#9
サビが終わり、ステージが暗くなり、満天の星空が広がる。MapleとCarolineにスポットが当たり、二人が静かに天の川を歩きながら歌い出す。幻想的な光景と歌声にモニターの向こうの観客は魅了される。曲の盛り上がりに合わせて、星が次々と流れ出す。
手を伸ばした先に 瞬く流星のわかれ道
永遠のエンブレムをその手に
気のせいじゃない 未練残したくない
この想い伝えたい
満天の星空、流れる星々。その中の一つ、とても大きな光が二人の上にゆっくりと降りてくる。それを二人が一緒に受け止める。
「オレのコノ想い・・・・・・キミに・・・・・・」
モニター越しに王がエンブレムを握り、胸に当て目を閉じる。画面の中のMapleとCarolineが受け止めた光がエンブレムとなり、光をステージ全体に届ける。光が明けると共に、再び三人の衣装が変わる。更に豪華な装飾に変わり、Moneが二人の間に向かって走ってくる。三人の熱い気持ちを乗せたステージは、見る者全ての心を揺さぶる。
乙女心は揺れる 予想がつかない未来
青春はキミのために 憧れのあのヒトは まるでFAIRY
Welcome to Happy Flower !
この気持ち届けたい 虹が架かるあの彼方へ
Emotional Smile
取り巻き キミの心に愛を重ねて
幸せは小さな積み重ねさ
両手につもっていく 愛という名のもとに
大好きだよ
皆それぞれの個性を輝かせたステージが終わった。幸隆はMoneのやり切った姿を見て感極まって涙を流し、ローガンもMapleの姿に感嘆の声を漏らす。エイクはCarolineの姿が気になるのか、じっと見つめていた。そしてかやのも・・・・・・。
ここでKINGが話し始めた。
『見事ダ! 余は満足ダ。ではこれからこの三人にリスナーからの質問タイムだ!』
三人は打ち合わせでそんな話は聞いていないと驚いていた。しかし、KINGの進行は無情に進んでいき、三人に有無も言わさず質問タイムが始まった。
《Mapleたん、彼氏いるナリ?》
《テラかわゆす》
《みんなの趣味教えて欲しいンゴ》
《Moneタソ乙乙~》
《Carolineちゃん結婚して!》
など、コメント欄には三人に対して様々な言葉が投げかけられる。
Moneは普段の配信で慣れている為にそつなく答えるが、Mapleは照れて初心な発言を繰り返し、場を更に湧かせていた。
特に、Carolineには返答に困る質問が多く投げかけられ、王の狙い通り、西小路は困り果てていた―――。