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女王さまのおかげで北方への旅、そして……何かが始まったようだ。その弐

 前回のあらすじ、

 汽車に乗る。(あれ?これだけ?)

 ババ抜きで負けたが、罰ゲーム的なものはなかった。

 忍のことだから何か怖い罰を後付してくるかと心配したが無駄だったようである。脱衣とかコスプレとか。

 ……ね?忍ならそれくらい平然とやりそう。


 とまぁその後は特別なことはなく昼食を食べたり本を読んだりとさほど面白くないイベントで時間が消えていった。


 分かっているだろうが俺は遊びに来ているのではなく仕事に来ている。

 だから面白イベントが起こらなくても仕方がないのである。

 つまらない?知らないな。そんな苦情を言われても困る。

 俺は平和を愛する博愛主義者。

 イベントが起こるのならラヴコメ的なものを望む。

 相手はミシェルだ。ミシェル以外は論外である。


「ミコト様、お時間です」

 この汽車の乗務員がわざわざ報告してくれる。

 その程度は駄メイドの仕事じゃないかね?


「……?ご主人様、なぜこちらを見ているのですか?」

「いや、お前は給金以上の働きはしないなぁっと思って」

「………………く、クビですか?」

 ビクビクとしながら訊いてくる。

 いや、そこまでするつもりはないさ。

 不便を感じてはない。

 ただメイドの人数は増やしたいかな?

 でも、金はない。

 人件費がかからないような都合がいいメイドって居ないかな?


「それはメイドロボじゃない?」

 忍が俺の独り言に突っ込む。

 けど、メイドロボ?

 そんなの日本にすら居ないぞ?

 あと何年経てばメイドロボを買える様になるのかな?

 2050年くらい?俺は還暦間近じゃないか!


「手にはいるわけないだろ、そんな都合よくさ」

「だよねー、この世界には電化製品すら存在しないんだから」

 笑って誤魔化す。

 メイドロボはまだしも全自動のお掃除ロボットくらいは欲しい。


 ロボット、夢があるね。男の浪漫である。

 俺は人型ロボットのアンドロイドが良いね♪

 メイドロボのガノロイドも良いだろう♪


 因みにアンドロイドとは日本語では『男性もどき』と訳せる。

 そして対になるのが『ガノロイド(女性もどき)』というわけだ。

 しかし、日本ではアンドロイドを人型ロボットと呼ぶ風潮がある。

 そこはまだ分かる。マンとヒューマンくらいの違いだからな。

 でもアンドロイドをただのロボット的な使い方はおかしいだろ!!


 アンドロイドのことを考えていると降りなければまずい時間になっている。

 忘れ物をしてないことを確認して降りるとそこはやけに寒かった。

 北国ですもんね。そりゃ銀世界ですもん。

 寒くて当たり前。


「ようこそ、ミコト様」

 駅で俺を出迎えてくれた兵士が俺に防寒用のもこもこコートを着せてくれる。

 おぉー、あったけぇ♪指は冷たいけどな。


 でも、BPの2人は違うらしい。

「み、みこと……き、ききき君だけそんな防寒具を貰うなんてずるいよ……」

「ご、ごごご主人様、経費でなどと無粋なことは言いません。し、しかしコートくらい頂けないと生死にかかわりそうです……」

 ガクガクブルブルと2人が寒さのせいで震えていた。

 お前等は本当に愚かだな。愚者共め。


「あー、彼女達の分を買いたいのだが……?」

「残念ながらこの駅にはあの売店以外ありません。駅を出れば防寒ができている馬車がありますのでホテルまで我慢してください」

 つまりコートの類は買えないって?残念だな。

 とりあえず、その唯一の売店の店員の老婆に話をしてみる。

「失礼、コートとかは置いてないか?防寒具なら何でも良いのだけど」

「……ここに防寒せずにやってくる人をあたしゃはじめて見たよ」

 ですよね~。


「とりあえずスープは出せるけど?」

「いくらで?」

「600ダラー」

 高くないか?などとヤボなことは聞かない。

 凍死されても困るのでとりあえず3つ買ってやる。

 奢ってやるのはニートの忍の分だけだかんな?


「ほれ、買ってきてやったぞ?」

「あ、ありがとう……」

「ありがとうございます……」

 2人が焼けどしない程度にスープを冷まして一気に飲む。

 ぽかぁーっと生き返ったように幸せそうな顔をする。

 まったく……バカとポンコツはこれだから……やれやれだぜ。


 BPに呆れているとミシェルがこっちを見ていることに気づく。

「……飲みたい?」

(いいの?)

 愛らしく首を傾けて尋ねる。

 むしろ本望だ!

 バカには奢るのにマイエンジェルには奢らない理由なんてない!

 金銭的な理由なら俺の分くらい我慢するし、バカには生死を彷徨ってもらう。


(じゃあ、ありがたく頂くね)

 ゴクと遠慮して一口だけ飲む。

 まるでロップイヤーウサギみたいで可愛い。

 この世界に来て良かったと思うのはミシェルの存在だけだ。


 例えるなら我が心の荒野を潤すオアシスである。

 素晴らしい存在だな。

 ついでに例えるとバカは永久凍土で営業しているアイスクリーム屋って感じだな。いらねぇ~。


(美味しぃ~、はい、ありがと)

 スープを返された。……こ、この展開は!?

 そう、間接キスである!


 ……キス?なぜだろう?ついこの前あった気がする。

 具体的に言えば一昨日くらいに……。

 とまぁ、そんな記憶の間違いは気にせず俺はミシェルとの間接キスのためにスープに口をつけようとしたのだが。


「あ、ミコト、スープまだ余ってるの」

 !?ヤバい、ハイエナがこちらを狙っている。

 このままではスープを飲むことすらできない!!

 スープをイッキ飲みする、が熱い!冷ましてないから熱い!


「ふぎゅあ!」

「あーあ、何が気に入らなかったのか知らないけど冷まさないとダメだよ」

 舌は焼くし、間接キスは味わえないし……。

 このクソアマ!お前と居ると酷いことにしかならんのか!



 念願のラヴコメイベントが失敗に終わってしまったが落ち込む暇はない。

 マイエンジェルとバカとポンコツと馬車に乗ってホテルに向かった。

 先ほども汽車に乗って雑談していたので話す話題は存在しない。

 おまけにBPは体力を温存するために冬眠するハムスターみたいに丸まっている。あら、カワイイ、なんてときめきませんがね。

 需要?ないない。


 10分くらいしてホテルに到着。

「ミコト様にはこちらのスイートルームが女王陛下から提供されています。しかし、ルームサービス等は自腹でお願い致します。……ところでお連れの方は?」

 ホテルの従業員さんがBPのことについて尋ねてくる。


「ミコト、ボクもスイートルームが良いな♪」

「お前はロビーで寝てろ」

「酷い!冷たい!」

 俺がお前に冷たいのはいつものことだろが。

 ま、でもロビーに寝られてもホテルの従業員さんに迷惑だし。

 はぁ……。

 なんで俺はこいつを連れてきてしまったのだろうか。

 このお人良しをなんとかしないと鬼嫁にこき使われる人生になりそうだ。

 結婚できればの話だけどさ。



「見てよ!大理石に絵画!豪華な椅子にテーブル!そしてフルーツバスケット!」

「あぁ、そうだな。見事に我が家にあるものばかりだ」

「……ボクらって結構良い生活を送ってたんだね……」

 今頃気づいたか?このお馬鹿さんめ。


 しかし、スイートルームに来たと言っても特に何も変わらない。

 贅沢は敵だな、価値観が麻痺してしまう。

(贅沢は敵ってこういう意味で使うんだっけ?)


 とりあえず暖炉に火をつけて部屋を暖かくする。

 寒くては話にならない。


「それじゃあ……」

 忍が何故か服を脱ぎだした。

「ミコト、一緒に寝よっか♥」

 とりあえず、ウザかったのでボディブローを決める。

「ゲボラッ!」

 余程苦しかったのか、大理石にタンを吐いた。

 おいおい、いくらなんでもそんな汚いものを吐くなよ。

「パティ、掃除を頼む」

「御意」

 パティに忍が大理石に吐いたタンを掃除させる。

 それくらいの仕事をしてもらわなければ連れてきた意味がない。


「ちょ……ちょっと良いかな?ミコト」

 忍が苦しそうな顔でこっちを見てくる。

「予想はできてるから聞くだけ聞いてやろう」

「ボクへの謝罪はないのかな?女の子にボディブローを決めておいて放置ってのは酷いんじゃないかな?」

「先日、お前に『暴力の後に優しくする人ってヒモの才能がある』と教わったからな。殴っても謝らないようにしている」

「ただのクズじゃないか!!」


 何て酷いことを言うんだ。俺はお前に惚れられたくないだけだ。

 なぜって?今更過ぎるからだ。

 こいつと恋愛関係に発展するのであればもっと前が理想的だったな。

 もうひとつ理由を付け加えるならば俺はミシェルルートを希望している。


「そもそもだよ、ベッドのサイズは超特大のキングサイズ。ならばボクの主張は至極当然じゃないか!」

「どの辺りがどう当然なのかもう少し分かりやすく頼む。ベッドがキングサイズならなぜお前と寝なければならない?」

「え?でも、ベッドはこれ1つしか……」

「ソファーがあるじゃないか」

「君は鬼か!!」

 鬼だって?それはむしろ俺を女にして異世界に連れてきたお前のことだろ。

 と言いたかったが、これ以上口論をするつもりもない。

 拗ねられて時間を浪費するのは正直な話避けたい。


「ソファーで寝たくないのか?ロビーよりはマシだろ」

「で、でもさ。こんなにおっきなベッドを独占って……」

「これはあの女王陛下が俺のために用意してくれたんだ。ならば問題が存在するのか?そもそもお前はニートの文無し。俺が働かなかったらこの世界で暮らすことなんてできないんだぞ?」

「そ、それはそうかもだけど……それが男の甲斐性ってヤツじゃ?」

「その発言は男性軽視の男女差別的発言と捉えていいか?今の時代、男だからという考え方は通用しない」

 ホントこれだよ。

 なんで女性軽視は重犯罪みたいなのに「男のくせに!」とかは言われなくちゃいけないのだろうかね?

 男がセクハラで心を傷つけられても「良いじゃん。男ならそれくらい許せよ」って風潮。

 いや、ボスゴリラみたいなドブス女にセクハラされたら男だって気分悪いだろうが!

 それに痴漢冤罪による被害とかもな。男が「この人、痴女です!」って言っても周りの奴等はきっと助けてくれないぜ?いつから日本は男にとって生きにくい国になったんだ?


 わけがわからないよ。どうして人間はそう必要以上に女性を保護したがる性質があるんだい?男性だって同じ人間じゃないか。


「なふ……」

 はい、ぐうの音も出ないようなのです。どうやら論破できたようですね。


 どうせ寝るならミシェルとが良いです。どうですかね?ミシェル?

(え?いや、わたしは宙で寝れるから……)

 どうやらミシェルとの添い寝イベントはないらしい。

 クソ!なんでミシェルとはイベントが全然起こらないのに忍とは勝手にイベントが始まろうとするんだ!

 これがネガティブイベントメーカーの実力なのか!?

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