#2
後日、紅葉は西小路の手を引っ張り、探偵事務所作りの為の買い物に連れ出した。紅葉は当初、箕面市船場にあるアンティークショップに連れて行こうとしていた。しかし、西小路に予算の事を言われ、アンティークなデザインの新中古家具を取り揃えた箕面市 萱野のアウトレットショップに連れて行った。
「最大50%引きとは言っても、値段が新品とあまり変わらないし、なかなか手が出ないなぁ・・・・・・」
頭をぽりぽりと掻きながら、西小路が渋い笑いを浮かべていると、紅葉はポーチから財布を取り出す。その中から黒光りするカードを取り出して、彼に笑顔を向けた。
「お金の事は心配いりませんわ。私に全てお任せ下さい」
西小路は紅葉の出したカードを見てギョッとし、遠慮の意思を示す。しかし、紅葉の勢いに圧倒され、次々に家具が揃えられていく。その後は箕面市船場のアンティークショップに訪れ、小物やアンティーク家具を次々と購入する。
いつの間にか日も傾き、解散の流れとなる。西少路は寮へ、紅葉は自宅へ帰っていった。
大阪箕面大学の寮の自室で、西小路は代わりにお金を出してくれた紅葉に申し訳ないと思っていた。しかしその一方で、これから届く自分好みの家具、それを配置する楽しみを想像している。机の前で細かいレイアウトを紙に書いて、一人ニヤニヤしていた。
一方の紅葉も自室で、石丸を撫でながら、今日一日を思い返してニコニコしていた。今度はあの店であれを買おう、どこの店で何を買おう、色々妄想してはそれを石丸に話しかけて、夜は更けていった。