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命の神  作者: oto
一部
5/28

5 "白"

 「可愛かったなぁ」


 涅巴は赤く膨れ上がったほっぺをさすりながら、布団の上で先程の妃蝶のことを思い出していた。

 

 「これが恋かぁ、」


 先に訂正しておこう、これは恋ではない。単に今朝から化け物に出会った所為で女の子がいつもの何倍も可愛く見えるフィルターがかかっているだけである。

 時刻は10時半、いい加減寝る時間だ。

 明日には学校で入学手続きを終えなければならない。

 というわけでさっさと寝なければならないのだが、妃蝶のことが頭から離れず寝ることができそうもない。

 涅巴は布団を深々と被り、無理やり眠りにつくのであった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 



 何かが近づいてくる


 白い、一切他の色を持たないなにかだ


 なにか話しかけてきている気がする


 わからない


 ふと自分の姿を見る


 真っ黒だ


 光も何も無い黒だ、だけど


 白く染まる


 何かが近づいてくる


 白く染まる


 そして襲ってくる不快感


 白く、白く、白く染まる


 逃げ出したい、目を瞑りたい、


 白く、白く、白く、白く、白く


 思わず叫び声をあげる、だが誰も助けは来ない


 白く、白く、白く白く白く白く白く白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 …ーい


 眠い


 おーい、もう…


 うるさい…誰だ、安眠を妨げるやつは…


 「くーちゅわあぁん♡」

   

 それが誰だか気づいた瞬間、昨日体得した錐揉み式で飛び起きた。


 「何勝手に入ってきてんだおっさん!」


 「グッモーニングくーちゃん♡だって全然起きないんだもの、それにアタシの名前はジュスティーヌ、略してジュースよん♡」


 「はいはいそのくらいにしておいて、そろそろ準備してね、朝ご飯食べたら学校に行くよ。」


「あっはい、わかりました。」


 「それと涅巴君、君はもう家族なんだから、敬語なんて使わなくてもいいよ。」


 「…わかった。」

 

 恩三郎はニコリと笑顔を見せた後、部屋を出ていった。



 朝食を終えた後、涅巴は恩三郎と共に車で目的の学校へと向かっていた。

 朝食の途中、妃蝶の疑問と警戒の視線が絶えず痛かったが、気にしないことにした。


 「まぁあんな告白の仕方、誰だって驚くよ、そういうことはある程度のステップを踏んでからにになきゃ。」


 「おこらないのか、」


 「え?」


 「妃蝶はアンタの娘だろ、あんな不条理な告白のされ方、親として黙ってられないだろ。」


 「いやぁ、これでも怒っているつもりなんだけど…しいていうなら涅巴君が昔の私に似ていたからかな…」


 これで怒っているのかと驚きつつ、恩三郎の話に耳を傾け続ける。


「特に目なんてそっくりだ…、と、ついたよ。」

 

「ここが涅巴君の入学する南秋峰高校だよ。」


 恩三郎の言葉に釣られてそれを見る。


 四階建ての大きな校舎と散りかけの桜が印象的な学校だ、まぁそれ以外に特別目立ったものがないというだけなのだが。


 「さぁ、校舎の中に入ろうか。」


 涅巴は恩三郎に連れられて校舎の中へと入っていった。


 

 「校舎の中は…」


 普通だ。

 入り口付近には購買と職員室、それと校長室らしき部屋がある。


 恩三郎は、職員室に入室していった後、すぐに戻ってきた。


 「さぁ校長室に入ろうか、そこで話を済ませるらしい。」


 校長室にノックし、恩三郎に促されるまま部屋に入る。


 「おぉ、ご無沙汰しています、近藤さん、それと君が為白涅巴君だね?」


 校長の姿は、なんというか…ふくよかでネズミのような顔をしていた。


 「えぇ、本日はよろしくお願いします」


 「では、こちらに署名を…」


 恩三郎は一通りの作業を終え、校長にそれを提出した。

 

 「…はい、これで入学手続きはすべて完了です。本当は一学期が始まる前に君を入学させてやりたかったのだがね、生憎とこちらも色々立て込んでいてね、遅くなってしまったのを申し訳なく思うよ。」「それと為白君、君のクラスはEクラスだ。妃蝶さんと同じクラスだからね、孤立するということはないだろうと思うよ。」「それに妃蝶さんは内向的な性格でね、あまり人と馴染めていないところがあるんだけど、家も同じな君がいることだし、妃蝶さんも明るい性格になってくれると思うんだ。」「あぁ、なにかあったら担任の猿田先生に相談すると良いよ。他の先生にも勿論頼ってもらっていいんだけど、猿田先生は他の先生方よりも優しい先生でね、親身に相談にのってくれるんだ。」「実をいうと僕も相談にのってもらっていてね…、あっとこの話は今はいいか。」「まぁとにかく、この学校は生徒の安全と安心を第一にしていてね、君たち生徒のサポートを徹底することを約束するよ。」「まぁ今日はこれくらいに…、あぁ!忘れるところだった、Eクラスは四階の一番左にあってね、階段が辛いだろうけどそのうち慣れてくるだろうから。」「あぁそれと他のクラスの教室には勝手には必要な時以外は入らないこと、他の校則の載ったルールブックみたいなものを渡すから目をとうしておいてね。」「これは一人一つしかないものだから、無くさないよう保管しておいてね」「あぁ!また忘れるところだった、この学校は…」



 校長のながぁぁい話を聞き終えた跡、二人は車を停めたところまで戻ってきていた。


 「いやはや長かったね…、校長の話というのはいつの時代も同じなもんだなぁ。」

 「…さて!家にさっさと帰ろうか!家に帰ったらやらなくちゃいけないことがあるんだ。」


 「やらなくちゃいけないこと?」


 「そう!涅巴君ももう高校生だ、自分の部屋くらい欲しいだろう?」


 「まぁ、プライバシーはほしいな。」


 「だろう、ということで!」


 「君に私の持ってるアパートの一室を貸してあげよう!」

ジュスティーヌ

黙っていれば

超美人

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