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リアドラ ーReturn to the Draftー  作者: Tsuyoshi&松山亮太
第十話『ゴールドバニー』
93/128

#2

 それからエイクは箕面市 ()()(はら)にある邸宅で、八十代くらいの上品な老婦人の肖像画を描いていた。現在の婦人ではなく、彼女が若かりし時の写真を見て、それを絵にしていた。

 老婦人は椅子に座り、バラの刺繍(ししゅう)のパッチワークをしていた。エイクが絵を描く姿を見て穏やかな口調で、


「エイクさん、何かいいことがあったのね」

「え?」

「いつもは淡々と描いているのに、今日は表情も柔らかくて。なんだか嬉しそうだわ」


 老婦人が柔らかな笑顔でエイクに微笑みかける。


「そうですか?」

「えぇ、なんだか、恋をしているみたいな」

「そ、そんな・・・・・・恋だなんて・・・・・・」

「青春ね・・・・・・ウフフフ」


 エイクは西小路の顔が脳裏によぎり、顔を赤らめる。そんな彼を見て優しく笑う彼女に、話の矛先を自分から変えようと、


「お、おばあちゃんは・・・・・・どんな恋をしてきたの?」


 エイクは老婦人に尋ねる。


「まぁ、エイクさんったら」

「お、おばあちゃんが先に言ってきたから・・・・・・」

「ウフフフ・・・・・・そうね」


 老婦人は刺繍をテーブルに置き、老眼鏡を外す。そして目を閉じて、昔の記憶を辿りながら、懐かしむようにゆっくりと話し始めた。

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