内示
決戦へ向け、着々と準備が始まっている海条学園。その第一弾となる『内示』です。
この話では、ハワイ奪還作戦に参加するメンバー、そして、作戦期間中の海条学園防衛作戦司令部に勤務するメンバーが提示され、新キャラクターの名が続々と登場します。
それでは、今回もよろしくお願いします。
(けん)
第1パート『ネクサス本部内示』
設定:きすけ
第2パート『三笠海軍内示』
設定:けん
第3パート『準備案・決定案』
作文:けん
〜改稿メモ〜
12/29 誤字を直しました
12/30 投稿直前に修正した部分が反映されていなかったので、修正しました。内容に大きな変更はありません。
1/4:第十話次回予告、追加しました。
1/6:文章表現を変更しました。ラストの文章を変更しました。また、有原ユイが桜尾学園で過ごしていた期間を間違えていたため、修正しました(四ヶ月間→一ヶ月間)。
1/13:次回でボツになった部分を、次回予告から削除しました。
2/2:次回予告を少し変えました。
1. 〜ネクサス本部内示〜
ネクサス本部より、海条学園・能力者生徒へ
5月中旬に於ける特別任務に際し、作戦中の防衛作戦司令部を特殊選抜メンバーとして選出する。
海条学園防衛作戦司令部
司令:赤崎 愛結
(海条学園B校舎・三学年)
※三笠海軍の内定生徒につき、三笠海軍よりの派遣扱いとなる。
副司令:斎藤 一馬
(海条学園B校舎・三学年)
戦術長:黒井 恭介
(海条学園B校舎・三学年)
気象長:水瀬 星奈
(海条学園B校舎・三学年)
通信士:黒井 雪菜
(海条学園B校舎・二学年)
技術長(二名)
・八坂 美希
(海条学園B校舎・二学年)
・吉岡 ミナ
(海条学園B校舎・三学年)
電探:藤村 真奈香
(海条学園B校舎・三学年)
以下、海条学園能力者生徒249名・桜尾学園作戦司令部生徒102名
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2. 〜三笠海軍内示~
三笠海軍より、海条学園第一・第二学年生徒へ
5月中旬に於ける特別任務に際し、以下のメンバーを作戦責任者とする。
戦艦 武蔵 (BB-02 "MUSASHI")
艦長:八神 ちひろ
(海条学園防衛作戦司令部・常任顧問)
副長:宮内 奈津子
(海条学園防衛作戦司令部・戦術科二学年責任者)
戦術・砲雷長:山崎 将
(海条学園防衛作戦司令部・戦術科二学年砲雷責任者)
※作戦特別任務責任者兼任
気象・航海長:高橋 大地
(海条学園防衛作戦司令部・二学年首席)
通信士:松崎 佑莉
(海条学園防衛作戦司令部・通信電探科二学年責任者)
機関技術長:折笠 悠平
(海条学園防衛作戦司令部・機関技術研究科二学年プロジェクトリーダー)
電探:有原 ユイ
(桜尾学園作戦司令部・レーダー/通信科一学年生徒)
※八月より、海条学園防衛作戦司令部・通信電探科一学年へ転入
以下
海条学園一・二学年非能力者生徒612名
選抜準備案:杉谷 香奈
(海条学園防衛作戦司令部・三学年首席)
※三笠海軍・英国海軍の連合艦隊へ参加
選抜決定案:八神 ちひろ
半自動突撃駆逐艦 春風 (AD-011"HARUKAZE")及び雪風 (AD-023"YUKIKAZE")に乗員はなく、武蔵からの遠隔操作による運行とする。
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3. ~準備案・決定案~
どうして?
時に系歴百二十七年。朝の海条学園・A校舎に貼り出された大きな模造紙の前で、悠平はただ首をかしげていた。
「おはよう! ――え?」
悠平が振り返ると、将がいた。将も、悠平と同じように驚きを隠せない。もう一度よく張り紙を見直そうと、将は頭を振って長い前髪を分け、模造紙に近づいた。
「そうか。一・二年生だけなのか」
それなら分かる、と将は紙を見つめて頷く。
「その通りだ」
聞き慣れた声にハッとして、悠平はもう一度後ろを振り返った。さっきの将と同じような辺りに、香奈が腕を組んで立っていた。
彼女はいつも、家を出るのが悠平より早い。今日も髪型はポニーテールと変化ないが、顔は妙に得意気だった。
「八神先生に、三年生のみの責任者と、一・二年生からの責任者と、二チーム選抜しろと言われたものでね」
悠平も納得した。もう一枚『三年生生徒へ』と書かれた内示が左の向こうにあったからだ。
「――電探のアリハラユイって、誰なんです?」
将が模造紙を見て、香奈に尋ねた。
「ああ。それか」
香奈は『電探』の項を指さした。
「電探の責任者、私は太田大輔に決めていたんだ」
太田大輔とは、電探の一学年であり、昨年の軍事演習大会には参加していないものの、十分な実力を持っている生徒だ。
「八神先生が、決定案を出す時に変更したらしい。この時期に転入する生徒なんて、めったに聞かないが。しかもいきなりの抜擢だ」
「どうしてこの人なんですかね」
「レイナさんが外れているのに」
将が一言呟いたのを聞き、香奈は一瞬動きが止まったが、すぐにまた得意げな顔になって、二人を振り返った。
「でも有原さん、桜尾学園の生徒だったんだぜ」
「桜尾? あの桜尾ですか?」
将が身を乗り出した。というのも、桜尾学園は、昨年、軍事演習大会の決勝で、海条学園のBチーム、つまり悠平や将、香奈達が敗れた学校なのだ。
彼らは、海条学園の戦艦・武蔵のような派手さはないが、機動力があり、また、電探に長けていたチームだった。
「じゃあ、このアリハラさんってのは、あの人たちの後輩なわけか……」
悠平は模造紙を見つめ、神妙に呟いた。
「だけど、桜尾ではほとんど過ごしていない。一ヶ月程度だ」
香奈が横から少し付け加える。確かに、桜尾学園がいかに電探の優れた学校だと言っても、たった一ヶ月しかそこで過ごしていない生徒が、電探に長けている生徒だとは限らない。
「楽しみですね。アリハラさん」
将が香奈を見て言った。
「私は、作戦が終わるまで彼女に会えないみたいなんだ。有原さん、私が三英連合艦隊に合流した後くらいに来るらしいからね。少し心細いが、君たちで仲良くやってくれると助かるかな」
二人を見て笑う香奈。だが、悠平は未だ神妙に模造紙を見つめていた。
――有原ユイ。
ユイ。良い名前だ。
つづく
今回もありがとうございました。
次回も、よろしくお願いします。