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リアドラ ーReturn to the Draftー  作者: Tsuyoshi&松山亮太
第七話『OH! by 桃李』
65/128

#5

 翌日、一同は王に指定されたスタジオにいた。王が用意したVRtube(ブイアールチューブ)専用スタジオは、王の父親が買収した制作会社を使っており、設備は十分過ぎる程整った環境だった。

 西小路と紅葉は、こうした場所で撮影されているのかと、物珍しそうに辺りを見渡している。桃音と幸隆は恵まれた機材環境に目を輝かせていた。

 早速三人は3Dモーションキャプチャーの器具を装着して動作確認をしている。その裏ではスタッフにより、Mone(モネ)のアバターを幸隆と相談しながら、クオリティを高めていく。

 残り二人のアバターは既に用意されており、紅葉は現実の紅葉がそのまま3D化したような姿で、衣装と髪色が赤く調整されただけだった。しかし、西小路はというと、王も言っていた通り女性の姿で、金髪長身の美女になっていた。

 あとはそれを三人の動きに合わせて動くように設定し、演者達にも見えるようにモニターへ映し出す。王サイドの制作陣は西小路の姿を見てクスクスと笑っていた。

 西小路は屈辱感でガクッと膝をつくが、かやのの為だと自分を奮い立たせ、立ち上がる。



 この日は基本的な撮影前準備の体験をしただけで終わったが、西小路はどっと疲れたようで、ベンチで一人うなだれていた。そこに桃音がやってくる。


「お疲れ様です。西小路さん、だいぶやつれてますけど、大丈夫ですか?」


 桃音は隣に座り、心配そうに西小路に声をかける。西小路は自分より年下の桃音に心配させては情けないと、ローガン風の笑顔で「大丈夫、大丈夫」と答えた。

 すると今度は紅葉もやってきた。


「あの、桃音さん。知り合ったばかりで厚かましいかもしれませんが、もしよろしければ、今日私の家に泊まりに来ませんか? 色々と桃音さんのお話を伺いたいのと、曲の歌詞についても案を色々出しておきたいので、それも兼ねて。いかがですか?」


 紅葉の突然の提案に、桃音は困惑する訳でもなく、むしろ嬉しそうに、


「えっ、いいんですか⁉ 喜んで!」


 と、即答した。



 その日の夜、紅葉の部屋で桃音とお泊り会が開かれていた。二人はお互いの話や、歌詞の案についても話をしていた。だが、年頃の女子が集まると、当然友人や恋愛事情の話に発展するもので、桃音は別の学校に行った友人の話や、同じ学校の先輩に密かに片思い中などの話をした。紅葉も西小路とかやの、石丸や稲壱の話をしていた。

 桃音はお城のような豪邸で、お姫様のような部屋でお泊りが出来て、綺麗で優しくて上品なお姉さんみたいな紅葉とガールズトークをして、とても嬉しそうだった。紅葉も自分の憧れのアイドルといっぱい話せて幸せそうだった。

 二人の様子を見ている石丸も尻尾を振ってご機嫌のようだ。

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