白玉楼襲撃|クローンロボ vs 妖夢
白玉楼の静寂を破り、ひとつの影がゆっくりと姿を現した。
白髪を後ろでまとめた彼に酷似したクローンロボだ。
その体には、彼が旧時代に操っていた重力鎖が絡みつき、地面を浮遊しながら妖夢を狙う。
「……これは、私の剣ではないか」
妖夢が眉をひそめる。
クローンは無言で背中から二振りの刀を引き抜いた。
どちらも、彼の戦いの軌跡を再現した模造刀だ。
彼の技をコピーした剣捌きが火花を散らす。
妖夢は剣を振るい応戦するが、重力鎖で動きを封じられ、さらに剣技の再現による攻撃の連続に押されていく。
「なぜ私の技を?」妖夢は疑問と怒りを混ぜて叫ぶ。
だがクローンは答えず、ひたすら戦い続ける。
激闘の中、クローンの機構が限界を迎える。
肩や脚の動力部から火花が散り、不自然な揺れが生じる。
それでも動きを止めず、追い詰められたクローンは背中の装甲を開き、小さな機械式アームを静かに伸ばした。
「な、なに――!」妖夢が叫ぶ間に、隠されていたアームは素早く伸びて、本物の霊剣を握る彼女の腕を掴んだ。
引き剥がされた剣は一瞬のうちに奪われ、クローンは朽ちた身体で光を纏いながら姿を消した。
妖夢の叫びが、夜空に響き渡った。
ボロボロのクローンロボは、まるで死にかけの獣のようにラボに転がり込んだ。
剣をしっかりと握りしめているその姿は、不気味なまでに彼自身を映していた。
カラクリは剣を手に取り、目を細めた。
「……これが本物の霊剣か。価値は確かだな」
彼の視線は冷静だが、僅かに興奮の色を隠せなかった。
彼は静かにベッドに座り直し、倒れたクローンロボを見つめた。
「奴の動きは完璧とはいかないが、剣を奪えたのは収穫だ。次の改造に活かせる」
無表情のまま、だが口元に薄く笑みを浮かべた。