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まさかここで我が黒魔術師の幼馴染が真価を発揮するなんて思わなかった…その弐

 前回のあらすじ、

 モンスターパニックで命の危機を感じ、安全そうな洞窟の中に逃げ込む。

 隠し通路の内部も土で固められておらず未来都市の建物みたいな無機質な感じである。

「なんかこういうのってドキドキするよね」

「ワクワクじゃなくてドキドキか、吊り橋効果で俺に惚れるなよ?もしくはゲレンデマジック」

「なにそれ?」

 どうやらこいつはどっちも知らないらしい。

 恋愛に全く興味ないだけのことはあるな。


「吊り橋効果ってのは『吊り橋でビクビクしている時の感覚を恋と錯覚してしまう』という実験結果から『人は興奮している状態を基本的に恋と錯覚する性質がある』って実証した効果のことなんだ」

「へぇ~、人間ってそんな単純な生物なんだ。もっと利口な生物だと思ってたよ」

「理性があろうと結局は動物だからな。心理的作用には逆らえない」

「だね。……あれ?興奮している状態を恋だと錯覚するなら戦国武将に男色家が多かったってのはそういうことなのかな?」

「かもな。ガチホモってのはそうやって生まれていったのか……」

 いや、きっと偉い人間ってのは子孫繁栄を他人からも強制され、事務的に子孫を残していたから女を性的に見なくなったんじゃないか?

 知らんけど。同性愛とか理解できないけど。

 だってノンケだもん。体が女でも俺の魂は男だから。

 男に犯される展開だけは絶対にイヤです!!


「ちなみに男が女をホラー映画やお化け屋敷に誘うのはこの吊り橋効果を狙っているからなんだ」

「ん?ホラー映画を見たりお化け屋敷に入ったりするのは女性が男性に抱きつくのを狙っているんじゃないの?」

「女から誘っているならまだしもそれを狙って誘う男ってのは少数派なんじゃないか?」

「と、幼馴染のボク以外の女子と映画や遊園地に行ったことない非モテ男子がデートを語ります」

 このアマ……。何も言い返せねぇ……。


「で、ゲレンデマジックってのは?」

「ゲレンデマジックと言うのはゲレンデ、つまりスキー場という非日常な空間で気分がはっちゃけ、スキーという慣れない技術について教えてくれる異性に通常以上に頼もしく感じる現象ことだ」

「あぁ、それならボクも分かるよ。先日、こんな風にボクらのお化け屋敷の隠し通路を歩いてた時のミコトは非常に頼りになったよ。アレは怖かったからなぁ~」

 どうやら知らず知らずの内にバカ幼馴染ルートのフラグを回収していたらしい。

 回収したフラグを今すぐにでもへし折りたい!


「でもその理論が本当に正しいならバカそうなサークルの奴等が合宿したがるのって?」

「おそらくそうだろうな。修学旅行の後とか文化祭の後とかでバカが告白したがるのもそういう理由なんだろうな」

「まったく、何かに頼らないと告白することも出来ないチキンには嫌気が差すよね」

「…………」

「ミコト?どうしたの?」

「悪意なき暴力ってあるんだなと思ってさ」

「??」

 忍は何が何だか理解していないらしい。

 ご存知だろうか?俺がその臆病者チキンさ。


 話を切り替えるか。

 このままこういう恋愛系の話をすると俺の精神力がもたない。


「しかし、お前はやっぱり変わってるよな」

「今更だね。ボクのどの辺りを見て改めてそう思ったの?」

「だってお前は幽霊とかダメじゃん?暗いところは基本的にダメなのかと思ってたのに進んでこんなとこを進んでる」

「幽霊は目に見えないから怖いんだよ。自分じゃ絶対に勝てない命の危機が怖いんだよ。でも火があれば動物は近づいてこないって聞くし」

 あー、なるほど。けど灯りには虫が寄ってくるけどな。

 火にも近づいてくるのか?死ぬから近づかないだろ?

 あれ?じゃあなんで虫は灯りに寄ってくるのだろうか?

 気になります!気になります!


 隠し通路を抜けると俺の自室なんかとは比べ物にならないくらいの秘密基地のような感じである。

 秘密結社の秘密基地と言うのがもっともこの部屋に相応しい称号だろう。

 もしくは宇宙戦争か何かの宇宙船の作戦会議室とか。


「ほへぇ~」

 忍が感嘆している。確かに凄いよな。

 よく出来たアトラクションパーク並に凄い。


 色々と部屋を調べてみる。

 だが部屋の壁に大量に文字が書かれていることにすぐ気づく。

 文章から察して英語のようだ。

 これなら俺にも読める!

 と思ったが、単語が分からない。

 俺ってホント無能。


「ミコト、これ……凄いよ……」

 俺とは違い、文章の意味を理解できた忍が感動していた。

 どうやら忍にはこの文章にとってそれだけ意味のあるものであったようだ。


「忍、読めるなら俺にも教えてくれよ」

「それは無理」

 ムカつくことしか言わないのな、こいつ。


「悪いけど、ボクにもこの文章の全ての言語が読めるわけじゃないし」

「は?そりゃどういう意味だ?」


「ここには様々な言語で書かれてるんだ。英語にフランス語、ドイツ語にロシア語、中国語に韓国語、そして日本語」

「日本!?」

 忍が指差した一文を見てみると確かに日本語だった。

 古文じゃないので俺にも読める。

 なになに……『白き巫女様こそが我等にとっての救世主であった』

 ……うん、どういう意味なのか全く意味が分かりませんね。


 『白き巫女様』ってのはどういう意味なのだろうか?

 古文じゃないということは明治以前ではないと思われる。

 なのになんでこんな非科学的なことを書いているのだろうか?

 古代人は古代人であって、未来人ではなかったのか?

 それじゃあ古文じゃない理由が分からない。


 ということは未来人はオカルトが好きな人種なのか?

 変わってるなぁ、と俺は結論付ける。


 てなわけで忍に意訳を教えてもらおう。

 あの一文だけでこの文章全てを理解するのは出来ないが8割程度分かっているであろう忍ならば大まかな訳はしているだろう、さっき感激してたしさ。


「忍、いい加減教えてくれよ」

「ちょっと待ってよ。ボクもまだ読んでる途中なんだけど」

 と言いながら忍が先ほどのように壁に半回転して吸い込まれていく。


 すぐに戻ってくると思ったがなかなか戻ってこない。

 壁に触ってみるがビクともしない。

 どうやら忍とは完全にはぐれてしまった様だ。


 一応、俺も大学で第二外国語として中国語を習ったが全く役に立つ気配がない。

 仕方ないので先ほど以外の英文を探してみる。


 あった!それにこの文章なら俺にも読めそうだ。

 ええっと、『Our world has been ruined.』

 ruinってのが滅ぶって意味だから『私達の世界は滅亡してしまった』ってとこか。


 次の一文を読もうとしたのだが、訳した瞬間に絶句する。

 『Because, only black magic is light of hope.』

 これを訳すと『なので、黒魔術だけが希望の光です』


 2つの文を繋げると、

 『私達の世界は滅んでしまった、だから黒魔術だけが唯一の希望の光である』

 という感じなのだろう。


 おいおい、こりゃどういうことだ?

 国じゃなくて世界って所が怖い。

 おまけに黒魔術が希望の光って言ってるのが分からない。


 未来人は黒魔術を技術として利用することが出来るのか?

 訳が分からない……。

 しかも最初の日本語の文章には『白き巫女様』ってのが救世主だって言ってた。

 となると『白き巫女様』が滅んでしまった世界に黒魔術を伝えたのか?


 本当にどういうことなのだろうか?他の文も読めば何か分かるかもだが、残念ながらこれ以上俺が訳せそうな文は何もない。




「Freeze! (動くな!)」

 なぜか英語で俺に敵意を持った人物が後ろから警告してくる。

 もちろん、俺は動かず沈黙を保つ。


「Who are you? (お前は誰だ?)」

 名を名乗れってことなのだろうか?

 以前、似たようなことがあった気がする。

 具体的に言えば王城で、大魔王様に。


 とりあえず、俺はお粗末な英語力で対応してみる。

「あ、アイム ジャパニーズ。プリーズ スピーク ジャパニーズ」

(訳、俺は日本人です。できれば日本語で話してください)

「Jpanese?尋問対象を日本人と判断。使用言語を日本語に変更します」

 なにやら妙な発言をしてその人物は少々時間を置いた。

 俺はそのスキに振り向いてその人物の顔を拝む。


 その人物は深蒼のドレスを来た黄金の髪の毛をした白人女性であるらしい。

 古代人の末裔なのか、それとも俺達同様の異世界人なのかと俺は疑問に思う。

「では再度問いましょう、あなたは何者ですか?」

 拳銃の銃口をこちらに向けて女性は俺への尋問を再開した。

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