夢
> ……冷たい金属の感触。
鼓動が、機械仕掛けの拍動と混じって耳に響く。
> 「……ここは……」
> 微かに焦げたようなオイルの匂い。
視界には、白い照明と歪んだパイプ、チューブが天井から吊るされていた。
> 「ああ、目が覚めたか」
落ち着いた、だがどこか愉悦を滲ませた声。
顔を向けると、そこには白衣の老人──カラクリが、器具を操作しながら立っていた。
> 「まずは簡単なチェックから始めよう。機能確認だ」
「……何をした」
「君の身体を“修復”し、“拡張”した。失ったビーム眼の代わりに分析用スキャン機能を。背部アームは耐久性と機能性の強化を施したよ」
「……」
「それと、これだ」
> そう言って、カラクリが差し出したのは──あの剣だった。
妖夢から奪われた《楼観剣》と《白楼剣》のコピー……彼の量産型ロボが持ち帰った物。
> 「右手が空いていたからな。うまく扱えるよう、神経接続済みだ」
「……また、奪ったか」
「ああ、正確には君の“分身”が持ち帰った。使わぬのも勿体ないだろう?」
「……いいだろう」
機械の指が剣の柄に触れた瞬間、かすかに振動する。
刃は模造品だが、限りなく本物に近く、殺傷には十分だった。
> 「……では、どこへ向かう?」
「そうだな。まずは……」
カラクリが端末に目を走らせる。
「先程、少し面白い信号があった。旧都の方角だ。君の能力を試すにはいい場所だろう」
「了解」
「ふふ……期待しているよ、“プロトタイプ”」
彼は、無言でラボの出口へと歩き出す。
剣を右手に、背中にはアーム、左腕には研がれたチェーンソー。
> ──そして、その背後でカラクリが呟いた。
> 「……せいぜいいい結果を残すんだな……」
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