番外編:機械判人、ハーレムなろう主人公の元に現れる
――目の前が、白く、光に包まれる。
感覚が、抜け落ちるようだった。時間の流れも、重力の感覚も、何もかも曖昧に溶けていく。
やがて彼は、湿った森の地面の上で目を覚ました。
「……また、転送か。今回はどこだ?」
重たく唸る金属の腕を起こし、背中のアームを格納状態に戻す。見上げた空は抜けるように青く、幻想郷とは異なる気配が漂っている。
——異世界。
道を歩いていると、奥の茂みから、何やら騒がしい声が聞こえた。
「ギャハハハ!オイオイ、お前らが悪いんだぜぇ?こんな所で倒れてるなんてよぉ」 「や、やめて……お願い……」 「うるせぇっ、クエストで助けるようには書いてなかったぜぇ?」
——くぐもった呻きと、泣き叫ぶ声。
茂みを抜けると、そこには血を流す青年と、獣耳の少女が地面に倒れていた。
数人の男たちがニタつきながら、その傍に立っていた。
「おい、誰だテメェ?」
**装甲じみた義肢と、背中に奇怪な装置をつけた“彼”**が森の影から姿を現すと、男たちが一斉にこちらを睨みつけた。
「見ねぇ装備つけやがって……新顔か?お前も死にてぇのか? オレは一流冒険者様なんだぞ?」
周囲の冒険者たちも、リーダー格の男に倣って笑い出す。
「ウッケるww なんだその服ww 魔導具かぁ? ガラクタじゃね?」 「こんなとこでコスプレしてんじゃねーよ!」
彼は何も言わず、ただ一歩前へと出た。
「おい、おい……なめてんのか!死ねぇッ!」
リーダー格の男が短剣を抜いて襲いかかる。
その瞬間——
彼の左目が、ぼんやりと光を放った。
「……その心を、曝け出せ」
不意に立ち止まるリーダーの男。額に脂汗を浮かべ、膝を震わせた。
「っ……や、やめろ、やめてくれ……!」
仲間たちは異変に気づかず、笑いながら近づく。
「なんだよビビってんのか……ぐあっ!?」
次の瞬間、斬られていたのは、仲間たちの方だった。
一人、また一人と、叫ぶ間もなく首が飛ぶ。血飛沫が木々に舞い、森が紅に染まる。
残ったのは、ガタガタと震えるリーダー格の男ひとり。
彼は無言のまま、縄で男を木に縛りつけ、周囲の死体をその足元に積み上げた。
「……見せしめだ。=)」
地獄のような光景を背に、彼は歩き出す。
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数時間後:とある村にて
村の門番が彼を見て驚く。
「お、おい……その人、ひょっとして……」
「瀕死だった。間に合ったかは知らないが」
背中に担いだ重傷の青年を村の医師に託すと、獣人の少女が涙ながらに彼に頭を下げた。
「ありがとうございました、本当に……でも、あなたは……一体」
「……通りすがりの機械仕掛けの亡霊だよ。少し、この世界の情報が欲しいだけだ」
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今回から番外編入ります、よろしくお願いします




