#9
二人はかやのの作ったバーガーを一口食べると、絶賛の声を上げた。特に紅葉はここ数日の間、かやのに対して不満を持っていたので、それらのマイナスイメージが払拭された。むしろ彼女の事を何も見えていなかった自分が恥ずかしくなり、かやのに全力で謝った。
「あぁ? 別にお前が俺に対してどう思ってたとか知らねぇし、興味もねぇから謝る必要なんざねぇよ」
謝られたかやのは全く気にも留めてないようで、そんな事よりもバーガー作りの方が楽しくて、今はそれにしか興味が無いと紅葉に伝えた。
それから紅葉はかやののピアノ演奏の事、そして彼女の作ったバーガーの味について大絶賛していた。
「かやのちゃんが、ここ数日どこかに行ってたのって、ずっとさっきみたいにみのおモールで演奏してたの?」
「いや、さっき弾いてた曲を大学近くのスタジオで作曲してた。あれを人前で弾いたのは、今日が初めてだな」
西小路が思っていた疑問は、紅葉も同じ事を思っていたようで、かやのの答えに改めて驚いて感動していた。
そして西小路は今回のことで、かやのが自分にとって、やはり頼りになる存在なのだと、しみじみと感じたのであった。