表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/17

冒険者として

「扉です…!皆さん、扉がありました!」


ミカさんが困惑したような声で叫んだ。


私は大剣から手を離した。


しかし、この先に何があるか分からない以上、警戒はまだ解けない。


その場所は開けていたため、全員が横一列に並び扉の前に立つ。


扉は鉄製で、明らかに人工的に造られた物だった。


「隊長、鍵が開きました!」


探検隊の一人が鍵を開けると、ミカさんは頷いて扉に手をかけた。


ぎいっ…と音が鳴り、扉が開かれると同時に、ミカさんのランプが扉の先を照らす。


「これは…」


そこには、大きな宝箱と、沢山の宝石があった。





「違う世界からやってきたんです」


「行くあてがないんです。どうか中に入れてください」


襲い来る怪物をぎりぎりで倒しつつようやくたどり着いた町で、門番にそう懇願することしか出来なかった。


誰でも良かった。


助けて欲しかった。


けれど、私のような、違う世界からやって来たと話す怪しい人間なんて、当然誰も手を差し延べてはくれなかった。


記憶が混乱しているのだろうと思われて中に入れて貰えただけでも、怪しい者だと勘違いされて投獄を免れただけでも、私はラッキーな方だったのだ。


そして私は、命からがらたどり着いたその町で、この世界での生き方を学んだ。


身元の分からない私を雇ってくれる場所なんてあるはずがない。


この世界の戸籍すらない私が一人で出来る仕事なんて、たかが知れていた。



身元不明でも就くことができる職業。


かつ、この世界を探索する事が許される職業。


それは、『冒険者』だ。



私は、選ばなければならなかった。



『冒険者』として命懸けで怪物と戦いながら帰る方法を探すか。



それとも、他の職業に就いて、この世界で生きていくか。



それとも、このまま何もせず、餓えて死ぬか。



私は『冒険者』として生きる道を選んだ。


死にたくなかったから。




私は、元の世界に帰りたかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ