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リアドラ ーReturn to the Draftー  作者: Tsuyoshi&松山亮太
第五話『紅の薔薇』
41/128

#1

 とあるタワーマンションの最上階の一室、王の自室にて。白と黒のモノトーンのインテリアで統一された部屋のリビングで、王はかやのと一緒にソファーに座っている。


「かやのサン、もっとオレにキミのその可愛い顔を見せてくれナイカ?」

『は、恥ずかしいから、あんまジロジロ見んなよ・・・・・・』


 王に見つめられ、頬を染めながら顔を背けるかやの。王はソファーから立ち、恥ずかしがるかやのの前に片膝をつくように(ひざまず)き、愛の言葉を(ささや)いた。


「かやのサン・・・・・・好きダヨ。かやのサンは?」

『・・・・・・バカ。そんなの言わすなよ・・・・・・』



 この日、探偵事務所トリックスターフォックスに一人の依頼者が来ていた。耳と鼻と唇にピアスをつけており、体格もヘビー級レスラーを思わせるような大柄な男で、所々に(びょう)のついたレザージャケットを着ている。髪型もモヒカンスタイルでかなり厳つい。

 そんな見た目の大男にジッと鋭い視線を向けられて、西小路はだいぶ緊張している。

 依頼者は財布から一枚の写真を取り出し、スプリットタンが見える口を開いた。


「今日は、アタシの『夫』の浮気を調査してほしくてね」

「おっと・・・・・・?」


 ピアスの大男は自らを『アイ』と名乗り、夫の名前は『マコト』だと教えてくれた。二人の馴れ初めから話し始め、関係は十年以上も続いている事を西小路に半ば惚気(のろけ)ながら話している。全く予想もしていなかったハードで濃厚な内容に、西小路は苦笑いで「はい・・・・・・はい・・・・・・」と相槌(あいづち)を打っている。


「―――夫には時々、他のオスの気配を感じる時があって・・・・・・でもアタシも普段は仕事があるし、なかなか証拠を掴めないでいるのよ。それで探偵さんに頼みたいんだけど、引き受けてくれないかしら?」


 アイからの依頼内容を聞き、西小路は他の依頼もあり少々時間が掛かると理由をつけて、一旦保留にしてもらった。事務所に一人になった西小路は、色々な意味で疲れた顔をしてソファーに深く座る。

 それから少しして、紅葉が石丸を連れて事務所にやってきた。


「あれから『エレナT2(ティーツー)』の調子はいかがですか?」


 以前、紅葉の家に行った時に、西小路とかやのを案内したVRメイド。そのメイドを空間投影させていた円盤型掃除ロボット『エレナT2』と同型のものを、紅葉は西小路に渡していた。

エレナT2にはAIが搭載されており、使用者が学習させたデータ収集が目的で、西小路にモニターになってもらっていたのである。


「う~ん、それがイマイチ使い方が分からなくて。とりあえず掃除だけしてもらってるかな。あとは時々天気を訊くくらいで・・・・・・」


 西小路は石丸を乗せて動いているエレナT2を見ながら、「ハハハ・・・・・・」と頬をかく。


「これから、かやのさんの所にもエレナT2の件で伺おうと思っているのですが、西小路さんもご一緒にいかがですか?」

「かやのちゃんちかぁ。気分転換に僕も行こうかな」

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