第10章 : 責任の重み、過去の重み(第1部)
セザール: 責任の重み、過去の重み。
この狂気じみた世界の戦場から、なんとか逃げ延びることができた……。
「魂の煉獄」
「我々の魂の記憶が洗い流される場所」
「魂の浄化」
「煉獄」
「責任の重みを背負っているのは、俺一人だ」
永遠の夏がもたらす太陽の影の中、夜明けの陽光に照らされながら、人影のない暗い通りを歩く。家の方角へ向かっていたが……。
あそこにいれば、捕まるのはほぼ確実だった。
「行くあてなど、どこにもない」
右手首の傷口を服で塞ぎ、左手で強く圧迫するが、それでも出血は止まらない。
傷ついた浮浪者のように、道端に腰を下ろした。
「クソったれ……」それしか考えられなかった。
「俺は、この狂気の世界で死ぬのか?」
「ヴェレディクトの領域。奴の手で魂を意のままに洗い流す場所」
「ここが地獄かどうかは分からないが、全員の記憶が何度も何度も書き換えられるなんて、地獄よりひどい場所に違いない」
「ジューンを救わなければならない……。救えなかった……失敗した……できなかったことを後悔している」
「あるいは、この煉獄は新しいチャンスなのか。それとも、もう遅すぎるのか」
眩暈がする。影の間、電柱の間、ヴェレディクトの心臓部で脈打つ、静かだが拍動する街を繋ぐ何千もの電線。
白濁とした微睡の中で眠る、何百万もの幸福な魂の生活。
俺の心の中は色彩に満ちていた。内側には、選民思想、嫉妬、過剰な暴力に基づいた悪意の黒ずんだ色。遠い昔のようでいて、刻一刻と近づいてくるあの世界の、無慈悲な色。
ゆっくりと失血していくにつれ、何かが近づいてくるのを感じる。
「ヴェレディクトが見ている。俺を見ているようだ……」
「監視してはいるだろうが、システムというものは創造主にとっても巨大すぎる。全てを同時に制御することなど不可能なはずだ」
「奴にできるのは、予期せぬ結果が起きないよう願いながら、小さなことを操作することだけだ」
奴はこの領域に何度も干渉しすぎて、この世界は完全に壊れてしまっているのではないか。
奴の魂の煉獄はひび割れ、バグだらけで、かろうじて形を保っている状態なのだ。
意識を保たなければ……。
「意識が遠のく」
手が冷たくなっていく……。
力が失われ、右手の傷口を圧迫し続けることさえ難しくなる。
こんな時、アルテミサ(Artemisa)がいれば……あのバカオタクめ……。
「あいつなら傷を癒せるのに」
「俺はもうダメだ」
「クソ……」
「涙がこぼれ落ちた……」
「絶望だ……」
「出血多量で死ぬ……」
色あせた灰色、そして黒へと染まっていく鮮やかな夜明けの影に隠れ、孤独な通りで。
「意識が途切れる……」
その時、誰かが右肩を掴んだ。
「衰弱しすぎて、誰かが近づいてくることにさえ気づかなかった」
「――バカオタク? あんた、私みたいになるには不細工すぎるわよ、バカね」
「横から謎の声が聞こえた」
「誰だ……?」残された僅かな力で反応した。
「誰って、そのバカオタクよ」
振り向くと、ある種の安堵感が広がった。眩い緑色の力が、俺の傷口に現れた。
「アルテミサの顔が目の前に浮かび上がった」
「そして彼女の後ろには、ジューンがいた」
「アルテミサ、お前か……。どうしてここへ?」
「空が唸って、大地を揺らすような雷鳴とともに天が割れたなら、それはあんたの仕業に決まってるじゃない。あんたの戦いと、空からの墜落は見ていたわよ」
アルテミサは遠慮のない口調で言った。
「だが、どうして俺の仕業だと分かった?」
「セザール、私たちは確かに多くのことを忘れてしまったわ。でも、あんたが『狂い出した』あの日から、授業が始まる前にあんたが言ったことを全部話し合ってきたの。記憶は断片的だけど、私とジューンはいい姉妹だから、欠けたピースを繋ぎ合わせたのよ」
アルテミサは説明を続ける。
「それに、私も『制御の予測』の保持者なの。あらゆる反射の中にクリスタルの姿が見えるわ。でもジューンには見えない。彼女は『怒り』の保持者だから」
「あんたの視覚は私たちと違って正確だわ。つまり、あんたはどうにかして記憶を大きく維持できているってこと」
「そして最後に……私がいつだって一番の物知りだってことを忘れたの? 何かが起きるなら、そこには論理的な説明があるはずよ」
アルテミサは傷を癒しながら言った。
「クリスタルについて何を知っている? 彼女もあの深紅の場所で、俺たちと一緒に死んだのか?」
「分からないわ、セザール。ここへ来る前の私の最後の記憶は、中身が空っぽのガラスの向こう側から、巨大な存在が私を見つめていた、果てしない暗闇の淵にあるビルの屋上よ」
アルテミサは傷の手当てをしながら言った。
「俺のは……ジューンを救おうとしていた時だった……」
「ジューンは恥ずかしそうに顔を背けたが、言葉が苦しげに漏れ出した」
「私のは……『深紅の預言者』を倒そうとしていた時」
ジューンは、敗北に汚された過去の恥辱を抱えながら言った。
「深紅の預言者」
「ゲオ」
「傷は少しずつ塞がっていった。アルテミサが『生命との親和性』による正しい治癒方法を完全には思い出せていないのは明らかだった」
待て。ロザリオの少女が言っていた。「剣の先生」はゲオの邪悪なバージョンだと。
俺の疑念通り、ゲオは何かを知っている。だが認めようとしない。確信がある。
もしそうなら……。
俺たちの友人は、俺たちの宇宙における「深紅の預言者」なのだ。
死ぬ直前のゲオの顔の、おぼろげな記憶がある。
「奴は姿を現した。腐った灰のベールを脱ぎ捨て、汚れた血の涙を流した」
「勝利が自分を打ち負かしたかのように、地面に崩れ落ちた」
「地面と、あの時の俺の首に突き刺さった剣を抜こうとしていた」
「だが無駄だった」
「ジューンはビルの梁に吊るされ、無数の黒い剣と槍が彼女の体を貫き、地面から遠ざけていた」
それが、煉獄に来る前の俺の最後の記憶だ。
「さあ、立ってセザール。力をどう使うかの記憶が足りないけど、出血は抑えられたわ。ジューンと私の家で傷の手当てをしましょう。時間がないわ」
(徒歩でジューンとアルテミサの家まで辿り着いた)
ジューンは震える手で鍵を鳴らし、家の扉を開けた。
俺はもう限界だった。今にも意識を失いそうだった。
扉が開き、リビングが俺を迎え、ソファが俺の体の全重量を受け止めた。
「光が消えていくようだった」
アルテミサがジューンに道具を要求し始め、ジューンは急いでそれを持ってきた。
「水!」
「燃えるような傷口だ」
「布! 清潔なやつ!」
「ジューンは何度も何度も運んできた」
「もっと水!」
俺に水を飲ませ、傷口を水で洗い流した。
「清潔な水が、痛みで叫ぶ俺の血と神経に混ざり合うのを感じた」
「ガーゼはある?」アルテミサがジューンに厳しく尋ねる。
「いいえ、全くないわ」ジューンが申し訳なさそうに答えた。
「粘着テープ! 一番きれいなやつを持ってきて!」アルテミサがさらに強く要求する。
「このテープならあるけど……学校のやつよ」とジューン。
「それをよこして! セザールの命を救おうとしてるのよ!」アルテミサがジューンを叱咤した。
「すぐに救急箱を買わないと……」アルテミサが呟く。
「これまで見たことのないような、決意に満ちたアルテミサの姿を見た。まるで戦場外科医のように、素早く見事な手つきで粘着テープを伸ばし、迷いのない動きで布と一緒に俺の腕を固定し始めた」
「痛みは耐え難かったが、不平を言う力さえ残っていなかった」
「傷口を布とテープで何度も何度も、ぐるぐると固く縛り上げた」
「あのオタクの、小さくて白髪の少女は強い。ちびなのに、力がある」
「出血はほぼ止まったわ。傷口を押さえ続けなきゃ。セザールの右手はかなりひどい損傷よ。これで『私の力』で治す時間が稼げるはず」
(アルテミサは何度も試みたが、セザールを癒す能力は最小限だった)
「医者に連れて行ったほうがいいんじゃない?」ジューンが言った。
「ジューン、この辺りに医者なんていた? ここはどこかの邪悪な精神が作り出した空想の世界なのよ」アルテミサが突き放すように言った。
「いや、違う……ここは煉獄だ。死んだ後の魂が救済と復活を待つ場所だ。だが復活の前に、まず俺たちの魂を洗浄しなければならない。精神、精神、体、そして魂において、自分自身とは異なる何かに転生するために」
「分かったわよセザール、それは役に立ちそうね」アルテミサが言った。
「ああ……。君の『存在(クリスタルの反射)』に治癒を願うのではなく、君の『魂』に緊急に願うんだ。魂は見えなくてもここにあり、それは創造主なんだ。それは『Mother Saturn』のサイオニック研究における普遍的な原理だ。多くの者には無価値で抽象的な概念だが、俺たちにとっては違う」
「魂に願うのは、肉体に願うのとは違う。それは俺たちの外側にあり、抽象的だ。感情も形もない。だが、君の奥深く、過去に向かって探せば、それがどんなものか思い出せるはずだ」
「魂が生まれ、宇宙をおはじきのように他の者と交換して遊ぶ場所を」
「アルテミサは考え込み、沈黙した」
……
……
……
そして、それは起きた。
俺の肉体が、まるで糸が織り合わされるように動き始めるのを感じた。服ではなく、俺の「手」を形作るために。
「アルテミサの輝く緑の瞳が青みがかった色に変わり、彼女の『制御の予測』が発動したことを示した」
「肉体が針と糸で再構築される。アルテミサの針(魂)と、セザールの生きた組織(肉体)」
「少しずつ、手が癒されていくのを感じた」
「クリスタルがここにいる……粘着テープのあらゆる反射の中に、彼女の眼差しが見える。断片的で形はないけれど、彼女だわ……」
アルテミサは制御の予測の力に魅了されたように、うっとりと呟いた。
「クリスタルの遍在。誰かが彼女の領域、時間と魂の領域に近づくたびに」
「割れたクリスタルの墓に閉じ込められた罪悪感。胸に突き刺さった剣が、時間の中に凍りついた敗北を思い出させる。避けられない事態を乗り越えようとする、最後の希望」
「アルテミサの制御の予測が不意に途切れ、彼女は言葉を落とした」
「終わったわ。あんたの手を治した。私の治癒は未熟だから、傷跡は残るけど、少なくともリビングをこれ以上汚すことはないわ」
「ジューンとアルテミサの家のリビングは、セザールの血で染まっていた。大型の動物のような出血の跡だ」
「セザール、誰にこんなことをされたの?」アルテミサが尋ねた。
「先生の一人だ。年配で、髭を生やし、かなり身なりが汚い。だが、奴の目をよく見れば分かる。奴は別の宇宙の、邪悪なゲオだ。俺たちの知るゲオじゃない」
「先生たちは、この穏やかだが狂気じみた記憶の王国の支配者、ヴェレディクトと何らかの契約を結んでいる」
「ここでは全員が『生徒』だ」
「本物なんて何一つない」
「教育という見せかけの経験を通じて、俺たちの魂は改造されている。魂を存在から切り離し、真のエッセンスから引き剥がすために」
「忘却」
「煉獄」
「ジューン、床を掃除して! めちゃくちゃよ!」アルテミサが命じた。
「セザール、どうしてそんなに詳しいの?」アルテミサが尋ねた。
「確かなことは分からない。全てがデジャヴ(既視感)のように感じるんだ」
その頃、学校にはアリアナ、ジャンナ、そしてゲオがいた。
ジャンナ:火の怒りの保持者。
「どうしてセザール、ジューン、アルテミサは授業を休んだのかしら?」
「まさか、私を抜きでパーティーでもしてるんじゃないでしょうね?」
「退屈だわ、許さないんだから。この先生、ずっと喋りっぱなしで……」
「退屈」




