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リアドラ ーReturn to the Draftー  作者: Tsuyoshi&松山亮太
第五話『紅の薔薇』
44/128

#4

 翌日、早朝。探偵事務所にて。再び例の依頼人のアイが事務所を訪れており、西小路が話を聞いている。今回は隣にかやのも座っていた。

 西小路は愛想笑いをしながらも、やはりその手の話が苦手なのか顔に出てしまっている。

 そんな西小路に反して、かやのはニヤついた顔で話の相槌を打っていた。


「―――というわけで、この話受けてくれるかしら?」

「・・・・・・えぇっと・・・・・・・・・はい、お受けさせて・・・・・・いただきます」


 まだ迷いがあり口籠(くちごも)っていたが、隣のかやのに肘でせっつかれ、更に目の前のアイの熱い眼差しに気圧(けお)され、西小路は渋々ながら了承した。



 それから調査はすぐに開始された。アイとマコトの住んでいる家の近くから張り込み、マコトがスーツ姿で家を出たところで二人は尾行を始めた。

 西小路達は対象に気付かれないように、一定の距離感を保ちながら後を追った。アイの話ではマコトは電車通勤で、営業関係の仕事をしているとの事だったが、一向に会社に向かう様子はない。それどころか如何(いかが)わしい物を扱う店が立ち並ぶ通りに来ていた。

 ここに紅葉がいなくて良かったと思う西小路。


「おっ、入ったぞ」


 かやのが西小路の肩を叩き、一件の店を指さす。その店は誰が見ても明らかなアダルトグッズ専門ショップ。しかもSMグッズを中心に取り扱っている店のようだ。かやのは普通に店の中に入ろうとするが、西小路は躊躇(ちゅうちょ)している様子。


「何ビビッてんだ? これも探偵の仕事だろうが! ほれ、行くぞ!」

「いやじゃああああ‼ まだ心の準備がぁ~!」


 嫌がる西小路の腕を掴んで、SMショップの中に連れて行こうとするかやの。(はた)から見れば肉食系女王様と草食系M男のカップルのように見える。



 それからも、色々な場所を巡るマコトを尾行していた。西小路はかなりげっそりしており、目も死にかけている。かやのはそんな西小路の腕を引っ張り、尾行を続けていると、マコトが喫茶店に入っていった。続けて二人も入店する。


「おいダンテ・・・・・・おい、しっかりしろ。エイクが来たぞ」


 エイクの名前に反応した西小路は意識を取り戻し、急いで二人の逢い引きをスマホのカメラで隠し撮った。勿論その後、喫茶店から出て、そのままホテルに入る二人の姿もしっかりカメラに収めた。

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