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命の神  作者: oto
一部 一章 "三日月は昇る"
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2 "逃走"

 ……目的地にもうすぐ着くようだ。


 未だ頭が混乱している、人身事故を見たというのもあるが、なぜこの痴漢魔は飄々とした態度を取れるのか。

 そして自分がなぜ未だ尻を触られているのか。


 「あの…」


 勇気を出して声をかけた。

 痴漢魔は「ん?」と首を傾げた。


 「事故ってよく見るんですか?」


 痴漢魔は言った、


 「初めてみたわ、あんなグロテスクで気持ち悪いの。」 

 

 そして、さも当然かのように言葉を続けた。

 

 「ところで何処のホテルにいく?近場だと駅から北のホテル街だけど。」


 数秒の放心、そして沈黙、理解が追いつかない、いや違う、脳が理解したそれを否定している。

 

 「あら、ホテルは嫌?それなら私の家が駅から西にあるわよ♡」


 いやそうではなく、と言おうとしたところで気づいた。

 

 「貴方は何故僕の降りる駅を知っているんですか、」


 またもや沈黙、この沈黙が彼の恐怖を促進させる。


 「だって…」


 もしかしてずっと監視されて…

 痴漢魔は可愛らしく笑いながら言った。


 「次、終点じゃない。」


 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 「この度は、jr秋灘線をご利用頂きまして、誠にありがとうごさいます。」

 「現在、秋灘線内においてトラブルが発生したため、運行を見合わせております。」


 どうやら目的の駅に到着したようだ。

 だが、先程の事故の影響か電車から出られない状態が続いている。


 「あの、すみません…」


 彼は駅員に声をかけた。

 

 「トイレをお借りしたいんですけど…」


 駅員はしょうがないな、といった様子でトイレまでの道のりを教えてくれた。


 「終わったらすぐに戻ってきてくださいね。」


 彼は軽く頷くと歩き出した。

 だが、誰にも見られていないことを確認すると、直ぐに駅の出口まで歩きはじめた。

 

 当然の行動であろう、これが唯一の痴漢魔から逃げ出す方法なのだから。

 この頃には事故のことなど忘れてしまっていたのだった。

 

 「此処が秋峰か、」


 彼は自身の新天地に直面し、それに圧倒されていた。

 不安はあるが、それが良い、自分のこれからの生活に期待してなんだかわくわくしてくる。


 そこで一本の通知が携帯に入った。


 『すまない渋滞が起きていてね、迎えに行けそうにない。』


 続けてもう一本の通知、


 『悪いけど、近くまで歩いて来てはくれないか?』


 彼は了承のメールを打ち、そこから歩き出そうとした。

 そこで彼は後悔した。

 駅より西に見える坂、それを歩かないといけないのであった。


あれ、西?

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