人里での半人
焼け焦げた森を抜け、彼は草むらに身を隠しながら石垣に沿って進む。
眼前に広がるのは、灯りのともる人間の集落――人里。
> (……一度、内部に潜入しておくべきだな。情報が必要だ)
背中のアームは収納済み。ナイフも服の内側に固定。
剣は薄い布に包み、背中に縦に斜め背負いで巻き付けている。完全に“人間風”の姿だった。
だが、運命のいたずらか──
> 「……おい、見ねぇ顔だな?」
声がかかった。
振り返ると、帽子をかぶった金髪の少女。
言わずと知れた――霧雨 魔理沙。
> (……最悪のタイミング、だな)
彼はわずかに表情を動かすだけで、淡々と返す。
> 「旅の者、だ。森で道を失った」
> 「ふーん? まぁ、怪しいヤツじゃなきゃそれでいいけどさ……」
魔理沙は目を細めながらも、彼の足元から頭の先までをじろじろと眺める。
> 「あんたさ……“何者”なんだ? 言葉の端っこが、なんか普通と違う気がするぜ」
> 「……生まれ育ちが特殊だった。それだけだよ =)」
> 「その顔、なんか気味悪いなぁ……まぁいいけど。悪さすんなよ」
魔理沙はそう言って、視線を外す。
どうやら完全には疑っていないが、警戒はしている様子。
> 「……ところで、あんた。魔法とか、弾幕戦とかは──」
彼が一瞬視線を上げると、魔理沙はピタリと口を閉じた。
彼の瞳に映っていたのは、一瞬だけ走ったスキャン光の名残。
> 「……いや、なんでもないや。ま、森の中にヘンなヤツがいるって話だから気をつけな」
魔理沙は背を向け、森の方向へ戻っていく。
> 「また会ったら、もっと話聞かせてもらうからな。へんなスパークとか撃ったりすんなよ~」
その背中を見送りながら、彼はわずかに肩を落とす。
> 「……弾幕、という名称はここでも共通か。注意が必要だな =)」
そして、再び視線を上げた。
人里の中心にある灯りの中へ、足を踏み入れる――。
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