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また四巨頭会議


 登場キャラクターの1人、剣神イオタ。


 特定の相手を特定の条件で倒すと使用可能になる隠れキャラ。

 各種パラメーターは他の主要キャラと一線を画すチート。

 必殺技は「覇道剣稲妻三段返し」これは防御不可の技。入ると体力の80%が削られる。

 キャラデザインは鳥山石燕の絵を元にした、おどろおどろしい物となっている。

 

「何でござるかな? これは?」

『え? 路上無双Ⅱ・雨戸コアの新作ですよ。イオタさんが隠れキャラで出てくるって。おめでとうございます』

 


 西暦も20XX年を迎えた。


 人気アイドルグループ山風が活動を休止し、リーダーを推していたミウラの落ち込みが酷かった。

 そんなある日。久々にムサシのヌシから念話が入ってきた。


『これより、オワリのヌシ、エチゴのヌシ、ムツのヌシ、ミウラのヌシによる、四巨頭会議を執り行う』

「ではミウラ、某はお邪魔みたいなので、席を外す。頑張れ!」

『……なお、イオタのヌシはオブザーバーでの参加となる』

『やーい! ところで、今言って今ですか? わたしたち都合も考えてくださいよ。異議申し立ていたします』

『……なお、発起人はオワリのヌシである。異議のある方は、直接オワリのヌシへ申し出てください』

『異議を取り下げます。早速始めましょう。議題は何ですか?』


 協力的なミウラの参加により、四大巨頭会議が始まった。


 これまでなら……そう、300年前なら、一カ所に集まって、膝つき合わせて話し合うのだが、300年の年月が各ヌシ達の能力を向上させ、顔を合わさずとも念話で会議ができるようになった。テレワークのはしりである。


『先ずは発起人のオワリのヌシ。どうぞ』

 議題を言えということだ。


『ミウラ、人と関われ』

 ……。

 ……。

 ……。

『え? それだけっすか?』

 解るわけ無かろう。


『これだから……。仕方ないので、オワリのヌシに代わり、このエチゴのヌシが話そう』

 この300年で、エチゴのヌシはずいぶんと世話焼きになっていた。


『色々と思うところがあり、我らヌシ達は奥に引きこもった。狙いは、人の自主性を高めるためであった。その当時はそれで良かった。だが、70年も80年も経ち、ヌシを取り巻く環境が変わった。そこで、新たな行動指針を求め、それを採択することになった。つまり、方向転換の時期が来た。そう言うことだ』


 時代の変化、取り巻く状況の変化に伴い、これまでの方針を変更しようと、そう言うことだ。


『現況、人にとってヌシは、情報の少ない不思議な生物扱いらしい』

『え? あれだけわたしたちもやらかしておいて? そもそも、徳川家が日本を統一する前から人と付き合ってきましたよね、わたしたち?』

 ミウラの言うことも当然。ヌシは人の上位バージョン。崇め奉る存在だ。


『それではいかぬのだ。人の寿命は短い。すぐに死ぬ。たった数十年引き剥がしただけで、人はヌシの事を伝承し損ねておる。間違った伝承を間違ったまま次世代、次次世代へ伝えておるフシがある。どうも、諸外国がヌシは人類に危害を与えるバケモノとして排除の方向へ世論を誘導しておるらしい』

『何の事やら?』

「拙者は解る!」

 イオタさんが挙手した。


「仮面ネコライダー・イオタに続き、なにやらゲームに拙者が登場しておるようだ。拙者の姿や存在を取り間違えておる。勝手な解釈の元、拙者の歪められた人格が一人歩きしておる。困ったものにござる! ふんす!」


 赤いレンジャーが登場してから、たった50年ばかりで伝説のヒーロー扱いになるからね。伝説が大好きだから仕方ないね。


『そうなのか? イオタの主が怒るのも理解できる。私がそのような扱いを受けたとしたら、東京は火の海に沈むことであろう』


 ミウラは黙っていようと心に決めた。サブカルで、エチゴのヌシが女体化されている事を。オワリのヌシが、ファイナル・クエストドラゴンで魔王になってることを。ムツのヌシが、未来帝國の艦隊決戦でシリーズ敵になっていることを……。あれ?


『あれ? ムツのヌシ様、おられますか?』

 いままで一言の発言もないのだ。


『うるさい! イオタちゃんを静かに観察してるんだ。ミウラ君は黙ってろ!』

 お叱りを受けた。


『イオタちゃーん! また小さくなっ「エチゴのヌシ殿! それで具体的に何をせよとおっしゃるか?」

『ミウラ君、イオタちゃんが出演するげーむ『結論を先に言おう。ミウラのヌシよ、貴殿に人との接触を担当してもらいたい。いうなれば人担当大臣』

 エチゴのヌシによる的確な説明と議事運営。


『理由は、昨今、ヌシに対する間違った認識の拡大防止。それと認識の訂正だ』


 女体化に魔王にラスボス、そして仮面ネコライダー。日本人の間違った認識を修正せねば、とんでもなくめんどくさい結末を迎えることになる。……それ以前に、諸外国からのヌシ排除、除去、駆除への圧力が目障りなのだろう。


『なんで、それがわたしなんですか? 他にもおられるでしょう、適任な方が……』

 そんなめんどくさい役はごめんこうむりたいミウラである。


『……ほら、九州にサツマのヌシとかオオスミのヌシとか!』

『あやつらは性格的に不適合だ。物事をわざと曲解させてしまう()があるし、人をすぐ殺そうとする。それにミウラのヌシ、その方、密かに人と太く繋がっておろう? ミウラ神社とか』

『うぐっ!』

 バレバレにござる。


『家に電化製品がたくさんあるだろう? 我々は電化製品なぞ使わんからな。やはりミウラのヌシが適任だ』

『ううっ! 言い逃れできない』

「はっはっはっ! 頑張るでござるよミウラのヌシ。某も影ながら応援いたすよ! はっはっはっ!」

 イオタ大爆笑!


『え? イオタのヌシも活躍するのだが?』

 エチゴのヌシが素で驚いている。


「え?」

 イオタも風向きが変わったことに気づいた。


『抵抗力の少ない人の前に、巨体のヌシが出てきてどうする。怯えさせるだけではないか? 一方、イオタのヌシは人の姿をしていて、大変馴染みやすかろう。とういうことは、必然的にイオタのヌシが最前列で活動することになる。ミウラのヌシを選んだのも、イオタのヌシがくっついておるからだぞ?』

「え?」


『ブワッハッハッハッ!』

 ミウラ大爆笑!

『そういう事でしたらイオタのヌシ様、プロデュースはお任せください。不肖、このミウラ、イオタのヌシ様を立派なアイドルに仕上げてみせます!』

『イオタちゃんなら立派なアイドルになれる!』

『ムツのヌシの戯れ言は置いといて、納得してくれたようだから、この話、ミウラの主に一任することとする。各々方、よろしいな?』


 エチゴのヌシが仕切る仕切る! この隙を逃さぬように。兵は拙攻をナントカである。さすが軍神!


『ムツのヌシとして異論はない。あとで俺にもテレビの使い方を教えろ』

『オワリのヌシの名のもと、励め!』

『お? 決まった? 話は終わったようじゃな』

 ムサシのヌシ様はおねむだった模様。


『あっ! 気がついたら引き受けていた! なんて恐ろしいヌシ達なんだ』

 ミウラはヌシ達の交渉能力に恐怖した。


『ミウラのヌシ、何か質問はあるかの? 無ければお開きにするがの?』

 ムサシのヌシは早く帰りたいようだ。


『何も終わってませんって! 目的や目指す方向を指示してもらわないと! それと権限の範囲を。無制限にできないでしょう?』

『だそうじゃ。エチゴのヌシ、教えてあげて』


『そうだな。まず、ヌシをバケモノと見なす風潮を修正せよ。ヌシを意志薄弱で知能の低い動物と思っておる者もいる。意思の疎通ができない、戦闘狂、無意識殺人者に仕立て上げようとしている者も多い。そこを何とかせよ。そのために手段は選ばず。どうしても独りよがりで駄目な人間もいよう。そやつは殺して良い。最悪、人類を滅ぼしてもかまわん。よって権限は無限!』

『……いやー……、腕が鳴りますなー……。腕が鳴りますッ!』

 惚けていたミウラの両目にカッ! と火が付いた。なんか変な所に付いているスイッチが入ったようだ。


「おい、ミウラ……のヌシ、大丈夫か? 気は確かか?」

 イオタが心配しているが、聞いちゃいねぇ!


『では早速、作戦名(オペレーシュン)イオタプロジェクトに取りかかります! 忙しいのでこれで失礼!』

「おい、ミウラ! おい!」

 ミウラはイオタを小脇に抱えて外へ飛び出していった。


『是非も無し』

 四巨頭会議は、終わったようだ。

 

 

 

 伊豆半島の隠れ家にて。


『使うとすれば伊豆のミウラ神社ですな』

「おい、ミウラ?」


『まずはミウラ神社の中の人と、それとご近所と。うーん、先ずは親密さとフレンドリーファイアー。インディーズアイドルですな』

「ミウラ! 聞いておるのか?」


『そして頃合いを見計らって記者会見。メジャーデビューです! よし、この方針で行こう!』

「ミウラ! 返事をしろ!」


『なんです! うるさいですね! さあ、作戦開始です! プロデューサーさんに付いてきてください!』

 こうしてオペレーション・イオタプロジェクトが始まった。  

 

 

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