#4
翌日、阪急箕面駅前。駅の時計の針は十時を指していた。
「今日は捜索のご協力ありがとうございます。散歩の途中ではぐれた日から箕面市の猟友会の方々にも捜索をお願いしているのですが、まだ見つからないので・・・・・・ううっ。西小路さん達にもお力を貸していただけるのは、本当に助かります!」
「任せてよ! それよりも小野原さん、その荷物は・・・・・・? 随分重そうだけど」
紅葉の背中にははち切れんばかりに菓子が詰め込まれた登山用リュック、そして左手には駅近くの高級スーパーの紙袋に入ったフルーツの山があった。
「はぐれて四日も経ちますし、きっとあの子お腹を空かせているだろうし・・・・・・」
それにしても多すぎじゃないかと西小路は思ったが、口には出さなかった。
「ところでかやのさんは・・・・・・?」
未だ現れぬかやのが気になって紅葉は西小路に訊ねた。
「うーん・・・・・・多分かやのちゃんの事だから、その辺うろついてるかもしれないね。待ち合わせ場所は伝えているし、先に向かっておこうか」
紅葉は「そうですわね」と頷いて、二人で箕面大滝に向かう事になった。そして途中の土産物屋で箕面名物もみじの天ぷらを購入した。途中で小腹が空いたらみんなで食べるつもりらしい。
土産物屋が立ち並ぶ通りを過ぎたところで、二人は箕面温泉の辺りの無料足湯に見慣れた後ろ姿を発見した。銀髪でアニマル柄のファージャケット、かやのの後ろ姿だ。西小路は彼女のそばまで小走りで駆け寄った。
「かやのちゃん!」
「あぁ⁉ ・・・・・・ったく、お前は」
「いつから足湯浸かってたの?」
「ん~、三十分くらい前かねぇ。これから山登りすんだし、ちょっとでも足の耐久値回復させときてぇじゃん? つか紅葉、オメェスゲー荷物だなぁ」
紅葉は西小路にした説明をかやのにも伝え、彼女から呆れられていた。
「とりあえず、これでメンバーは全員揃ったし、そのペットとはぐれたとこまで行こうか」