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英雄伝説

休憩が終わり、いよいよ目的の洞窟の中に入った。


洞窟の中は薄暗く、頼れる光は一人ひとつのランプしかない。



「ねえ、ミカさん。さっきの話だけど…」


私は緊張を解かないまま、すぐ前を歩くミカさんに話かけた。


「宝石の話ですか?」


「そう、宝石の話。まだ途中だったから」


心持ち平静を装って聞いたものの、私は内心、いてもたってもいられなかった。


「そうですね…。私も父から聞いた話なんですが、その伝説では昔、異世界からやってきた男の人が、不思議な宝石を使って異世界に戻ったらしいんです」


「その話、聞いた事ある。『英雄伝説』だよね」


「そうです。私、『英雄伝説』の絵本が大好きなんです」


ミカさんは嬉しそうに笑った。



英雄伝説。

この世界では、子供から大人まで、みんな知っている絵本だ。



『かつて、異世界から突然やってきて世界を救い、英雄と呼ばれた男がいた』



勿論、帰る方法を調べている過程で、その絵本にも辿り着いた。


しかし、二百年も昔に書かれた絵本で、作者すら不明の絵本だ。


あまりにも情報が見つからないため、それ以上調べる事を断念していた。


「何でも、その世界を救った英雄の仲間が、宝石をとある洞窟に隠したと言われているそうです」


ミカさんは、まるで内緒話をする時のように少し声のトーンを落として続けた。


「そして、その伝説の英雄の仲間が、かつて宝石を隠したと言われるのが、この洞窟らしいんですよ」


その時、前方から地を這うような怪物の雄叫びが轟いた。


「下がって!」


私はミカさん達の前に飛び出した。


怪物が大声で唸った。


恐怖が無いわけではないが、私は怪物よりも恐ろしい勇者を知っている。



あの勇者との一対一の訓練と比べれば、正直言って怪物の恐ろしさなど霞んで見える。


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