよな。うん、俺もだ。
「あの件について激怒しておられるのですか?」
「いや、大丈夫だ。お前は俺に贖罪してくれるみたいだからな」
「恩情、感謝です」
こいつが居なければ俺はまたこういう意味不明な遺跡に連れて来させられてダンジョン攻略を延々とやらされたかもしれない。こんな展開は二度とごめんだな。まだハゲデブエロ公爵のセクハラの方がマシである。
そういえば、金が手に入れば酒池肉林ができるかもしれん。
もちろん、この肉と言うのは食肉だけではない、性的な肉も含まれている。
俺は20歳だ、そういうことをやっても許されるはずである。
隠し部屋を出て、隠し通路を通り洞窟から出る。
「ギョギョギョギョェワーーーー!!!!」
あの化物の咆哮である。この辺りは化物の縄張りなのかもしれない。
「敵対生物の存在を確認。視認できるポイントに移動します」
機械的な台詞を言って、ダナーは化物の正面へ走った。俺と忍は化物に見つからないように茂みに隠れながらダナーの後を追う。
「グュウウウ」
化物はダナーに対して唸り威嚇している。
だが、威嚇を無視してダナーは化物に銃弾の嵐を食らわせる。
「Take this. (くたばれ)」
材質不明の無数の弾丸が化物に命中し、化物は虐められた野良犬のように逃げていった。
「「お、おぉぉーー」」
俺と忍はその鮮やかな仕事に感動し拍手する。
「恐れ入ります」
こいつは現段階では最強の存在なのかもしれない。
こいつさえ居れば女王たちと戦争になっても勝てるかもな。
でもやんないよ?そんな展開はごめんだ。
確かに女王は倒したい、だがそういう野蛮なことはしたくない。
それは物語の悪役がやることだからな。
俺はただあのクソババァに「ぐぬぬ……」と言わせたいだけなのだ。
『勝つためには手段は選ばない』と言ったな?あれは嘘だ。
だって策を講じる必要なんて大してないんだから。
錬金術と俺達の知識さえあればこの世界の奴等に負ける理由はない。
奴等が俺達同様にこの古代人の技術を手に入れれば負けるかもだが、もしも手に入れたのなら俺は用なしだし、異世界の言葉が読めないのだからアクセスキーすら手に入れられないだろう。
以上より、俺達は負けない。
これにて証明を終了する。
と俺は数学の証明問題風に証明してみる。
ダナーのおかげで遺跡の帰路はハイキングの様である。
非常に楽であった。
近づいてくる未知の生物に空気弾や電気ショックを与えて追い払ってくれる。
なんと心強いことか、一家に一台人造人間!
古代人はそんな感じだったのかもしれない。
「ところでダナー、お前には不可視状態とかは無いのか?」
「可視光線を透過させる程度でよろしいのであれば私にもできます」
十分過ぎるわ。
「ならば頼む。忍、念のため言っておくがダナーのことはミシェルとパティ以外には言うなよ?」
「いいけど、なんで?」
「それはホテルに帰ったら教えてやるよ。それからダナー、俺が『忍、帰るぞ』って言ったら馬車に付いて来い」
「了解です」
こうして俺達3人は遺跡から脱出。
駐屯地に歩いて戻ってきた。
「ミコト様!ご無事で何よりです」
調査員が俺の身を案じてくれる。
どうやら調査隊は俺達よりも早くに遺跡から脱出していたようだ。
「心配どうも、てっきり俺達を探してくれてるものかと思っていた」
「いえ、ミコト様達はハグれた後に何処かへ避難しているだろうと考えたため我々だけで調査を進め、後日またご同行してもらおうかと思ったのです」
「はぁ……なるほど。で、成果は?」
「特になしです」
それを聞いて安心だ。
俺達は超ありますけどね♪
「では、ホテルへ戻りましょうか?ミコト様達もお疲れでしょう」
「それは有難い。心身ともに疲労してしまったので。『忍、帰るぞ』」
「うぃ~」
紅茶を飲みながら馬車に乗ってホテルに戻る。
ダナーが馬車に追いついて来れるかを考慮していなかったが、馬車の後ろから人の足跡が存在しているところから考えてダナーはちゃんと追ってきているらしい。
ハイスペックすぎるな、この人造人間。
謀反を起こされたらと想像すると恐怖だ。
「お帰りなさいませ、ご主人様、お嬢様」
「ただいま」「よきにはからえ~」
パティの挨拶に俺達は挨拶し返す。
久しぶりにそのアホな挨拶を耳にして安全な日常に戻ってきたのだと実感。
……安全な日常?
今、そう思った?
この悪夢のような日常が安全?
女王に脅迫され、エロ公爵にセクハラされ、未知の怪物に咆えられる。
そんな日常であるぞ?
(いや最後のは違うかもだが)
本当に酷いな、中学や高校の理不尽な先生達の方がまだ優しく思える。まぁ、実際優しいのだろう、優しさのベクトルがおかしかったり保身が大事だったりだろうが。
おっと、ダナーのことを忘れていた。
「ダナー、不可視状態を解除しろ」
「了解です」
そう言って透明だった姿が忽然と姿を現した。
「ほぁ!?」
パティがダナーの出現に目をパチパチさせて口をぱくぱくとしている。
無理もない。
俺だって同じ事が目の前で起きたら『ステルス迷彩ってもう発明したのか!?』と驚愕していただろう。けどその前に自己紹介や錬金術で十分驚いたからな。
ましてパティはステルス迷彩とか透明マントとかそういうSF的な技術にも疎いだろう。
化石燃料すら分からなかったし。
「ダナー、こっちの女性はお前の先輩にあたるパティだ。敬意は払わなくても良いが立場は彼女の方が上だと思ってくれ」
「認識、対象を上司として接する」
ダナーの方は予想通り簡単に理解してくれた。
問題はパティだ。
「パティ、こっちはこれから俺の(ここ強調)従者になるダナーだ。役職的にはお前の部下であり後輩になる。以上、質問は?」
「私が疲れているのでしょうか?そこのダナーさんが突然現れたように見えたのですが、彼女もミシェル様と近い存在なのですか?」
「いや違う。原理を説明しても良いがお前には理解できないだろうから」
「バカにされている気がしますが、まぁ良いでしょう。私の前でそう何度も消えられても困りますけど」
バカになんてしてないさ、俺も理解できないだろう。
だって、俺達の世界の技術でも一応透明マントは出来ているらしいが、後ろの空間の映像を観測者に見せることで擬似的に透明になるって感じで実用性は皆無らしい。つまり映像を映し出して擬態しているわけ、変色して擬態するカメレオンに近いのではないだろうか?迷彩とかギリースーツとかを機械的に再現している。
解像度?悪いんじゃない?俺はミリオタじゃないから知らぬ。
それに対してこいつはどういう理論かは分からないが被写体に光が当らないようにしているらしい。
ところで、透明マントって作られたら犯罪の匂いがやばいよな。
暗殺だろうと性犯罪だろうと完全犯罪にするのは容易なことであろう。
エロマンガなんかのネタで透明人間ってネタが非常に多いのは尾行して不法侵入することも透明人間なら楽勝だからな。不法侵入してから何をするかは皆さんの妄想に任せる。
悪戯で済めば良いが睡眠姦なんてのはまさに外道!
「パティ氏の注意事項を把握、マスターの指示無しに不可視状態には移行しないことを確認します」
「……あぁ、それでいい」
「承認を確認、設定を完了しました」
面倒だ、これで自称『ロボットじゃありません!!』だからな。
だがこいつの性能の全てを把握しない限り自由にはできない。
人造人間の説明書はありませんか?
ありません?はぁ……。




