鋼鉄の番犬達
彼は、廃墟となった工場跡の前に立っていた。
夜の帳が工場全体を覆っていたが、内部からはわずかに動力の唸る音が響いてくる。
(ここが……にとりの残党が使っていた場所、か)
スキャンによれば、かつて兵器工場だった跡地。今は改造された発電炉と自動機械の一部が、かろうじて稼働している。隠れ家としては理にかなっている。
足音を殺し、彼は中へ侵入する。
薄暗い照明の中、彼の視界が機械仕掛けの巨体を捉えた。
《対人型・迎撃ユニット──3機、起動確認》
ギィン……と鋼鉄の脚部が床を軋ませる。
「侵入者確認──排除モード、起動」
鈍い声。冷たい赤いセンサーが彼を捉えていた。
(やはり、罠か)
彼は即座にアームを展開し、後方に跳躍。続けて、左腕のチェーンソーを駆動させながら、前方の1体に突撃した。
鋼鉄の胸部にチェーンソーが食い込む。
──しかし。
「……止まった?」
ガリ……ガリ……ギッ……。
歯車が空転し、火花を散らした。
「材質:強化鋼合金。貫通限界を超過。損傷率、10%未満」
彼は即座にチェーンソーを引き、妖夢の複製剣を右手に展開。斬りかかる。
──ギィンッ!!
弾かれた。浅くは切れた。だが、致命傷にはならない。
「……剣も効きが悪いか」
2体目が側面から腕を振り下ろす。彼はアームを回転させてガード──が、衝撃で3メートル後方へ弾き飛ばされる。
(……パワーが違う。重い)
体内のセンサーが警告を発する。
──推定出力:彼の近接出力の1.3倍。
「興味深い……」
背後から飛んできたレーザー砲をアームで吸収、一瞬にして回転圧縮し、反射弾幕として撃ち返す。しかし、メカは構えた盾でそれを防ぎきった。
(攻防、共に高水準……ここは、情報だけでも回収すべきか)
剣を持ち直し、彼は地面を蹴る。3体の鋼鉄兵器を相手に、彼の試行錯誤が始まる。
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