ギルド登録は帰宅への第一歩?
森を抜けると、中世ヨーロッパ風の街が見えてきた。城壁に囲まれた、いかにもファンタジーな街並み。
「まぁ、テンプレ通りだな」
門番に呼び止められたが、【万能解析】のおかげでこの世界の言語も即座に理解できたから助かったな。適当に「記憶喪失の流浪人」と名乗ると、あっさり通してくれた。
街の名前はルーンヘイム。人口約5000人の地方都市らしい。
「とりあえず金だな」
手持ちゼロ。スマホも財布も全部現代に置いてきた。まぁ、仮にあっても使えないだろうけど。
とりあえず異世界で一ヶ月生きるには、軍資金が必要だ。
街の中心部に、見覚えのある建物を発見。
「冒険者ギルド……うわぁ、やっぱりあるのか」
仕方ない。帰るまでの一ヶ月、冒険者で食いつなぐしかない。
ギルド内は活気に満ちていた。筋骨隆々の戦士、ローブを着た魔法使い、軽装の盗賊っぽい連中。まさに異世界ギルドの光景。
受付嬢は20代前半くらいの美人。でも俺はハーレムに興味ない。帰ることしか頭にないんでな。
「あの、冒険者登録をお願いします」
「はい! 初めての方ですね。こちらの魔石に手を当ててください。能力を測定します」
差し出された青い石に手を置く。
石が眩しく光り、受付嬢の目が見開かれた。
「え……これは……」
『測定結果
名前:サトウ・ケンタ
レベル:1
スキル:【万能解析】【急速成長】【言語理解】【危機察知】【……他127項目』
「な、なんですかこれ! スキルが100以上!?」
周囲の冒険者たちがざわつく。
「おいおい、新人でスキル3桁とか聞いたことねぇぞ」
「しかも【万能解析】って伝説級のスキルじゃねぇか!」
まずいな。目立ちすぎた。
俺は即座に【万能解析】で周囲の反応を分析。
『分析結果:80%が興味本位、15%が嫉妬、5%が敵意』
『推奨行動:謙虚な態度で能力を過小評価』
「あ、いや、スキルは多いんですけど全部レベル1なんで。実質初心者です。自分なんて塵芥のゴミ虫です」
「そ、そうですか……」
受付嬢は複雑な表情で登録証を渡してくれた。
「Fランクからスタートです。まずは簡単な依頼から受けてください」
依頼ボードを眺める。
『薬草採取 報酬:銅貨30枚』
『スライム討伐10匹 報酬:銀貨1枚』
『迷子の猫探し 報酬:銅貨50枚』
「うわ……地味だな」
でも仕方ない。俺の目的は冒険者として成り上がることじゃない。帰ることだ。
とりあえず薬草採取を3件受注。
ついでに【万能解析】で街の図書館の場所を探す。帰還方法の解析には、この世界の魔法理論の知識も必要だからだ。
依頼書を手に、ギルドを出ようとした時。
「ちょっと待て、新人」
声をかけてきたのは、傷だらけの大男。Bランク冒険者のバッジをつけている。
「なんですか?」
「お前、スキル持ちの新人だろ? 俺たちのパーティーに入らねぇか? 今度Aランク昇格クエストに挑むんだ」
『分析結果:善意50%、利用価値の見極め50%』
「すみません、ソロでやりたいんで」
「はぁ!? せっかく誘ってやってんのに……童顔が」
男の顔が赤くなる。でも俺は気にせず外に出た。
パーティーを組んだら帰るのが遅れる。俺に残された時間は30日。無駄な人間関係を築いてる暇はない。
「さて、薬草採取して、図書館で勉強して……」
ポケットの中で、スマホもない寂しさを感じながら、俺は街を歩き出した。
『帰還方法解析進捗:2%』
まだ先は長い。でも必ず帰る。
俺の、異世界サバイバル帰宅計画は始まったばかりだ。




