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第6章 : 人知れず(第1部)

(太陽の色が、刻一刻と暖色へと移り変わっていく)


―セザール:目覚めし古の預言者


己の力を偽らねばならない。この「囚われし魂の領域」では、全能の断片を解き放つだけでさえ、過剰な集中を強いられる。


ここには「力の腕輪」が存在しない。私のサイオニック能力は極限まで制限されている。それでも、この場所が他者の精神に対して脆弱であることは察しがつく。遠景の歪みや、時折オブジェクトがピクセル化する視覚的なバグが頻発しているのは、おそらくそのせいだろう。


この領域は、決してありふれたものではない。異質だ。土台となる基礎に安定性が欠けている。不完全なのだ。


「この創造物は不完全だ」


あるいは、創造主が自らの作品に手を加えすぎたせいで、領域そのものがエラーで満たされているのかもしれない。


―いずれにせよ、この領域以外に道はない。他者に屈する前に、私が彼らを圧倒せねばならない。この場所の「虚構に近い性質」ゆえに、精神の力は通常よりも強く影響するようだ。


私は校舎の屋上から降りた。階段を駆け下りるたび、いつもの足音が響く。廊下からは騒がしい音が聞こえてきた。休み時間、あるいは放課前のひととき。生徒たちはただ目的もなく歩き回り、誰かと過ごし、自分たちにとっての「より良い瞬間」を求めている。


「だが、私には別の計画があった」


確信はないが、私はジオを排除することを考えていた。今すぐではない。だが、この領域のすべてを従わせるだけの力を手にした時、その時は彼を消そう。彼がどんな能力を持っているかは不明だが、「魂の記憶」の中で彼が私を殺したというのなら、私の征服において明白な障害となるだろう。


(周囲を気に留めることもなく、思考に耽りながら廊下を歩く)


歩いている最中、一人の大男とぶつかった。私の殺気が一瞬にして燃え上がり、準備は整った。


「だが、その大男はひどく丁寧に、それどころか親しげに謝罪してきたのだ」


どうやら、この世界は幸福な人々で満ちているらしい。


「すべてが秩序の中に。何かが、この幸福と調和の秩序を乱させまいとしている」


「もし、私がその秩序を壊したとしたら、一体どうなる?」


「魂の記憶」はあるが、すべてが砕けた水晶のように頭の中で断片化している。


「ここには政府があるのか? 秩序を強いる誰かが存在するのか、それとも私たちはこの領域で漂流しているだけなのか?」


―それを知りたい。


廊下をしばらく歩き、中庭へと抜けた。庭園を眺めるためのベンチには、ジューンとアルテミサの姿があった。


アルテミサはお気に入りの漫画の落書きに没頭しているようだ。 対してジューンは、まるで私が厄介者であるかのような視線を向けてくる。


「調子はどうだい、ジューン。アルテミサも」と私は挨拶した。


「ああ、いいわよ。授業をサボって何してたの?」


(アルテミサは動じることなく描き続けている)


「ただ、一人になりたかっただけさ」と私は答えた。


「へぇ、分かったわ。また例の妄想で私たちを困らせに来たわけ?」ジューンが問い詰める。


「いや、それはもうやめたよ。ただ二人の様子を見に来ただけだ。授業はどうだった? 何か聞き逃したことは?」


「大したことないわよ。でもノートは貸さないからね。他の人を当たって」ジューンが突き放す。


「嫌われているのかな?」


「いいえセザール。でも、最近のアンタは馬鹿げた振る舞いが多すぎるのよ」


「他の皆はどこだい? 様子を見に行きたいんだ」


「カフェテリアにいるわよ」とジューン。


「完璧だ。ありがとう、またね。ジューン、アルテミサ」


(アルテミサとジューンが同時に別れの挨拶をする。まるで、セザールが去ることに安堵しているかのようだ)


「ジューンについては分からない。時折、本当に私を憎んでいるのではないかと思うことがある」


(学校の庭園を通り抜け、中央広場へ続く橋を渡り、さらにカフェテリアへと繋ぐ二つ目の橋を越える)


長い移動の末、カフェテリアに到着した。


(食べ物や飲み物の香りが五感を刺激する)


「清潔な床、完璧な環境」


「背景を彩るエキゾチックな木々。その下で生徒たちが思い思いに座っている」


大勢の人混みの中に、ジオ、ジャンナ、アリアナの姿を見つけた。


「楽しげに談笑している」 一体、何を話しているのだろうか。


(彼らの輪の中に割り込む)


「やあ、皆。調子はどうだい?」


(笑い声が止まり、会話が途切れる)


「あら? こんにちは、セザール。ここで会うなんて思わなかったわ」とアリアナ。


「何しに来たの? イケメンさん」ジャンナがおどけた口調で茶化す。


「ただ様子を見に来ただけさ。それと、誰か授業のノートを持っていないかと思って」


(ジャンナとアリアナの笑い声が、重なるように響き渡る)


「アンタにノートを貸すなんてありえないわ」ジャンナが笑う。


「それだけのために来たの?」アリアナがさらに揶揄する。


「おっと、それは残念。……まあいい、せめて一緒に座ってもいいかな?」


「ええ、いいわよ。どうぞお座りになって、お坊ちゃん」ジャンナとアリアナが冗談めかして受け入れた。


(私は昼食の包みを開け、席に着いて彼らの奇妙な会話に耳を傾けた)


(最初はジオをからかい、次に私を、そしてジャンナ、最後にアリアナ。だが、最後のはアリアナの癪に障ったようだ)


「私から、微かな笑みが漏れた」


「ありふれた会話だ」


「ジオは私の力について何も言及しない。どうやら沈黙を守るつもりのようだ」


(食事を終えた。次の授業の時間が近づいている)

再度、更新が遅れてしまったことを深くお詫び申し上げます。


いつか遠くない日に、daysneo.com で初のフルカラー作品を掲載できるよう、これからも日々描き続けていきます。


皆様の応援に心から感謝を込めて。


謹んで、作者 Ztigma より。

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