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【未完】二人の時空間転移者 〜DOUBle Travelers~ 第1版  作者: ダブトラ企画。
二年生篇 PART-1
4/23

第2話 旧校舎図書室

今回も、よろしくお願いします。


作文・台詞監修:きすけ

文章監督・演出・投稿:けん

 なぁ明日香。


「どうしてあんな歌詞を書いたんだ?」



 1. ~旧校舎図書室~



 時に系歴百二十七年四月。


 夕暮れ。


 海条学園の旧校舎。


 その図書室には二人の女子がいた。一人は机の上に座り込み、夕焼けがかる外の景色を眺めている。肩にかかるかかからないかのショートヘアで、女子制服の袖を肘の上までまくっていた。スカートは短めで、ややサバサバとした感じのボーイッシュな女子高生、だ。


「愛結……どうしてそれを?」


 明日香と呼ばれたもう一人の女子高生は、そのボーイッシュが座る机の椅子に腰掛けていた。同じようなショートヘアに、この学園には似合わない妙なメイド服を着ている。ティーポットで自ら注いだ紅茶を飲んでおり、不思議な雰囲気を醸し出していた。


「杉谷香奈に聞いた」


 メイド服の風見明日香は紅茶を飲み干し、


「――あの歌詞は、折笠悠平に伝えるべき事を書き記したもの」


 と、派手なメイド服とは裏腹に落ち着いた、単調な声で答えた。


「ラブレターか?」


 ――でも、明日香の能力なら、思いを伝える前に結果がわかりそうなものだけどな。



 さっき愛結と呼ばれた女子高生は呆れた口調でなげかける。


「そうだけど、そうじゃない……私は伝えなきゃ、いけない、ことが、あるの」


 明日香は突然に声を震わせた。


 いつも淡々としている明日香が、こんな表情を見せることは滅多にない。愛結は、並々ならぬ何かをこの風見に感じていた。


「どういうことだ?」


「あの人は……悠平は、もう、だめなの。このままじゃ……もう……だから……」


 今にも泣き出しそうなその声を聞き、愛結は慌てた。ここから先を彼女に言わせてしまうと、この風見明日香を監視・保護する立場である私は、契約違反となってしまう。


 愛結は、明日香を胸元へ引き寄せた。


「もう、これ以上何も言うな」


 風見明日香は、未来と現在、そして過去の自分と記憶を共有し、全てを知ることができる。


 だが、この世には知らない方が良いこともあるのだ。



 明日香。


 私がそれを聞く必要はない。


「例え、この先に何が待っているとしても、私は明日香の見たような未来など考えず、自分の望む未来を歩む。これは約束だ」


 だから、余計な心配をするな。



 愛結は明るくまっすぐな笑顔で、瞳を潤ませた明日香の頭を撫でた。二人の間を静かな時間が流れる。外は夕暮れ。烏が二羽、羽ばたく。


「うん……信じてる」


 頭に乗った愛結の右手を優しく見つめ、明日香も笑顔で返した。夕焼けはまだ鮮やかな赤色を残している。夕陽そのものは既に沈みかけているのであろうが。


「ねぇ、愛結」


 もしさっきあなたが


 私を止めなかったとしても


「私、もう未来のことなんか、話さないからね?」


 ここから出られない私をずっと


 守ってくれてるあなたを


「裏切ったりなんか、できない」


 だけど、あの人は、特別なの。


 旧校舎の古い図書室。


 そこには、名前も、著者も、そして内容さえも、誰も知らない本が置かれているという。


 それは


 この学校の歴史であり


 風見のみる歴史であり


 そして


 明日から訪れる歴史であった。



 つづく

いかがでしたでしょうか。

僕はこの展開、好きです 笑

どころがどっこい…というところも含めて、今後に深みのある回だったと思います。


次回も、よろしくお願いします!

(けん)


改稿メモ〜

9/13:第三話次回予告追加

9/15:サブタイトル変更テスト

9/29:ほぼ何も変わってません。

10/31:パート分け演出変更

12/7:台詞を若干調整しましたが、ストーリーに変更はありません。

12/18:第三話サブタイトル変更に伴い、次回予告を変更、また、予告自体も作り直しました。

〜2014〜

3/31:推敲

5/20:推敲

〜2015〜

1/10:冒頭

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