#3
それから三人は図書館内の『アロハカフェ』に入っていった。そして各々注文をし、料理が提供されるまでの間、軽く自己紹介を始めた。
「まずは自己紹介させてもらいますね。僕は西小路ダンテです。それでこちらが、僕の相棒のかやのちゃんです」
西小路に紹介されたかやのは、大きな溜め息をつきながら、呆れ口調で名乗る。
「・・・・・・・・・俺はかやのゼクスだ」
「私は小野原紅葉です。それで早速相談の事なんですけど、私の大事なペットを探してほしいんです」
「お待たせしましたー」
紅葉がペットについて話そうとした時にそれぞれが注文した料理が運ばれてきた。紅葉と西小路にはハワイアンバーガー、かやのにはベーコンチーズバーガーが運ばれた。冷めないうちにという事で、ひとまず運ばれてきたハンバーガーをそれぞれ頬張る。
「これは美味しいですね!」
「ふふふ、ここに入って正解でしたね」
西小路は美味しそうにハンバーガーを食べ進め、その様子をニコニコしながら紅葉も料理を食べている。そしてその横で一人、かやのはかつてないほどの衝撃を受けた顔で一口かじったハンバーガーを見つめていた。思った事がすぐに口から零れ落ちる彼女は、このハンバーガーを食べた瞬間に受けたあまりにも凄まじいショックに、言葉を発する事が出来ずにいた。思考停止、まさに絶句。
「ところでさっきの話ですけど・・・・・・」
バーガーを食べ終わり、付け合わせのフレンチポテトフライをつまみながら西小路が依頼について切り出した。
「あ、楽に話して頂いて結構ですよ? 私達これから同級生になるのですから」
「それもそうだね。じゃあ遠慮なく」
「それでですね、そのペットなんですが―――」
紅葉はバッグから一枚の写真を取り出し、二人の前に置いた。そこに写っていたのは犬でも猫でもインコでもなく―――。
「これは・・・・・・狸?」
「はい、狸です」