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リアドラ ーReturn to the Draftー  作者: Tsuyoshi&松山亮太
第十話『ゴールドバニー』
99/128

#8

 翌日の放課後、エイクは昨日の女の子を同じ場所に呼び出していた。三人がやってきて、その中の一人、エイクに手紙を渡した子が彼の前に、緊張で足を震わせながらやってきた。赤面して震える彼女に、エイクは優しく話し掛けた。


「昨日はお手紙ありがとう。読ませてもらったよ」

「あ・・・・・・ありがとう・・・・・・。あの・・・・・・わ、私・・・・・・エイク君がす・・・・・・好きなんです。わた、私と付き合って下さい!」


 女の子は震える声で、でも彼への想いを絞り出すように、エイクに告白した。


「ワタシの事を好きになってくれて、ありがとう。・・・・・・でも、ワタシには好きな人がいるんだ。だから、君の気持ちに応える事は出来ない。・・・・・・ごめん」


 エイクから断られた女の子は目から大粒の涙がぼろぼろと(こぼ)れ落ちる。


「エイク君・・・・・・気持ち、教えてくれてありがとう・・・・・・」


 女の子は顔を押さえ、見守っていた友人達の元へ行った。そして三人で泣く姿を背に、エイクはその場を去っていった。



 それからまた、エイクにとってはもどかしい日常が繰り返される。


『毎日どこかで偶然会えることを期待していた』


 講義中でも西小路の事が頭を支配して、授業に集中できない。西小路の側にはいつも紅葉の影がチラつく。時々、西小路を見かけても、やっぱり紅葉がいる。


『きっと彼には彼女がお似合いなんだ・・・・・・忘れなきゃ。忘れよう。でも・・・・・・気が付くと君のことばかり考えてしまっている』


 あの日、西小路に助けられた日のこと。あんな姿でいても気持ち悪がらずにいてくれたこと。自由に動けない自分の肩を支えて守ってくれたこと。優しく、でも力強く自分に手を差し伸べてくれたこと。そして彼に抱き着いて、燃え(さか)る建物から一緒に脱出したこと。


『もう一度・・・・・・彼の胸に・・・・・・』

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