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【未完】二人の時空間転移者 〜DOUBle Travelers~ 第1版  作者: ダブトラ企画。
二年生篇 PART-1
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第4話 出会いと出逢い

よろしくお願いします!


作文・台詞監修:きすけ

文章監督・演出:けん


気がつくと、そこは薄暗い小部屋だった。


誰かが生活しているような形跡がある。


匂いや部屋の配置から考えて、男性の部屋だろう。


「ここは……どこ」


体の節々に痛みを感じた。


ふと視線を上げると、多くの影が残像のように瞬き、脳に激痛が走った。その少女は痛みのあまり、目をつむった。


再び目を開けた時、彼女の体は先ほどとは大きく変わっていた。体を起こし、少女は頭を抱えた。


「私は……誰なの」


体が重い。どんなに周りに目を凝らそうとしても、どうしても瞼が降りてくる。


記憶を失った傷だらけの少女。


少女は、この見たこともない場所で眠りについた……自分が時間を、いや、次元さえも、越えてしまった事を知らずに。



----------------------------------------

1. 出会い



時に、系歴百二十七年四月。


火曜日の海条学園は通常日程。


学校が終わり、神崎真広は友達である吉野(よしの)勇斗(ゆうと)と帰路を共にしていた。すでに日は落ち、小さな電灯が道をわずかに照らしている。


「明日は作戦司令部の新しい顧問の挨拶か。どんな人なんだろう」


「興味ねぇよ。ウチに来る教師なんて、どうせひとりでも多くの生徒を軍人にするために必死こくような連中ばかりだろ。どうでもいい」


勇斗の問いに、真広はため息混じりで答えた。


「そう言ってやるなよ真広。顧問が誰だか知らないが、あんだけ二年生を抜擢してくれたんだからな……。少しは感謝の気持ちも……」


そこまで勇斗が言いかけた時だった。


「ん、なんだありゃ?」


真広が勇斗の指差した方向を見ると、ツインテールの女子高生と、よく分からない雰囲気の女の子とが何かを言い争っているのが見えた。


よくわからない、というのも、この女の子はどう見ても中学生にしか見えないのだ。それなのに、明らかに年上である女子高生と対等に口げんかをしている。顔は全くと言っていいほど似ていないので、姉妹ではないのだろう。


二人が近づくと、言い争いの内容がより細かに聞こえてきた。


「だーかーらー、アンタに心配される筋合いなんか無いわよ!」

「細かいこと気にすんなよ~。やっぱりガキだなぁ」

「アンタにだけはガキ呼ばわりされたくないわ!!」

「あぁ?こう見えても私は……」


真広と勇斗が近くを通ったその時だ。


「あの~……何してるの?」


真広はスルーする気満々であったが、勇斗は度胸があるのかないのか、恐る恐るながらも二人に話しかけたのだ。


「何よ、アンタには関係ないでしょ!」


ツインテールの女子高生が怒り口調で返し、勇斗は軽く論破されたと言ってよかった。勇斗がその場に立ち尽くしていると、


「あ~、そうだ丁度いい。お前らに頼みたい事があるんだけど」


と、意外にも、中学生に見える女の子の方が冷静に言葉を返してきた。やっぱりよく分からない。なんなんだこの人は。


「実はさ、コイツ泊まる家がないんだってよ。だからお前ら、どっちかの家で泊めてやってくんないか? 一日でいいからさ」


「ああ、そういう事ならコイツの家なら大丈夫だと思うよ?」


勇斗は真広を指差す。


「テメェ何勝手に言ってんだ……」


急に訳の分からない話を振られ、呆れる真広。


「お前、家は広いだろ?一日くらいならレイナさんも、許可してくれるんじゃないか?」


う……確かに。


真広には断る為の言葉が見つからなかった。


「確かに姉貴なら……いつまでも泊まってていいよ、とか言いそうだな……」


「ほらね」


真広は、と軽くため息をつき、両手を方の高さに掲げ『降参』。


「お前は必ず人助けに俺を巻き込むよな」


「いつも悪いな」


「もう慣れたよ」


真広は頭をかきながら言う。


「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」


女子高生が『いま話に追い付いた!』と言わんばかりに叫ぶ。


「何か問題でも?」


「誰も泊めてほしいなんて言ってないでしょ!? 何勝手に話を……」


「女子高生、お前他人に頼るのが恥ずかしいとか思ってんのか?」


「あ、あたりまえでしょ!」


「俺は、意地張って野宿なんてする方がよっぽど恥ずかしくてかっこ悪いと思うけどな」


すっかり乗り気になった真広が冷たくいい放つ。


「う……」


「ま、それでもいいなら好きにしろ。勇斗、そいつは野宿がしたいらしい。行くぞ」


そのまま真広は早歩きで歩き出した。


「お、おい。真広ー!」


勇斗が慌てて追いかけていく。


「……だってさ、君、どうするの?」


女の子の言葉はもはや、誘導尋問だった。


「……し、仕方ないわね……そこまで言うなら泊まってやるわよ!」


女の子は腕を組み、後を追って行く女子高生が『待ちなさい!』と叫ぶのを眺め、


「さすが、名門学校の戦闘隊長ってとこかな。選抜した甲斐があったよ」


と、少し笑った。



----------------------------------------

2. 出逢い



「やっぱり泊まるんだな、女子高生」

「……うるさい」

「庭に寝かすぞ、女子高生」

「すいません……」

「それで良い、女子高生」


相手が初対面でも、真広は手加減しない。そんなやつだ。


「そろそろ名前聞いた方が良いんじゃないですかねぇ。『女子高生』ってそりゃ……」


勇斗が切り出した。


「じゃ、言い出しっぺの法則ってことで」

「今時古いけどな。まあ……俺は吉野勇斗。よろしく」

「……フレイよ」

「俺は神崎真広だ。女子高生」

「フレイよ」

「よろしく。女子高生」

「フレイよ」

「覚えておこう。女子高生」

「もういいです」


何言ってんだか。と勇斗は笑う。

案外この二人、相性は悪くはないのかも。


しばらく三人で歩くと、真広の家の前についた。勇斗と真広はここでお別れになる。


「じゃあな、勇斗」


じゃあ、と勇斗も手を上げ、勇斗は角の向こうに消えた。


「ここだ。フレイ」


「の、望むところよ……」


「まぁ、姉貴にはメッセージ送ったから大丈夫だと思うけどな」


二人は家に入る。無意識的に真広が『ただいま』と言うと、家の奥から神崎レイナが出てきた。


真広の両親はすでに亡くなっている。つまり、真広はこの広い家に、姉のレイナと二人暮らしなのだ。


「いらっしゃい、初めまして」


レイナは微笑んで挨拶した。


『綺麗な人』

レイナを一目見て、フレイはそう思った。声も透き通るような声で、美しい。


「貴女が真広の言っていた女子高生さんよね?」


「は、はい! フレイです! よ、よろしくお願いします……」


先の真広への態度とは一変し、フレイは低姿勢だった。


「フレイちゃんね、よろしく」


「おい、姉貴……」


二人が挨拶を交わすのを黙って見ていた真広だったが、レイナの隣に明らかな異変が起きていることに、突っ込まざるを得なかった。


「横のそいつ……誰だ?」


レイナの隣に少女がボーッと立っている。


「えーっと、私もよくわかんないんだけど……その……」


レイナは苦笑した。


「真広の部屋に寝てたから、てっきり知り合いかと思って……でも何も覚えてないって」


「姉貴……そいつをどうするつもりだ?」


恐る恐る真広が聞く。


「そりゃあ、決まってるじゃない」


レイナは急に笑顔になり、真広はすべてを悟った。


「家族が、二人増えたね♪」


おいおい。どうなってんだ。



つづく

いかがでしたでしょうか。相方の第四話。

第三話の後書きで書いた通り、この第四話はもともと第三話として作文されたものなので、すでに完成していたものです。

投稿が遅れた理由としては、未完成の第五話との間隔を調整するためです。



(けん)


改稿メモ〜

9/11:文章表現を変えました。ストーリーに変更はなし。

9/13:第五話次回予告、つけました。

9/15:サブタイトル変更テスト

10/31:パート分け演出変更

12/7:改稿メモを前書きへ移転

2014 1/3:内容に変更はありませんが、文章をすこしキレイにしました。

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