7 "運動不足"
「終わった…」
時刻は深夜12時、ここまで掃除するのにかなり時間が掛かった。
「寝よ…」
達成感はあった、だがそれ以上に疲れた。
いままでまるで運動してこなかったために、常人の半分ほどしか体力のしかない涅巴にとっては、単なる掃除でも相当な労働になるのである。
かなりの汗をかいて、本来であればすぐ風呂に入り汗をお湯で流したい所、だがそんなことよりも疲れが溜まっていた涅巴は寝ることを優先したのだ。
ベッドに倒れた涅巴はすぐに深い眠りへと落ちていった。
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ーい…
眠い…
おーい…ねぇ…
まだ…あと少しだけ…
「起きろってば!!」
「うおぁ!!」
なんだか身に覚えのあるシチュエーションに飛び起きたが今回は違ったらしい
「びっくりした…」
「ジュースじゃ…ない…?」
「よんだかしら♡」
「うぉっ、お前もいんのかよ。」
だがわからない、何故おこしにくる人間が二人もいるのか…
「…お父さんに起こして来てって言われたの。」
なるほど、今日は月曜日、学校のある日だ…
「んで、なんでジュースは来てるんだ?」
「一人で坊やに会いにいくのは少し怖いらしいの。だから、アタシがついてきたのよん♡」
「なるほど、そうゆうことか。」
涅巴は妃蝶に向き直り、言葉を発した。
「その節は、すいませんでした。」
普通にあのときは狂っていたと涅巴は自覚していたのである。
「…もういいよ、きにしてない。」
「…さぁ!ふたりとも、仲直りもできたとこだし、朝食に向かいましょう♡」
ジュースはそういうと、るんるん言いながら妃蝶と共に部屋を出ていった。
その時、妃蝶はこちらを振り向いてこう言った。
「…絶対に結婚なんてしないから。」
こうして、涅巴の恋ははかなくも散ったのである。
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…初の登校、だかしかし、問題が生じていた。
「ねぇ、大丈夫?」
「ぜぇ…はぁ…だいじょばない…」
そう、涅巴の絶望的な体力の無さである。
「まだ歩き始めて5分程度だよ?少し遡った程度じゃん…かんばりなよ。」
「えぇ?…まだ、ごふん?…」
学校までの距離は片道約20分、その長さを杖をついたおじいちゃんのような速度で歩いている。
「先が思いやられるなぁ…しょうがない…」
妃蝶はとある秘策に出た。
「なぁ、これかなりはずかしいよ?」
「文句言うなバカ。」
そう、涅巴は妃蝶におんぶしてもらって登校しているのだ。
そう、女の子に軽々と持ち上げられているのだ。
「なんか君、見た目の割に軽すぎない?」
「涅巴でいいよ。」
「あ、うん」
「さ、下駄箱まできたよ、ここからなら歩けるでしょ?」
「あぁ、ありがと…」
悪態つきながら歩いた割にちゃんと運ぶあたり、根は面倒見のいい子である。
「これからは自分の足であるいてよね、もう歩けなくなってもしらないから。」
「あぁ、すまんかった…あ、」
「ん?どうしたの…あ、」
…階段である。
「もう、なんでわたしがこんなめにぃ…」
「ごめんって…」
結局、教室までおんぶして歩いていったのであった。
ちなみに、涅巴君は教室ではなく、職員室にいかなくてはならなかったので、おんぶする意味はなかったです。






