#7
大会当日、文化芸能劇場の前に、会場には西日本の学生ボディビルダー達がぞろぞろと入って行っている。西小路とかやのと紅葉も入口前で合流し、そのまま入場していった。
「うおぉぉぉぉぉぉ‼ 頑丈そうな奴ばっかだ!」
かやのは違う意味で一人大はしゃぎし、西小路は選手達の体格を見て、これは期待出来そうだと頷き、紅葉はジムに行った時のようにもじもじとしていた。三人が席に着き、しばらくすると、会場がパッと急に暗くなった。
『筋肉は芸術だぁー‼』
会場内にマイクの音声で大会のテーマが叫ばれた。それと同時にステージが一気に明るくなり、大会の主催者が壇上に現れ、大会の開幕が告げられた。
選手達が入場する。ステージ上に番号札のついたブーメランパンツ姿のボディビルダー達が上がってきた。客席からは選手達を歓迎する拍手が巻き起こる。
「おおぉぉぉ!」
「フムフム、皆素晴らしい体格だ」
「はわわわわ・・・・・・」
はしゃぐかやのの横で、西小路は選手達をガン見してメモを取り、紅葉は逆に目のやり場に困って手で顔を隠していた。選手たちは大会開始前で緊張の面持ちだったが、温かく盛大な拍手によって、選手達の緊張も和らいだ。それから代表選手が選手宣誓をし、審査が開始される。
『小野原紅葉サンは来てくれてマスカ? 宣誓の時には発見出来ませんデシタ。もしかして・・・・・・バット、小野原紅葉サンは必ず居るハズ。NO! ちゃんと小野原紅葉サンをビリーブするんだ! バットイフ・・・・・・あぁ、ダメだ、試合に集中しないと・・・・・・トレーニングの時を思い出すんだ、ミー! 集中、集中だ! AH・・・・・・小野原紅葉サン・・・・・・』
ローガンは紅葉が来てくれるか、モヤモヤとした気持ちを抱えたまま、試合に臨んでいた。練習の時はきっと来てくれると信じてポジティブな気持ちでいられたが、本番になって急に不安に煽られたのだ。