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第1話:出会い

今でもこの3年間のことは

彼とのやりとりは

一字一句と言ってもいいくらい

そんなはずはないけれど

覚えている。



はじめて彼を見たとき

プライドの高そうなひとだと思った。

ひとと馴れ合うことが嫌いで

ひとりでいることを

ある意味自慢に思っていそうだと思った。

近づいたら好きになってしまう。

颯爽と歩く彼の横顔を見ながらそんなことを考えた。



今思えば、失礼なひと。

あたしは自分のりんかくが嫌い。

比較的すらりとした手足と違って

丸い。

顔写真だけ見たひとはあたしを太っていると誤解する。

だからいつも髪で誤魔化しているのだけれど。



付き合いだした当初から彼は

あたしと会うたびに

「太った?」

と聞いた。

頬を軽く叩きながら。


はたからみたら微笑ましい光景なの?

わからない。

いつもその一言に傷ついた。

たとえどれだけ痩せても

骨格までは変えられない。


笑ってばかりで文句を言わない

あたしがいけなかったのかもしれないけれど。




出会ってしばらくして

彼に好きなひとがいるのがわかった。

好きなひとと言うより

落とそうとしているひとか。


彼はあたしの第一印象ほど孤独好きなひとではなかったようで

まぁそれなりに喋るひとだった。



同じ部活だったけれど

あたしは特に話す機会に恵まれず

彼に好きなひとがいると知ったときも

じゃあのひとは好きになっちゃいけないな。

と思っただけだった。




あたしは昔からそうやって

好きになるひとを選ぶ。

できるだけ面倒のないように

好きなひとがいないひと。彼女のいないひと。


それが一番傷つかないしうまくいくから。


自分のそんなところは割と好き。そしてたまに嫌いだ。



彼は割と恋愛経験が豊富そうで

落とせると確信していたんだろう

相当なアタックを繰り返しているように見えた。

彼女もまんざらではないようで照れながら周りに話していたのを記憶している。


でも彼女は彼の予想以上にガードが固く

クリスマスの約束を断った。

ああいう類の男は、ガードの固い女にはすぐ飽きる。

予想通り、彼はだんだん彼女から遠ざかりはじめた。




そんなとき。

今思えばなんてぴったりなタイミングなんだろう。

たまたま行った部室、彼がひとりで楽器の練習をしていた。

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