#3
それから数時間後、かやのと紅葉がスポーツジムにやってきた。
「おっ、こんなとこに居やがったか。お前らしいというか、なんというか」
「個人トレーニングに限界を感じてさ。それはそうと、紅葉ちゃん。さっきからどうしたの?」
「こっ、これが漢の世界というものなのですわね・・・・・・ヒャッ!」
ボディビルダー達が近くを通るだけで、その度にビクッと反応して、かやのの後ろに隠れる紅葉。紅葉のそのウブで可愛い仕草にローガンは「なんて可憐なんだ・・・・・・」と呟き、紅葉に話し掛ける。
「お、小野原紅葉サンッ! ア、アナタもここの・・・・・・イヤイヤ、その、ここはっ、男だけではないデス。ここには、ボディを鍛えるのが好きなレディ達もいっぱいいるデース!」
確かによく周りを見渡せば女性のボディビルダーもちらほらいる。その中で指導をしているインストラクターはボディビル体型ではなくアスリート体型で、周囲に比べると一般的な体格のように錯覚する。
「お? お前どっかで見たことあると思ったら同じクラスの奴じゃねぇか。お前結構良いガタイしてんなー」
かやのはローガンの大胸筋をペチペチ叩く。そんなかやのに焦って戸惑っていると、女性インストラクターが声を掛けてきた。
「よかったら、一日体験もできますよ?」
「マジか? ここにあるヤツ全部使っていいのか?」
かやのは目をキラキラ輝かせて、色んなマシーンを指さしてインストラクターに訊く。女性がその度に「はい」と言うので、かやのはニタァと笑い、
「やるやる! 面白そうだ!」
と女性インストラクターに体験をする旨を伝えた。かやのの言葉に釣られて、紅葉もつい「じゃあ私も・・・・・・」と言ってしまう。
数分後、トレーニングウェアに着替えてきたかやのと紅葉。かやのはその豊満でナイスバディな体つきが強調されており、その場にいた男性会員達は西小路とローガンを除いて、全員鼻の下を伸ばしていた。
紅葉はかやのに比べてかなり控えめな体つきではあるが、スレンダーなモデルのような体型で、ボディラインが出る衣装に恥ずかしそうに胸を隠す。そんな紅葉の姿に釘付けになっているローガンは「か、可憐だ・・・・・・」と呟く。
西小路は、「かやのちゃんがあんな水着みたいな恰好になるのは珍しいな」と、思って見ていたが、かやのの「この服、レスラーみたいでかっこよくね?」の一言に、「あぁ、いつものかやのちゃんだな」と思った。
そして各々トレーニングを始める。西小路はローガンに教えてもらい、ローガンは教えながら紅葉を眺め、紅葉はインストラクターに教わりながら基礎運動をする。
そしてかやのはというと、興味が湧いたマシーンを片っ端から使っていき、そしてそれをことごとく破壊していく。極めつけはサンドバックに中国拳法の寸拳を使い、一撃で粉砕してしまっていた。
はじめはかやのの揺れる胸や尻、ムチムチの太ももに目が行きデレデレだった男性会員達も、彼女の破壊行動に徐々に恐怖を覚え、最後の寸拳で完全に下心が粉砕された。そして西小路も顔面蒼白になって冷や汗をかいていた。当のかやの本人は楽しそうだが・・・・・・。