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命の神  作者: oto
一部 一章 "三日月は昇る"
23/35

23 "見破り切り裂き貫かれ"

 「今わかったよ、お前の正体。」


 突然涅巴が化け物に向けて指を差し、カッコつけながら言い放つ。


 「お前の名前、"オトロシ"だろ!毎回毎回高い場所から降ってくるし、髪長いじゃん?」


 「そのオトロシとやらは『どたどた』なんて変な鳴き声発するのか?」


 と、友親のツッコミが入ると……


 「……じゃあ貞子で!」


 「テキトーだなぁ…髪しか合ってねぇし。」


 「……けっこうかわいい……」


 「君、さてはゲテモノ好きだな?」


 殺伐とした雰囲気を崩す様な戯言を話す三人に痺れを切らしたのか、化け物がその大きな口より巨大な咆哮を放つ。


 「向こうはもう待ってくれないみたいだ。行くぞ。」


 涅巴がそう発した事を皮切りに、白髪の少女が先行するように突進する。


 「燃えろ。」


 両手に宿した炎より、赤き双剣が出現する、それを振るうと斬撃に沿うように炎が放たれた。


 化け物はそれを長く伸ばした体毛により振り払い、口を大きく開き噛みつこうとする。


 『蜘蛛、血脚。』


 間一髪で避け、自身の背面より血で作られた長い二本の触手のようで、蜘蛛の足のような物を瞬時に出現させる。

 それを使い、回避した時体制を即座に立て直す足の役割として活用した。


 『……蝙蝠、血翼。』


 さらに生み出した足を薄く開き翼をつくる。開かれた翼を大きく羽ばたき空中へと上がった。

 

 「アイツ飛びやがった……俺も負けてられねぇ!」


 涅巴も負けじと血の翼を作ろうと背中に血を移すが、形にならずドロドロと溶けてしまった。


 「あれぇ……うわっ!」


 背中から抱きつかれる形で少女に捕まり、そのまま空中へと飛び上がる。その時少女の所持していた双剣の片割れを預けられた。


 「…攻撃、合わせるよ。」


 「おお!何だか分からねーけどやってやる!」


 化け物が無数の体毛の先端を尖らせ、槍のように伸ばし二人に刺突する。

 それを空中で体を捻らせ回転しながら回避し、時折炎の玉を作り射出、反撃する。


 「目が、まわっ、回る……待って……」


 「我慢して!」


 そして丁度化け物の真上に来たとき、上空から涅巴を落とす。

 涅巴は落下しながら剣に魔力を注ぎ、炎、それを超えた雷を生み出し、腕を振り回しながら無数に向かってくる体毛を切り裂く。

 注意が涅巴に完全に向いたことを確認した少女は、化け物の背後に回って着地し、剣に全身全霊の力を加え突進する。


 「死にやがれ、『雷落切り』!」


 『昇炎…!』


 涅巴は剣を上から下に落とし、少女は地を跳ね下から上に登るように切り上げる。二つの剣は化け物の体を上下から両断し、体の中心でぶち当たった。


 「重っ……!!」


 涅巴は少女の剣の威力に耐えれず、剣を手放しそれは宙へと舞った。


 『縺舌o縺√=縺?d縺√=縺っ!!……』


 化け物は体を切り離され動かなくなり、光と共に消滅した。

 

 「よっしゃあ!!あがり!!」


 涅巴が勝利の雄叫びをあげる、すると友親が小学生くらいの子供を抱えてやってきた。


 「…やったのか?」


 「おう!バッチリ!……その子が妹か?」


 「あぁ、妹の菫だ。でもお袋がどこにもいねぇんだ……」


 子供はスヤスヤと眠っていた。目元が真っ赤に腫れていて、ずっと泣いていたことがわかる。


 「……もう一人この場所にいると思う。」


 少女がそう話しながらこちらに歩いてくる。


 「わかるのか?」


 「…」


 少女が不満げにこちらを見る。どうやら涅巴に対して何か言いたげなようだ。


 あれ、なんかやっちゃったかな…。そんな覚えはないんだけど。


 「……って言った。」


 「え?」


 「重いって言った!」


 「えぇ?」


 「私のこと重いって言った!だからこれ以上協力しない!」


 いや明らかに体重のことをさして言った訳ではないだろ、なんて思いつつ、軽く平謝りだけして話を戻す。少女はまだ不満がありそうだったが。


 「……まだ人間くらいの存在が一つあるのがわかるから。」


 「存在……凄いな…」


 フフンと誇らしげな顔をして先ほどまでの怒りようが嘘のようにニッコニコである。チョロい。


 「そうか…!いるのか!」


 友親も希望が見えて元気を取り戻したようだ。


 「よし、脅威もいなくなったし、三人で手分けして……」


 そこで涅巴は先程殺した男の言葉を思い出す。

 

 『一応聞いとくが、女の子を捕まえ……保護してんだ、知り合いか?』


 あれ……、"女の子"?母親世代の女性を女の子なんて呼ぶか? "女を二人"とかで現すんじゃ?


 「それ、ホントに母親……」


 バンと不快で耳鳴りがするような発砲音が鳴り響く。


 気付いたときにはもう遅い。すでに少女の胸から花が咲いていた、血しぶきという名の花が。

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