#10(完)
後日、王の所持していたかやのの写真のネガやデータを約束通り破棄させる為に、かやのと西小路は彼の部屋に訪れていた。
「うおらぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」
半ば発狂気味に、壁中の盗撮ポスターを一枚残らず破るかやの。合成キスシーンパネルを粉々に粉砕し、ドレスもビリビリに破り去った。
そして、ズドンッと音を立てて、パソコン本体とモニターに寸拳を撃ち込む。突き破られた本体からコードを掴んだ拳を引き抜いた。
「オ、オレのパソコンが・・・・・・」
「・・・・・・・・・歯ァ食い縛れ」「・・・・・・へ?」
パソコン諸共データを破壊されて呆然としていた王に、ドスの利いた声でかやのが鋭い眼光を向けた。
その瞬間、バチィィィィィィィンッ‼ という強烈に重いビンタが王の左頬を捉える。王は「へぶぅっ‼」と壁に向かって吹き飛ばされ、壁に激突して気を失った。
「フン・・・・・・今回はこれぐらいで勘弁してやるよ」
青空の下、西小路とかやのはキャンパス通りを歩いている。それから少し離れて石丸を抱いた紅葉と桃音が歩いていた。石丸の口には銀色のメダルがキラリと輝いている。
「まさかお前があそこまでやるとはな」
「ゼクスの為ならね」
「お? もしかしてお前、ソッチの気に目覚めたのか?」
「いやー、案外やってみるとなかなか・・・・・・って、冗談じゃないよ!」
前を歩く二人のやり取りを見ながら、桃音が紅葉に、
「お二人って仲良いんですね!」
と、眩しい笑顔で言う。すると紅葉も、
「フフフ、そうですわね」
と、はにかんだ。そして、西小路の隣を歩くかやのを羨むような目で見つめる。
「とても、良いコンビですわ・・・・・・」
そんな紅葉の表情を見て、桃音は紅葉の手を取る。
「行きましょう!」
桃音に引っ張られながら、紅葉は二人のところへ駆けていく―――。
第七話『OH! by 桃李』完
最後までお読み頂き有難うございます。
もしよろしければ、こちら↓↓↓の広告下にございます「☆☆☆☆☆」欄にて作品への応援を頂けますと、今後の励みとなります。
よろしくお願いします。
次回、第八話『朧月』
お楽しみください。