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リアドラ ーReturn to the Draftー  作者: Tsuyoshi&松山亮太
第七話『OH! by 桃李』
61/128

#1

 パソコンの画面に3Dのイケメンな男性のアバターが映し出されている。生意気そうな顔で頭に小さい王冠を乗せ、小気味よいテンポで雑談をしている。

 彼の名前はKING(キング)。少し陰りを感じさせるイケメンボイスと、見た目通りの偉そうな口調による雑談とゲームの実況配信、そして企画力の高さが人気を博し、登録者数も多い人気 VRtuber(ブイアールチューバー)だ。


『じゃあ今日はこの辺で失礼するヨ』


 KING(キング)の配信が切れ、パソコンがブラックアウトする。電源の切れた画面には、(ワン)の顔が映っていた。



 紅葉は寝室のベッドに寝転がりながら、石丸と一緒にタブレットで動画を見ていた。画面には彼女の推しの VRtuber(ブイアールチューバー)アイドル『Mone(モネ)』が映っており、プロの歌手の曲を歌ってみた系の配信が流れていた。

 Mone(モネ)は登録者数こそ二千人弱と、まだまだ少ないが、元気で明るい声とそれをよく表現された可愛い笑顔が魅力的で、紅葉にとって彼女はお気に入りだった。

 路側帯に石畳の一部が残り、古民家が立ち並ぶ箕面市 (ひゃく)(らく)(そう)にある一戸建ての家。一室の大広間で3Dモーションキャプチャーを着て、ダンスを踊りながら歌い、VRtube(ブイアールチューブ)撮影をしている少女がいた。

 彼女の名前は(さくら)()()()。淡いピンク色に染めたショートカットの髪が特徴的で、まだあどけなさが残る、箕面学園の高等部に通う十六歳の女子高生だ。

 彼女の前方にはモニターと様々なパソコン機器が小規模な設備でずらりと並んでおり、デスクの前では桃音の兄・(ゆき)(たか)が編集作業をおこなっている。彼の目の前のモニターの中では、紅葉イチ推し VRtuber(ブイアールチューバー)Mone(モネ)が、桃音の動きに合わせて踊っている。

 桃音は大学院生の幸隆に、VRtube(ブイアールチューブ)に必要な難しいプログラムやキャラ等のデザイン、撮影や編集の諸々(もろもろ)を手伝ってもらいながら、トップVRtuber(ブイアールチューバー)アイドルを目標に細々とだが活動していた。

撮影が終わり、「ふう・・・・・・」とひと息をつく桃音。


「なぁ、桃音。桃音はKING(キング)さんとコラボとか出来たら、やりたいでゴザルか?」


 幸隆はボサボサの前髪をかき分けながら、桃音に尋ねる。桃音は出来るならやってみたいと答え、それを聞いた幸隆は眼鏡を光らせた―――。


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