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妖夢、魔理沙視点

戦いの傷跡は、森の中に色濃く残されていた。

 焦げ付いた大地、裂けた樹々、そして空間を歪ませるような残留エネルギー。

 その中心に、白髪の少女──魂魄妖夢が剣を杖のように突いて、静かに佇んでいた。


「……逃げられた、か」


 肩を切り裂かれた衣の隙間から、血が滲んでいる。だが、それ以上に胸を刺すのは、

 模造刀を奪われたという事実だった。


 傍らには、黒い魔法使い――霧雨魔理沙が、折れた箒の柄を片手に肩で息をしていた。


「っだーもう、なんなんだよあいつ……! 見たことねぇ奴なのに、あの弾幕……あたしのマスタースパーク真似てきたよな、絶対!」


「剣も……私の“型”を模倣していました。あの動き、間違いなく、私の《斬撃》です」


 二人は顔を見合わせる。

 そこにあるのは、言葉にしづらい“違和感”と“怒り”、そして確かな《警戒》。


「魔理沙さん……あの男、何者だと思いますか?」


「わかんねぇ。でも、あれはただの人間じゃねぇな。あたしらの弾幕に耐えるとか、普通ありえねぇって」


「彼の剣……模造品でも、私の《楼観剣》とよく似ていた。少しずつ、攻撃の精度も上がっていた気がします……」


 ──再現能力。


 そう名付けるには、まだ確証がない。だが、彼が“模倣しながら成長している”のは間違いなかった。


「でさ、今どこに逃げたと思う?」


「わかりません。ですが……」


 妖夢は小さく息を吐いた。

 それは怒りでも、焦りでもなく、静かな剣士の決意だった。


「また現れた時は、今度こそ仕留めます。……私の剣を、侮辱したその罪は重い」


「おーけー。あたしも協力するぜ。またマスタースパーク真似してきたら、その場で本物ぶちかましてやる」


 二人の視線は、深い森の向こうへと向けられていた。

 見えぬ敵の影はすでに消えたが、その存在は彼女たちの中で確かに生き続けている。


 次、あの《存在感の薄い者》が現れた時――

 それは、再び《戦火》が上がる合図となるだろう。



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