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女王さまのおかげで北方への旅、そして……何かが始まったようだ。その壱

 前回のあらすじ、

 女王様からお仕事いただき、北方の遺跡へ赴く。

「と、言うわけで俺はこれから北へ行くからしばらく留守にする!あばよ!」

「……唐突だね」

 屋敷にロイヤルガーター(馬)で帰ってきた俺に忍が何か言いたそうにしていたが、一言に凝縮した。

「女王陛下の依頼だ。唐突もクソもなかろう」

「ふ~ん、暇だしボクも行こうかな」

 とまた意味不明なことを述べる阿呆。


「は?そりゃまたなぜ?」

「いや、だから暇だし。それに北へ旅行でしょ?ミコトだけとかずるい」

 いや、その理屈はおかしい。

 お前は働いてないんだから。


 学生でもない奴が修学旅行に行けるか?

 ずばり、行けるはずが無い。


「では、私もご同行させていただきます。これが私の仕事ですから」

 パティも同行を望んだ。

 お前は休暇をもらうって発想がないのか?

 もちろん、有給じゃなくて無給休暇な。


「……まさかと思うがお前等の旅費まで俺が払うのか?」

「ですが、ご主人様、移動費につきましてはたかが2人増えてもさほど変わらないのでは?」

「は?なんで?」

「なんでって……ご主人様の世界とやらがどうかは知りませんが、汽車はあるのですよ?ご主人様達の世界にはそういう乗り物はなかったのですか?」

 汽車?汽車があるの?それなら良いんじゃない?

 パティが言うように汽車に乗る人間の数が2人増えてもさほど変わらなかろう。もっとも、搭乗料が取られないならの話だけどな。


「パティ、ボクらの世界じゃ汽車に変わる電車ってのがあって、電気で動くんだ」

「『デンキ』とは随分と使い勝手の良い存在なのですね。他のカラクリもそれで動くのですよね?」

 機械をカラクリという辺りなんか酷いな……。

 けど、汽車あるなら銃とかもあるかも。

 西部劇の保安官が持ってるリボルバーみたいなの。

 これからは危険人物が銃を持っているか注意した方がいいかもしれない(いや、銃が存在するかを確認した方が……それはそれで止めた方がいいかも、口は災いの元って言うし)


「まぁね、電気エネルギーがないとボクら現代人はまともな生活を送れないほど電気に依存してるけどね。移動にも電気、明かりも電気、情報を手に入れるときも電気、料理をするのにも電気、暖房も冷房も電気、電気電気電気、電気がなければ何もできない」

「電気というのは無くならないのですか?」

「それも危惧されてるね……ね?ミコト」

 なぜ俺に振る。

 自分で答えるように努力しろよ。

 少しはそのちっちゃな頭を使え。


「たしかに危惧されてるな。化石燃料の枯渇とか放射能汚染とかなんだとか……俺はバカだけど、偉い人はそういうのをどうにかするようにがんばっているらしい。メタンハイドレイドだっけ?あんなのが使えるようになればエネルギー問題が少しは解消されるって聞いた気がする」

「化石燃料?放射能汚染?メタンハイドレイド?」

 まったく分からないと言ったようである。

 けど、仕方ない。無知な小学生がこれらの単語を理解できるとは思えんしそういうことなのだろうな。

 小学生が聞いたら必殺技と思いそう。

 メタンハイドレイドなんて必殺技っぽいしさ。


『くたばりやがれ!究極必殺超絶奥義!メタンハイドレイド!!シュパー(効果音)!相手は死んだ』

 うん、小学生が好きそうだな。


「大丈夫だよ、パティ。この世界じゃ数百年くらいしないと無理っぽいから」

 いや、待て。

 汽車ってことは動力は石炭じゃないか?

 石炭って化石燃料じゃないの?

 違うの?違わないだろ。化石燃料だろ。


「そうなのですか、それは安心しました」

 あ~あ、安心しちゃったよ。

 ま、この世界の一般人が化石燃料の概念を知るのは忍の言うとおり遠い未来だろうから良いけど。


「ところで、ミシェルは行く?」

(憑いて行って良いの?)

 『憑いて』と言う表現がちょっとばかし気になるが良しとしよう。

 うん、大丈夫、憑依なんてされないだろうからさ。

 きっと、絶対、多分。


「もちろん、このBPなんかよりも歓迎だよ」

「BP?お嬢様、ご主人様の今の発言は何という意味でしょうか?」

「さぁ?でも、バカにされたことだけは分かる」

 気づかれたか。

 バカとポンコツ(BP)のBの方は俺との付き合いが長いからそのくらいスグにニュアンスで分かっちゃうのね。

 けど、そんなわけで俺の可愛いエンジェルとバカとポンコツと共に北方に旅に行くことになったわけである。

 北か~、北は全然行った事ないんだよな。

 北海道は行った事ないが、東北には行ったことはある。

 けれど、そんなに言うほど北って感じじゃなかったな。

 10月頃だったからかな?



 てなわけで、場面転換して汽車の中。

 今までの流れを簡単に説明すると、旅支度をして駅へ向かい、なんだかんだと駅員を説得して搭乗費『だけ』はサービスしてもらった。

 料理などのサービスは別料金というわけである。

 なんで俺は毎度毎度のように忍の金を工面しないといけないのか?

 ……今日も明日もお先真っ暗、不幸だ。


「うわー、見てよミコト。こんな綺麗な風景は日本じゃ見られないよ?」

 ヨーロッパの田舎のような畑とレンガ造りの住居が軒並み建っている。

「田舎の方の山ならこのくらい綺麗なんじゃないか?」

「和風じゃんか!」

 大事なのはそこなのか?

 と思っていると忍がどこで仕入れたのか分からないハンドベルをチリンチリンと鳴らして手を叩く。

「パティ、お茶とお菓子を」

「すでに用意しております」

 なんだ?この三文芝居は?

 いつもこんなことをやってるのか?さすがはBP。


 パティが注いだ紅茶を忍は行儀悪く音を立てて飲む。

 少しは品良くできないのか?

 ミシェルの方はお嬢様というのも納得なほど美しい。

 飲み方を含めて。


 お気づきだと思うが、俺はミシェルルートを狙っている。

 バカ幼馴染ルートも駄メイドルートも嫌だ。

 というか幼馴染ルートってそれはギャルゲとかだとバッドエンドじゃん?


 知らない人のために説明すると、ヒロインを誰も選ばなかった場合、親友との友情エンディングになるのだ。

 ギャルゲーの親友ってなんであんなに性格は良いし、男を磨いているのに彼女ができないのだろうか?

 できたらできたでプレイアーにとってプラスにならないからか?

 むしろ非の打ち所が無い完璧超人の主人公の方が嫌いだな。

 人間だもん、長所と短所はあるだろ?


 俺もお高い紅茶を1杯100円のミルクティーを飲むみたいに適当に味わってスコーンを食べる。

 スコーンと紅茶ってのは合うな。

 そりゃイギリス人が好むわけだ。


 でも、コーラとハンバーガーと揚げ物の組み合わせが恋しい。

 チーズバーガーとかフライドポテトとかオニオンリングとか全然食べてない。

 今度作るか。

 コーラの作り方は分からないが他のは味を気にしなければ作れるはずだ。


「よし!トランプをやろう!ババ抜きね!」

「唐突だな」

 忍が突然ババ抜きをやりたいと主張してきた。

 文脈も何も無い、好き勝手生きている。


「伏線なら張ったよ?」

「何時?約束した覚えないんだけど?」

「『つまんない!!つまんない!!つまんないぃ!!決定的に面白くないよ!!違うゲームしようよ!!パティが帰ってきたら4人でババ抜きとかをやろうよ!!』の所」

 あぁ、そう言えばそんな件あったな。すっかり忘れてた。


「と言うわけでババ抜きしようか」

「……お嬢様、ご主人様、私にはミシェル様が見えないのですが?」

「見えなくてもカードは見えるでしょ?」

 その一言で会話は終了~。そしてゲームスタート。


 とは言え、ただのお遊びのババ抜きである。

 ルールなんて単純明快な上に勝って負けても特に何もない。時間つぶしの極意。必勝法もない、ただ相手が自分のジョーカーを引いてくれると願い、自分はカードを減らすように努力するだけ。願っても努力しても確率は変わらない。だからこそ、皆大好きなのだ。


 皆にカードが配られる。ジャンケンをして忍からスタート、順番は忍、ミシェル、俺、パティの順番。

「じゃあ、引くね。……ほへぇ」

 と言ってカードを引いたが数字は揃わずカードは捨てない。

(はい、じゃあ私の番)

 そして、俺の手札のジョーカーを手に取った。

(はわわ……)

 あ、口で言っちゃった。

 ババ抜きの才能ないんだな。

 そんな所もキュート!13点加点!


 順番が回ってきた俺が無言でパティからカードを引き、8が揃ったのでカードを捨てる。

「では、失礼します」

「ふぇぇ、ほわぁ、ふぇぇほわぁ、ふぇほわ、ふぇほわぇ、ふほぇわほぇふ、ふわわっほ」

 カードを引こうとしているパティに対して忍は未知の呪文を言い出した。

 本当にアホ丸出しなんだよな……こいつは。



(上がり♪1抜けた♪)

 意外なことに一番最初に手札が無くなったのはミシェルだった。

 そしてゲームに勝って喜んでる所も可愛い。6点加点しよう。


 ミシェルに続こうと思ったがパティからジョーカーを引いてしまい、そのパティは忍からQを引いて上がった。


 忍との一騎打ち。

 こいつはポーカーフェイスができないと開き直って変顔をしだす。

 対策が酷い……。


「さぁ、ミコト! どっち?」

 めんどくさいのであしらわずに即座に引いた。

 まだ1枚対2枚じゃないからな。


 お、Aが揃った。

 これで俺は2枚であっちが3枚。

 忍がジョーカーを持っているから忍が俺から引いてラストの1対2。


「さぁ!今度こそどっちだ!」

 めんどくさいのでとりあえず右のを引いた。

 だって負けても罰ゲームなんてないからさ。


 あ、ジョーカーだ。とりあえず、忍に見えないようにジョーカーとスペードの5を混ぜた。


「ふっふっふ、ミコト。ボクが黒魔術を使えることを忘れてないかい?」

「あ?お前には透視能力でもあるのか?」

「ない!」

 胸を張って断言したその姿にムカついたのでとりあえずカードを持っていない左手でデコピンした。


「アウチッ!」

「無駄なやり取りが好きな奴だな」

「うっううー……」

 何かを言いたそうな目でこっちを見てきたが無視する。


「とっとと引け」

「ちょい待ち」

 目を見開いて本気で透視をしようとしている。

 そんなことでジョーカーかどうか分かったら苦労はしな……。

「こっちだ!」

 いだろ……って、ん?あれれ?

 俺の手にはまだジョーカーさんが居るんですけど?


「あっがりー!3番!」

 どやら見分けられたらしい。……いや、確率は50パーセントだ。当るも八卦、当らぬも八卦って言うじゃないか?

 ……違うよ?涙目じゃないよ?

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