#6
数日後、アイから聞いていたマコトの予定をもとに、アタリをつけて張り込み、ついに現場を押さえることが出来た。アイにその事を連絡するとしっかり見届けたいとの事で、現場である廃工場で落ち合う流れとなった。
アイを待つ間、西小路とかやのと稲壱は、建物の中の様子を監視する事に。なるべく音を立てないように、静かに覗く。中はかなり広く、天井も抜けており、吹き抜けのようになっている。普段誰も立ち寄らないのか、埃が積もっており、歩くと埃が舞って鼻がムズムズする。
奥の方から何かを叩くような音と、くぐもった悲鳴が聞こえる。ゆっくり近づくと、何が行われているのかが見えてきた。
そこには裸で褌姿の状態で全身を縛られ、目隠しと猿轡、そして鎖の付いた首輪を着けたエイクがいた。首輪の鎖の先にはK1ファイターのような体格の男が裸に黒のTバック、上半身に皮製のハーネスボンテージを纏い、ガスマスクを被って立っていた。顔は見えないが、状況的に見てマコトに間違いない。
彼の手には鎖と一本鞭が握られていた。どうやら先ほどの悲鳴はエイクが鞭で打たれた時のものだろう。また、エイクの近くには、ガラス製のシリンジやローション、火のついた太い蝋燭や様々な大きさのシリコン棒などが並べられており、蝋燭の灯りがエイクの苦悶の表情を照らし出す。
その二人の光景を一台のビデオカメラが見つめている。
「エイク~? どうだい、痛いかい? 苦しいかい? これからもっと酷い事してあげるからね。だからもっと、イイ声で鳴いておくれ?」
マコトはカメラを三脚ごと持ち上げ、エイクを色んな角度で撮影する。
そして再び鞭を握った。
『ひえぇ~、なんちゅう・・・・・・痛っ、うわっ、熱っ、ひぃぃぃぃ・・・・・・モゴッ』
「稲壱うるせーぞ。見つかっちまうだろーが」
二人の異常な行為を見て、思わず声が漏れる稲壱と、稲壱の口を押さえるかやの。
「フフフ、キミが痛めつけられる姿を、これから全国の男達に見られるんだ。興奮するだろう?」
マコトがエイクの目隠しと猿轡を外す。エイクは自分の今の状況を映しているカメラを見て、顔を青くして叫ぶ。
「いやだっ! 撮らないでぇっ‼ もうやめてよぉ‼ 家に帰して!」
「せっかくここを借りて、ここまでセットしたんだ。まだまだ帰す訳がないだろう? それに、キミにはこれで一生オレのモノだという証も付けてあげなきゃいけないしねぇ」
マコトは長い鉄棒の先端部に自分の名前が刻まれた焼き鏝を、バーナーで炙りながらエイクに見せつける。
「新作のタイトルは何にしようかなぁ?」
どうやらマコトはジェンダー向け且つマニア向けのビデオを制作しているようだ。エイクに向ける言葉もどこか台詞のように聞こえる。
「・・・・・・もう無理だ‼」「・・・・・・っ⁉ バカ野郎ッ!」
とうとう我慢の限界に達し、西小路がマコトとエイクの前に飛び出した。