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女王様のせいで古代遺跡攻略が始まりそうである。後編

 前回のあらすじ、

 ホテルに戻ってきて古代遺跡について考察してみただけである。

 パティが作ったフルーツポンチを忍とミシェルがそれを頬張る。

 最初に会った時もだったけど、ミシェルはフルーツが好物なのか?

 メモっておこう。脳内ハードディスクドライブに記憶だぜ!


「ミコトは要らないの?」

「もうすぐ夕食なんだぞ?せめて食べ終わってからだな」

「そっか」

 などと俺との会話などどうでもいいのか、それともただの社交辞令だったのか、忍はフルーツポンチに夢中である。

 もちろん、ミシェルもだ。


 なんだろうか?

 世の女性達はそんなにフルーツが好きなのだろうか?

 いや、俺だって好きだよ?

 けど、無我夢中になるほど好きかと言われればそうではない。

 給食で余っていれば御代わりするかもだが、プリンのようにジャンケンで争うほどではないと思うのだが?


 2人が俺のことなど気にしていないからと言ってムクれる訳ではない。

 作業なんていくらでもある。

 報告書の方だって明日でも良いがそれも仕上げる必要はある。


 けど、最優先事項はそれではない。

 俺はスマホを取り出し充電器で充電する。


 ぎぃ~ぎぃ~と部屋に物音が響く。

「ん?ミコト、何やってるの?」

 忍が物音のことが気になったのか質問してくる。

「自家発電」

「え!?あ、ごめん。ボクらは席を外すよ」

 俺の回答に対してなぜか謝る忍。


「あ?……おい、お前ぜったい変な想像してるだろ」

「え?だって自家発電してるんでしょ?」

「いやお前、違うこと想像してるだろ」

「お、女の子にそういうことを言わせるのはどうかと思うよ?セクハラだよ?」

「お前が卑猥な想像をしてるからだろうが!」

 このアマ、自家発電と聞いてなぜ隠語の方を想像してるんだ。


(忍ちゃん、『自家発電』って何?)

「えっとね、オナニーのことだよ」

 質問したミシェルが忍の言葉を耳にした瞬間に顔を真っ赤に染める。

 以前忍が紅潮した時(第2話『幼馴染の黒魔術のせいで女にさせられただけじゃなく俺はとんでもない目にあってしまった。』参照)の顔を見たことあるがそんなのとは比較にならないくらいにカワイイ!!加点150点!!


 などとミシェルの可愛さに悶えている場合ではない。

 しっかりと忍に言わねばなるまい。

「ミシェルにはなんで真顔でそういうことを言うんだよ」

「ボクはミコトとミシェルの『ミ』が付くコンビ、略して『ミコンビ』にはセクハラすると誓ったんだ。だから、ミシェルが恥ずかしがりそうなことは言うのだ!ミコトに言ってもボクにはメリットなさそうだし」

 そうか、でもなんだそのアホみたいな略称は?

 ミコンビってミニコンビニの略称みたいだな。

 ミニコンビニなんて無いだろうけど。

 もしくはミサンガとか。


 だが、これだけは心の中で言ってやろう。

 グッジョブ!!!!

 それでこそ我が心の友よ!


「話を戻して、自家発電って言ってたけどオナニーのことじゃないなら何してるの?」

 なんで第一候補がオナニーだと思ったのだろうか。

 俺が部屋に女子がいるのに陰部を弄るようなアグレッシブな変態と思われているのだろうか?

 まったくもって不本意だ。

 不本意極まりない。

 抗議の書面は何処に送れば良いのだろうか?


「そのままの意味だが?」

「そのままって……発電機なんか持ってきたの?」

「もちろんだ」

 と言って俺は回れ右して発電機を忍に見せた。

 因みに俺が持っている発電機は非常時に使うことが出来るためにハンドルを手動で回して発電できるようにしているヤツだ。

 USB端子を搭載しているので互換性はかなりある。


 これさえあればネットからダウンロードしたエロ動画も……。

 ゲフンゲフン、何でもないよ?

 イヤホンなんか持ってきてないよ?

 深夜にこっそりと見るつもりなんて無いよ?これっぽっちも。


「まったく、ミコトは用意周到だね。……あれ?ってことはスマホでゲームって出来る?」

「ソシャゲみたいにネットに繋がってないとダメなヤツは論外だぞ?」

「……じゃあ何があるの?」

「レバー操作が出来ない格ゲー、ファミ○ンレベルのRPG、あとはテト○ス風の落ちゲーかな?オセロや将棋も一応できるが」

「ボクが好きなシューティングは?」

「入ってないな(体験版しか)」

「クソがッ!」

 切れられても困る。

 俺はシューティングは嫌いだから入ってないんだ。

 あの弾幕は無理、避けられない。

 なんであんなにイカれたほど弾を出すのかね?

 初見じゃ絶対に対応できないだろ?

 ロボットアニメのエースパイロットでもない限り無理無理無理。


「じゃあ格ゲーで良いからやらせてよ」

「だが断る」

「ざけんな!!この流れならやらせてくれるのが当然じゃないか!!」

 マジギレされた。仕方ない。


「じゃあ、お前が俺の変わりに発電するならやらせてやる」

「え!?本当に!?」

 そう言って俺から俺のスマホを奪い取る。

 って!ちょい待てよ!

 俺の内部メモリにどれくらいの見せられないような画像が入ってるのか分かってるのか?いや、分かられては困るけどさ。



「ミコト様、食事の準備が出来ました」

 ホテルのスタッフが部屋に入ってくる。


「だから!なんでそこでジャンプしたんだよ!そりゃCPUに対空技使われるに決まってるじゃんか!」

「CPU戦なんだから好きにやって良いじゃんか!小ジャンプからのめくり始動のコンボとかタッチパネルじゃ厳しいって!」

「ちげぇよ!そもそもジャンプすんなよ!」

 スタッフのことなど無視してスマホの格ゲーに熱中している。


「あ、あの……ミコト様?」

「あぁ、スマン。あと5分くらい待ってくれ」

 よくあるよな。

 『あと5分だけ』って言うんだけど、実際は5分では終わらない。

 二度寝の時とかさ。二度寝の時の『あと5分だけ』は絶対に信じてはダメだ。


 結局、忍は15分ほどゲームをやった。


「はぁ、久しぶりのゲームは楽しいねぇ~」

「まぁな、ちゃんと発電機を回しとけよ。回さなかったら二度とゲームやらせないからな」

「ご飯食べて、お風呂に入って、それから寝た後で発電機を回すよ」

「回す時間なくね!?」


「たくぅ、分かったよ。食後の運動に回すよ。だいたいどれくらい回せば満タンになるの?」

「そうだな、あと20分も回せば良いんじゃないか?」

「そんなに!?」

「がんばれぇ~♪」


 食堂で夕食を食べていると調査員さんがこっちに話しかけてくる。

「お食事中失礼します、ミコト様。お二人には明日、調査隊の一員として同行してもらいたいのですが?」

「ん?俺達もか?」

「はい、古代語解明にはお二人の協力が不可欠なのはご存知のはず。古代語の文字を書き写してこちらに戻りお二人に翻訳してもらうよりも同行してもらう方が効率的であると判断したのですがよろしいでしょうか?」

「問題無いが、その場合はバカの分の報酬も出してもらわなければこちらも困る」

「分かりました、経費で降りるか聞いて参ります」

 そう言って調査員さんは食堂を出ていった。


 さてさて、つまり遺跡攻略には俺達も出撃しなければならないらしい。

 面倒だが、これが今の俺達の仕事だ。

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