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ミウラ半島・艦砲射撃


 アメリカ海軍戦艦部隊によるイズ半島への艦砲射撃作戦が敢行された。


 なぜイズか? 狙いはB29を初めて全機撃墜(1機見逃し)したミウラである。


 日本は沖縄戦に持てる海上戦力のほとんどを使い尽くし、残った艦艇数じゃぁアメリカ海軍の動きに対し再編が間に合わない。

 また、B29は、容易く迎撃される。それに失われた機体・人員の補充は途中であったから使えない。


 アメリカは「nusi」の特徴を調べ尽くしていた。

 ヌシ(nusi)は、己の縄張りに入った敵意ある者を迎撃する性質を持っている。

 その攻撃は目視による。ただし視力は成層圏に及ぶ。そう判断した。


 ならば縄張り外の、水平線の向こうからの攻撃なら効果がアリでは?


 ヌシ本体に直撃は難しいとしても、ヌシの縄張り内への攻撃手段を持っている。それを知らしめすことで、ヌシを脅かすことが出来る。

 ヌシと言っても所詮はケダモノ。これまで経験したことのない大いなる壊力を見せつければ温和しくなろうというもの。


 そんなフワッとした感じの作戦が確固たる意志の元、敢行された。


 さて、当日、昼日中。


 4万トン級戦艦4隻、巡洋艦と駆逐艦合わせて11隻、合計15隻になる艦隊がイズ半島沖に姿を現した。……というか、水平線の少し向こうに隠れる様な航路である。もちろん、イズ半島は目視できない。レーダー波も届かない。

 先行して飛ばした偵察機による着弾確認頼りの砲撃であったが、自信は十分ある。


「司令! 間もなく目標海域です!」

「ふふふ、この時を待ちかねたよ。諸君!」

 旗艦戦闘ブリッジに陣取る艦隊司令は、部下達の前で声を張り上げた。


「さあ、獣の躾の時間がやってきた。尻をひっぱ叩く箒は手にしたか? 一番に獣のケツを叩いた船の酒房を無制限解放することを約束しよう!」

 ブリッジに笑いが巻き起こる。大丈夫だ、みんなリラックスしている。


「では諸君、作戦開始のお時間だ!」

 号令が下る。


「砲撃戦用意! 主砲発射用意! 全砲門開け!」

「用意完了! オールグリーン!」(あ、この辺の作業工程は適当です)

「よろしい!」

 準備の良さより、戦意の高さが気に入った。


「砲撃開始!」

「てぇ!」

 主砲が唸りを上げ、莫大な炎と黒煙を吹いた。


「着弾……今!」

 ここからは見えないが、伊豆半島のどこかに40.6センチ砲が炸裂した。

 木々を巻き込んで土煙が上がっている。

 

『右舷30度前方より艦に接近する飛行物体あり! 速い!』

 目視による見張り要員から警報が入る。


「レーダーに感無し!」

 レーダーに映らないが目で見える。なんだそれは?


 ブリッジ要員達は右前を見た。

 黒い点が水平線の向こうから飛んでくるのが見え……速い! もう目の前! なんだ鳥か? 馬鹿な!


「何かが投下されました!」

 飛行物体より黒い点が分離。放物線を描きながら旗艦甲板に落ちてくる。

 爆弾か?

「取り舵いっぱい! 全員何かにつかまれ!」

 (フネ)は回避運動に入った。

 

「なんだありゃ?」

「人?」


 第一主砲塔上部に着陸したそれは、銀光をきらめかせる。砲塔上部装甲がばらけ、人影もろとも中へ落ちた。

 何者か?


 正体をお教えしよう。マッハ3.5を軽く出した空神ヒュウガのヌシにぶら下がって飛んできたイオタさんだ。

 第一主砲塔の上部装甲を切り刻んで内部へ侵入を果たしたのだ。

 いわゆる、ポン刀を持っての殴り込み?

 因みにヒュウガのヌシはイオタさんを切り離した後、錐もみ飛行を披露しながら、マッハ5.5で宙返りをして該当海域より遠ざかっていたが、だれも見ていなかった。

 ――辛いところだ。

 

 さて、パニックになったのは旗艦第一主砲塔内部の主砲要員。

 天蓋を割って飛び込んできたのは、どうやら人間らしい。何事かと、砲塔内で最も血の気が多い水兵が、特大スパナを手し、頭頂骨(ドタマ)ブチ抜いたるとばかりに振りかぶった!


 飛び込んできた人物が顔を上げた。

 黒髪ポニーテールの美少女じゃないか! それが困った顔をしている。


 スパナを持ち上げた水兵さん。武器であるスパナを背中に隠し、ニヘラと笑った。他の水兵(アメリカ人)さんもニヘラと笑う。

 イオタさんもニヘラと笑い、刀を振るった。


 舞う血飛沫! 飛び上がる悲鳴! 大 惨 事 !


 難なく、敵水兵を斬り殺したイオタさん。砲塔出入り口を開け、外に出て、ドア(ハツチ)を閉める。

 第二砲塔のドアを開け中に入り、にこりと笑う。

 ニチャリと笑い返す水兵さんを斬り殺し、ドアを開けて外へ出、丁寧にドアを閉める。


 次は艦内へ侵入。出合う敵水兵に、にっこり笑いかけ、ニヘラと笑い返すアメリカ人を片っ端から斬り殺していく!


「何が起こっているのだ?」

 ブリッジは大騒ぎになっていた。次々と各部署から連絡が途絶えていく。


 チン!

 その時、エレベータが到着の音を立てた。


「全員! 銃を抜け!」

 誰が来たのか? それは敵のような気がする。みんなの視線がエレベーターに集まった。銃口がエレベーターに向けられる。


 出てきたのは、黒髪の美少女。笑顔が可愛い。

 司令を含め、アメリカ人男性全員がニヘラと笑い、銃を下げた。


 ここで気づくべきだった。

 黒髪の美少女は、手に抜き身の刀を持っている。返り血で、至る所を赤く染めている。

 

 

 ――旗艦は制圧された。


 続いて、すぐ近くを航行する2番艦で悲鳴が上がるがじきに静かになるだろう。

 こんなアレで、イズ半島攻撃艦隊は無人の幽霊船となり、黒潮に乗って何処までも北上していくのであった。(ちなみに幽霊艦隊はハワイ沖で無事発見された)

 



 イズ半島攻撃隊が消息を絶った後日。如何なる思考で行動に至ったか不明であるが、アメリカ海軍はさらに1隻の戦艦と3隻の重巡からなる艦隊をイズ半島へ派遣。


 今回の目的は威力偵察だ。

 ヌシを不可思議で神がかりな存在として放っておけない。兵の士気に関わる。

 予定コースは、イズ半島の先っちょへ、東側より接近。緩い転進をかけ、南へ抜ける予定だ。速度は全速。

 全行程、25ノットをキープした艦隊行動を命じられている。


 この時のアメリカ海軍は、首脳部がちょっとアレだったのかも知れない。


 いい加減近づいたので、反転離脱しようかとしたタイミングを計られたようだ。

 イズ半島の先っちょから、野太いビームが伸び、戦艦の土手っ腹・最も厚い装甲部分に直撃。これを貫通。反対側に青白い光が伸びていった。


 戦艦轟沈。


 青白いビーム2連射。重巡二隻、爆沈。


 残り一隻となった重巡は、設定速度以上の速度を叩き出し、同海域を離脱。伝説となった。



 以後、日本への砲撃は行われていない。


 

 ならば、アメリカはどうでるのか? 次なる一手は?


 

 エノラ・ゲイ。マリアナ諸島テニアン島北飛行場に着陸。

 

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