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女王さまのおかげで北方への旅、そして……何かが始まったようだ。その参

 前回のあらすじ、

 駅に到着して、馬車に乗り、スイートルームに泊まる。

 ……最近、テンポが悪くないか?

 大丈夫かこんなので?

 分からない、

 分からないから足掻くんだ!!

 ホテルで朝食を取り、ロビーに向かう。

 無論、BPの分の朝食代は俺が払わなければならない。

 語っていなかったかもだが、パティは3食寝床付という条件で雇われている。

 衣食住のうち、衣を除いた食と住を俺は補償してやることになっている。

 衣は派遣会社が提供してくれているからな。


「おはようございます、ミコト様。体調はよろしいでしょうか?」

「ふわっふ……おはよ」

 眠い目を擦りながら挨拶してきた遺跡の調査隊に挨拶し返す。

「昨夜はお楽しみだったのですか?」

 その質問で頭が冴えてきた。おいおい、嫌なこと言うなよ。

 お前らにはミシェルが見えていないんだろ?

 忍とパティとだって?

 ……あまり想像したくないな、この2人との3Pは……。


「あまり、嫌なことを言うなよ。想像したくない」

「へぇ~。ミコトはボクとそういうことしたくないんだ?」

 なぜか、ここに忍が居て俺に質問してきた。

 良い機会なのでこいつとのフラグをへし折ってみよう。


「あぁ、願い下げだな」

「ホワイ?なぜ?」

「童貞にも選ぶ権利がある。いや、童貞だからこそ選ぶ権利がある」

 童貞、それは夢を抱きし者。

 童貞、それは真理を追いし者。

 童貞、それは穢れなき魂を持ちし者。


「そんなにボクには性的な魅力はないかな?」

「そうは言ってない。誰にだって魅力はあるさ。お前はブスってわけじゃない」

 だが、性格が酷い。友達としては最高だが、恋人としてはどうなのだろうかね?

 誰もが純粋無垢な子供であった、そして醜悪な現実を知り失望していく。

 けれども、こいつの心は未だ清廉なのだ。

 しかし、残酷なほどに綺麗過ぎる。

 白は白でも、虚無というよりは消滅という感じだな。

 同じに感じる?

 白紙の白と修正液の白は同じ白でも別の白だろ?

 そういうことだ。


「ふ~ん、それは褒められているの?」

「あぁ、絶賛だ。……ところで忍、なんでお前がここに居るんだ?」

「え?いや、暇だし」

 こいつはブレないな。本当に尊敬するよ。

「別に楽しい遠足に行くわけじゃないんだぞ?それにパティには来られても困る」

 金は4000万もあるが、浪費するわけには行かない。

 目標は1億ダラーだからな。

 必要経費以外の支出は避けなければならない。


「バカにしてるけど、ボクはミコトよりも外国語は得意だよ?」

 実はそうなのだ。

 こいつは英語だけは人一倍得意である。

 英語だけではない。

 外国語全般が得意で、多種多様な言語を喋ることができる。

 俺が知ってるだけで日本語と英語、中国語にロシア語、フランス語やスペイン語も喋れたはず。


 数学や化学や力学はお手上げなのだが英語に至ってはスペルミスすら許さないほどの完全さ。

 将来の夢は通訳者と胸を張って言えるほど上手かった。


 どんなバカにも取柄くらいある。

 問題はその取柄を活かすことができるかということだ。

 現代社会ではこの取柄なんかを無視している。

 というよりも活かすことができない。

 そりゃ一般人なら水泳が得意でも役に立たないからな。

 水泳が得意だからと言う理由でライフセーバーにはなれない。


「ま、お前が来るって言うならそっちの方が俺も楽できそうだから良いけどさ」

「やったね!」

 テッテレー♪忍がパーティに加わった♪


 忍(栗原忍)

 職業:ニート

 属性:幼馴染

 性質:怠惰(2ターンに1度行動不能になる)

 能力:黒魔術(空間ごと異世界に飛ばす)

 備考:雑魚


 プロフィールはこんなものか?

 役に立ちそうがないが、邪魔ではないしな。

 えっと、こういうのは何て言うんだっけ?

 念には念を?藁にもすがる思い?ネコの手も借りたい?



 遺跡の調査員と忍と共に馬車に乗り、目的の遺跡へと向かった。

 意外に時間がかかり、そして意外に寒い。

 気温が低くなってきたのだろうか?


「寒い……寒い……あ、おしっこしたくなってきちゃった……あ、名案が浮かんだ」

 忍がトイレに行きたそうな顔をしだした。

 出発前にちゃんとトイレに行っとけよ。

 『トイレにいっといれ』なんてくだらないギャグは言わないぞ?

 しかし、解決策を思いついたようだ。が、危険な香りしかしない。

「すみませ~ん。紙コップはあります?」

「!?やめろ!それだけはダメだ!」

 その一言で全てを悟った。このバカチンがッ!

 俺の制止を無視して忍は調査員から紙コップをもらう。


「大丈夫だよ、尿意も消えてしかも暖まる事もできる。まさに一石二鳥♪」

「だからって飲尿はないだろ!」

 さすがに飲尿はダメだ。それはダメだ。ダメダメ、ダメよ。

「あ~、ちょっと馬車を止めてもらえます?」

「だから話を聞けって!!」

 忍は俺の言葉を馬耳東風だと言わんばかりに無視する。


「いや、時間通りに遺跡に到着しないと我々も上に怒られるので我慢してくれません?遺跡に到着したら紅茶が飲めますから」

 ふぅ……。どうやら飲尿展開だけは何とかなったようだ。


「そうですか。ちょっと失礼しますね」

 おもむろにスカートに手を突っ込んでパンツを脱ぎだした。

 そしてスカートの中に紙コップを入れて。


 じょぽぼぼ~。と液体が紙コップに注がれる音が馬車の中に響き渡る。

「ふぅ……」

 『ふぅ……』じゃねえよ!!なに和んでんだ!!体を震えさせるな!


「おっと、溢れそう」

 黄色い液体が溢れそうなくらい入った紙コップをスカートから取り出して口元へ運び一気に飲み干す。


「!?マズイ!!」

 けれども、その味に驚愕し馬車の窓を開けて顔を窓から出してぶぶーっと噴射した。

 汚すぎて近寄りたくない……。


「ぺっぺ、こんなに不味いの?しょっぱ過ぎ!」

 忍が窓から戻ろうとしていたので、手で戻らないように押し出し続けた。

 お前はそのままこっちに戻ってくんな。

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