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リアドラ ーReturn to the Draftー  作者: Tsuyoshi&松山亮太
第七話『OH! by 桃李』
64/128

#4

 それから数日後、王は西小路と紅葉を呼び出した。要件は西小路の要求を呑むという事。その代わりに王の要求を呑んでもらう事。


「オレはデータまで失うワケだかラ、オマエにもオレの要求を呑んでモラウ」


 王は深刻な面持ちから一転して不敵な笑みを浮かべた。タブレットを二人の前に出し、起動させてVRtube(ブイアールチューブ)の動画を流す。そこにはKING(キング)の過去動画が流れていた。


「オレはVRtube(ブイアールチューブ)をしテいてナ。登録者数も百万を超えているヨ。企業案件や他の配信者とのコラボの依頼を多数受けてイル。タダ、大した実力もナイクセに身の程も(わきま)えズ、オレに何度も依頼を出してクル愚かな奴もイル。そこでオマエはソイツと組んで、女アイドルVRtuber(ブイアールチューバー)としてデビューしろ」


 王は西小路に恥をかかせて屈辱を味あわせてやりたい、そんな感情が顔に出ていた。下卑た笑いを浮かべ、タブレットを操作する。西小路は王が有名な配信者だった事にも驚いたが、それと同時に自分への要求に対しての怒りが湧いていた。


「王・・・・・・なんて奴だ。この野郎・・・・・・」


 西小路は拳を強く握り締めて怒りを堪える。そして深く息を吐いてから、「わかった・・・・・・」と怒りを嚙み潰したような震えた声で了承する。


「西小路さん・・・・・・」


 紅葉が西小路に哀れみの目を向けた後、何かを決意したかのように強い眼差しで、


「西小路さん、私もやりますわ。西小路さんだけに恥ずかしい思いはさせません!」


 紅葉は西小路を見つめ、彼の握り締められた拳にそっと手を添えた。

すると「ほぅ?」と口元を歪ませ、王が二人の前にMone(モネ)の動画を流す。このVRtuber(ブイアールチューバー)とユニットを組めば良いとの事だった。


「えっ・・・・・・‼ この方は! Mone(モネ)さんじゃありませんか⁉」



 後日、百楽荘にある古民家カフェにて。カフェ内は古風なインテリアが飾られている。

 西小路と紅葉はテーブルについて、王から紹介されたMone(モネ)と待ち合わせしていた。テーブルには紅葉のタブレットが置かれており、モニターにはKING(キング)が映し出されている。王は顔出し完全NGなので、アバター越しから二人に指示を出している。王の事は基本的にKING(キング)と呼ぶ事、またKING(キング)の正体を明かさない事などだ。

 予定の時間の五分前に桃音と幸隆が現れた。


「あの、初めまして! 桜井桃音です! Mone(モネ)としてVRtube(ブイアールチューブ)配信してます」


 明るく可愛い笑顔と容姿に、紅葉は憧れのアイドルとイメージ通りだと歓喜し、西小路は王みたいに現実とアバターの見た目にギャップがある人物じゃなくて、内心ホッとした。

 妹に続いて挨拶した幸隆は、自分達に話しかけるKING(キング)に大興奮していた。


「きょ、今日はお忙しい中、妹の為に貴重なお時間を割いて頂き、本当にありがとうございます‼」


 各々の自己紹介が終わったところで、KING(キング)は今回の企画について説明を始めた。自分のチャンネルの枠でアイドルライブ配信を行い、Mone(モネ)をもっと多くの人に見てもらう事。

 その条件として、西小路と紅葉とユニットを組んで三人組でステージに立ってもらう事。また、作曲と振付(ふりつけ)はこちらで用意するが、歌詞は三人で作ってオリジナル曲として歌う事。

 それらの条件を聞いて、桃音はやる気満々で返事をした。

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