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【未完】二人の時空間転移者 〜DOUBle Travelers~ 第1版  作者: ダブトラ企画。
プロローグ
1/23

二人の時空間転移者

作文:けん

「お父さん、雨だね」


「ああ。今晩はひどくなりそうだな」


 少女はゆっくりとカーテンを閉めた。


「ねぇ、お父さん」


「ん?」


「ホントに、戦争やってるの?」


「どういう意味だ?」


「だってお父さん、軍では偉い人なんでしょ? なのに、どうしてうちは平和なの?」


「それはね――」


 父親の言葉を遮るように、爆発音がした。

 電話が慌ただしく鳴った。


「何事だ!」


<……どうやら、そちらが米軍に察知されたようです! 今すぐ避難を――>


 また、爆発音がした。


「どうしてここが!?」


 父親が、外を見上げた。

 彼らの自宅を照らすように、ヘリコプターが上空を旋回している。


『デテコイ』ヘリコプターが片言で叫んだ。


 ――ご丁寧に日本語使いやがって!


『ツギノコウゲキハ、イカクデハナイゾ』


 だが、彼とて覚悟はできていた。

 第三次世界大戦、こうやって日本が優勢に立っているのは、まぎれもなく、彼のおかげなのだ。

 彼は国に命を捧げる覚悟を持っていた。

 国家に強要されたわけではない。彼の信念である。


「逃げようよお父さん!」


 しかし、娘だけは――


「お父さん!?」


「お前は、生きろ。俺と母さんの分まで」


 ああ、俺の魔法は、この為にあったのかもしれない。

 一瞬、彼はそう思った。


「お父さん、ちょっ……何言ってるの……!?」


 一発目の爆弾が、家のバリアーを破った。

 家が激しく揺れる。

 次は、ひとたまりもない……


「お父さん!? お父さん!?」


 娘は、逃げようとしない父を引っ張った。


 しかし彼は、まっすぐに娘を見つめるのみだった。


「どこでもいい……死ぬなよ!!」


 彼は神に祈るように言った。

 そして、娘へ手を伸ばした。


「お父さ――」


 突然、少女はどこかへ引っ張られた。目の前の景色は一瞬で消え去り、頭の中に電流が走った。


 ここは、どこ……?



 ------------------


「ただいま」


 ここにも別の少女がいる。

 彼女は、暗い顔をしていた。


「お父さんは?」


「帰ってないわ」


 母は冷たく言い放つ。


「最近、帰ってこないね」


「知らないわ。勝手な人だもの」


「仕事が忙しいんだよ」


「そう、家族より、仕事の方が大切なんだわ」


「そんな……そこまでじゃ」


「ねぇ」


 母親は、娘の正面に立った。

 よく似ている二人である。


「申し訳ないけど、離婚することになったから」


 母は、驚くほど冷淡に言った。

 その冷たさに、娘は事態をのみ込めなかった。


「ど……どうして……?」


「もう、あの人にはついていけないのよ。お前は私が引き取るから、安心しなさい」


 彼女が事態を理解したのは、自分の部屋で一人になってからだった。


 確かに、近頃は仲が悪かったけれど。

 まさか、そこまでになっていたなんて。


 考えを巡らせるにつれ、涙が溢れてくる。

 みんな、どこで間違ったのだろう。


「……?」


 目の前が光った。


『ごめんなさい。上手くできなかった』


 頭の中で、誰かの声が響いた。


『あなたを死なせたくない』


 突然、少女はどこかへ引っ張られた。目の前の景色は一瞬で消え去り、頭の中に電流が走った。


 ここは、どこ……?

〜2015〜

2/7:リニューアル

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